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断熱材の逆効用?

建築士会誌2008年3月号にこんな記事が載っていました。


『建材用断熱材が地球温暖化を促進する!?』

建物の断熱強化で、省エネ化する事でエネルギー消費を抑え、温室効果ガス削減を考える私には、何ともショッキングな内容です。


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しかし、内容を読むと、一部の、断熱材の問題提起で、建材用断熱材の、硬質ウレタンフォーム、押出法ポリスチレンフォームの発泡材に使われているフロン(過去に使用したCFC、HCFC、現在はHFC134a、245fa、365mfc等)が、オゾン層破壊やCO2の1000倍近い温室効果をもたらすとの事です。


私も、サイト内で、『断熱材へのこだわり その(1)、(2)』と題し記載している様に、前々からその様な情報を聞いていました。

http://imagawa-k.jp/2007/01/1_9.html断熱材へのこだわり その(1)

http://imagawa-k.jp/2007/01/2_8.html断熱材へのこだわり その(2)

しかし、過去の建築情報誌等では、この様な内容の掲載は殆んど無かったと思います。
地球温暖化問題や省エネ機運で、環境省の力が強まったのか、今回の掲載は大いに歓迎したいのですが、少し広報が遅すぎるのではないかと思います。


日本に措いて、硬質ウレタンフォーム、押出法ポリスチレンフォームの需要は、建築断熱材の中で突出しているのが現状です。
スウェーデンやドイツでは、硬質ウレタンフォーム、押出法ポリスチレンフォームの使用が殆んど見られません。
断熱材は、繊維系ではロックウール、グラスウール系が多く、板状系では、EPS(ビーズ法ポロスチレンフォーム)が、使用されています。


この使用の違いを、今まで指摘してきましたが、殆んどの人は耳を傾けませんでした。
私にしたら、『今更遅いよ』と言いたい所ですが、日本の愚かな部分が、また公表になった思いです。
こうした、断熱材の含有ガスの問題は、2003年、05、06年スウェーデン、ドイツ視察時に耳にしていました。
再三、当サイトで述べていますが、改めてEU諸国は賢く、成熟した考えを持つ国の集まりだと感心します。

断熱する目的は同じでも、その材料に弊害があるか否かを、吟味する事は、製造メーカーとして当然考えなければ成らない事だと思います。
情報公開の観点からも、消費者にこの事実を伏せてきた、製造メーカーの責任を見逃す事は出来ません。
今、盛んに議論されている、温室効果ガス企業間取引枠に措いて、硬質ウレタンフォーム、押出法ポリスチレンフォームのメーカーは、その責任上、温室効果ガス排出枠規制を、1000倍分負担する事ぐらい宣言して欲しいものです。
また、これを見逃した行政機関には、重い責任があると考えます。


この各断熱メーカーが犯した罪は、2重に重いと考えます。
今すぐに製造を止めても、過去の使用された硬質ウレタンフォーム、押出法ポリスチレンフォームを将来破棄する時に出される、フロンガスが有るのです。


記載文では、過去に使用していたCFC11は、CO2の4600倍もの強い温室効果を持っていて、建物(述べ床面積1000㎡程度)に約30m3の硬質ウレタンフォーム断熱材が使われているとすると、CFC11は新築時点では108㎏含まれる可能性が有ると書かれています。
この量は、家庭用エアコン100台分に含まれる冷媒フロンに相当し、CO2換算では、約500tに成ると有ります。
また、CO2、500tは10世帯が1年間に排出するCO2に匹敵するそうです。
文には、建物解体時の処理方法や処理の規制法律が載っていますが、必ずしもその規制が遵守されているとは、思えません。
建物解体時でも、コスト優先が先行しているのが、現状だからです。


私も、過去に携わった企業では、硬質ウレタンフォーム断熱材の使用を行っていました。
当時は、大変便利な性能の良い製品と考えていました。
アメリカで、フロンガスが開発された時は、無味無臭で無公害のガスと持て囃されたと聞きます。
建築業界でも、硬質ウレタンフォーム断熱材は、寒冷地建物には無くては成らない製品と考えていたのです。
しかし、現在ではその問題点が明らかに成ったのです。
その事実を踏まえ、そのツケを払う時期に来たのです。


昨年の、世相反映漢字で、『偽』が選ばれましたが、今年の暮れには又、『偽』が選ばれる様な、現状です。
片方で、省エネや環境を唱えながら、製造している製品が環境破壊をする品物では、偽装の典型ではないでしょうか。


日本はどうしてしまったのでしょうか?
こんな卑劣な精神を持った、利益優先のみの体質の国だったでしょうか。
人間は、環境を破壊するだけの存在にしか、見えなく成ってきています。
今、考えかたや行いを、行動に変えければ成らない時です。

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パッシブハウス・無暖房住宅・外断熱の今川建築設計監理事務所: 2008年03月10日|ページの 先頭へ|