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断熱材へのこだわり(その2)

5. 省エネと環境共生

ウレタン断熱材の発泡剤として使用されていたフロンは、オゾン層の破壊を起す気泡ガスと解り、使用禁止の材料と成りました。
その代わりに、現在は代替フロンが使用されています。
しかし、この代替フロン(HFC)が、温室効果ガスと言われる二酸化炭素の、千三百倍もの影響を与えている事をご存知でしょうか。
物を作る時には、何かしらの環境負荷を起しているものですが、この代替フロンの温室効果への影響は、重要視すべき事と考えています。
最近の、ウレタン断熱材メーカのカタログでは、更に代替フロンを変え、別な製造ガスを使う事で、二酸化炭素の5倍程度とする事が出来たと書いて有りました。
しかし、それでも5倍の温室効果が有るのです。
今までが、余りにも酷すぎただけで、決して万全とは言えません。
過去はさて置きでは、企業体質が問われるのではないでしょうか。

文章も書き方でニュアンスが変わりますが、今まではどうだったのでしょうか。
断熱材メーカーは、断熱効果が環境へ貢献している様に宣伝していますが、製造過程における環境への負荷度合いを、我々はもっと注視すべきです。

断熱先進国のスウェーデン、ドイツでは押出法ポロスチレンフォーム(XPS)や、現場発泡ウレタンフォームは一部分にしか使われていません。
大学の教授や研究者へ質問すると、地球環境に優しい材料意外は、使用しないと言う答へが返ってきます。
繊維系断熱材とビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)以外の断熱材は、良い断熱材と評価されていないのです。

何故、日本では色々な断熱材が製造され、製品として市場に出ているのでしょうか。
それは、私達にとって良い事なのでしょうか。

たしかに、断熱性能が高められ、求める断熱材の厚さが薄くてすむ事は、工事をする上で都合の良い事でもありますが、その性能の影に、環境破壊度が高く、リサイクルしずらい側面があるのでは、本末転倒ではないでしょうか。
材料の製造において、省エネと環境共生を、同時に考えなければなりません。
片手落ちの材料選定は、将来に大きな汚点を残します。
省エネ効果の良いイメージと裏腹に、製造過程のエネルギー量が高く、環境への影響が大きく、リサイクル性が低い製品は、住い造りの材料選択から除外すべきと考えます。

断熱先進国のスウェーデン、ドイツで、繊維系断熱材とビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)以外の断熱材が普及しないのは、その為の様です。

その様な断熱先進国の実態を見て、改めて住まい造り措いて断熱材選びは、重要なファクターであると思っています。
私は、基礎や土間下には押出法ポロスチレンフォーム(XPS)を、直接水の心配の無い外壁や天井、屋根廻りは繊維系断熱材とEPSを使用してきました。

皆さんも、断熱材の製造から廃棄までをもっと考え、環境共生に反する製品は、不買や建築材料からの選択から外す考えを持つべきです。
長く使用する建物において、省エネになる断熱材が環境破壊を進める製品で、それらに包まれての生活では、居心地も悪くなるのではないでしょうか。

6. 断熱材の厚さについて

私は、現在の北海道の住まいに入れられている断熱材厚さ(使用量)では、少ないと考えています。
スウェーデン国では、1990年から壁の断熱厚さは270㎜とされています。

【スウェーデン・ルンド大学でのレクチュアで、1990年から断熱基準は、壁270㎜、屋根500㎜です】
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省エネルギーや環境問題を考慮した厚さだと聞きました。
スウェーデンでは、寒さや気象状況から、国を6つのエリアに断熱区分しています。
しかし、その区分は道路や排水管保護の断熱材使用に措けるもので、住居に措ける壁の断熱厚さは、
全国一律270㎜です。

スウェーデンは、寒い国だからだろうと思うでしょう。
確かに、北部は北極圏まであり想像絶する寒さでしょうが、南部はメキシコ湾流の影響で雪は少なく気温も高め、北海道の札幌より気象条件は良く、4月中旬には桜が咲いていました。

【4月中旬のスウェーデン・ヨーテボリ市の、桜と川沿いで寛ぐ市民。半袖の人もいる】
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そのスウェーデン国の南部より寒い、札幌市近郊の住宅の壁断熱厚さは、いまだに100㎜が主流です。
次世代省エネ基準でも、壁断熱は140㎜~150㎜です。
次世代基準と比べても、270-150=120㎜の差は、住い手にとってどの位の差となるのでしょうか。
150㎜に対し、80%増しの断熱は、大変大きな違いに成ります。

更に断熱効果のカラクリが有ります。
ツーバイシックス(2×6)に断熱材を入れると、『140㎜だから次世代基準はクリアー出来ている』そんな言葉も聴きますが、そのツーバイシックス(2×6)の軸組み材は、38㎜×140㎜です。
そこに入れる断熱材は140㎜でも、木材部分の38㎜の表面から、外気の寒さが伝わって行きます。
これが、ヒートブリッジ(熱橋)現象です。
ツーバイシックス(2×6)工法は、枠組み工法と呼ばれ、その枠組み工法の外壁面積の内、断熱材面と木材面の比率は、79:21と言われています。
つまり、外壁面積の21%部分は木材で、その木材の熱伝導率は断熱材のおおよそ3分の1です。
それは、140㎜ある断熱材効果が、木材部分では140㎜の3分の1で、47㎜の断熱材と同じ事に成ります。
結論は、断熱材は、ヒートブリッジ(熱橋)現象を防ぐ取り付け方をしないと、至る所に熱が逃げていく太い道があると言う事です。

スウェーデンに措ける270㎜の断熱材の入れ方は、軸組の木材を断熱材が覆う形で入れられ、軸組みからのヒートブリッジ(熱橋)をカバーしています。
従って、実際の厚み以上に性能差が出ます。
これも、建築物理学を始め、熱・湿気理論から長年研究や実験から出た結論なのです。

北海道では、断熱の厚さが薄い上、施工のズサンサも目立ちます。
断熱材を壁に押し込んでは、100%の性能は出ません。
施工によっては、断熱材厚さの2分の1の性能しか出ないと言われています。
そうした施工が、壁内結露を招き住宅の寿命を短くしているのです。

【左:ハウスメーカーの断熱施工⇒土台と断熱材に隙間が有り、コンセントBOXや電気配線で断熱材に多くの隙間を作っています。
右:ある工務店の断熱施工⇒ご覧の様に隙間だらけです。隙間間は外壁材と内壁ボードしか無くこれでは100㎜断熱が、無断熱状態です。】
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断熱厚さの話をすると、必ず費用対効果の話になりますが、室内気候の改善と住い本来の目的を考えると、断熱材厚みによる効果は費用では算出出来ない価値です。
また、耐久性への効果は、計算されていません。
費用対効果のみを論ずる建築業界が、消費者に快適な住居の提供を遅らせ、さらに短命な建物を生み出しているとも言えます。

【スウェーデンの断熱カタログから、断熱材の正しい施工例が掲載され、断熱材の入れ方の正誤が書かれています】
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私は、日本の断熱区分Ⅰ地区(北海道、一部東北)では壁断熱は、繊維系断熱材200㎜~300㎜以上、床は出来るだけコンクリートの土間床方式とし土間下には、ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)を200~300㎜とし基礎側面は100㎜以上、さらに屋根面は、繊維系断熱材300㎜~500㎜が、必要と考えています。

7. 次世代基準とのギャップ

北海道の気象条件は、次世代基準では賄えません。
先に述べた様に、北海道よりも気候条件が良いスウェーデンの南部地方では、日本の次世代基準の断熱基準の2倍近くも断熱材が厚いのです。
これは、知らぬが花の如く、今、家を建てておられる施主さん達には、後悔の念を懐かせる情報です。
私は、この事実を見て大きな衝撃と日本における基準のいい加減さを知りました。
そして、幾らかでもその情報を公開し、それを知る事で施主さん達が考え、再度断熱について判断する事への期待を持っています。
経済大国を自負していても、日本の住まいは、脆弱な性能なのです。
広い北海道で、札幌近郊と比べると、旭川、帯広、釧路などでは気象条件が更に厳しく成ります。
しかし、次世代省エネ基準は、北海道地区とし同一基準に成っています。
1月の中旬に旭川市を訪れた際の朝の寒さは、久しぶりの体感で札幌近郊との気象条件の差を感じました。

【北海道内陸部の寒い朝と、屋根裏の熱橋(ヒートブリッジ)による霜解けの違い】
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そうした中、殆どの家々が次世代省エネ基準以下の100㎜断熱である実態を考えると如何に断熱不足かが分かります。

東京で、北の地方の断熱基準を決める事自体が判断を誤らしています。
北海道は、特別な地域です。
独自の判断基準を作成し、地域に適した次世代基準としたいものです。
そして、断熱材の厚さを増す事で、省エネ住宅 ⇒ 低エネ住宅 ⇒ 無暖房住宅 へと進化して行く可能があるのです。

スウェーデンには、2003年に無暖房住宅が分譲住宅として実用化されています。
ドイツでも、無暖房住宅とプラスエネルギー住宅(エネルギーが余る住宅)が実用化されています。
(無暖房住宅の断熱は、土間した250㎜、壁430㎜、屋根480㎜です)

【スウェーデンの無暖房住宅とドイツのプラスエネルギー住宅】
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また、スウェーデンでは、国内各地で無暖房住宅や自己暖房住宅と呼ばれる、暖房が不要な公営住宅や賃貸住宅が造られいます。
スウェーデンでは、一般市民への住宅供給の中に、無暖房住宅や自己暖房住宅が有るのです。

日本の住宅事情から見ると、途方も無い性能の住宅が、スウェーデンでは市民が希望すれば手に入るのです。
石油輸入率100%の、エネルギー事情が同じ国でも、取り組みが大きく違っています。
日本の国民一人ひとりが、正面から取組まなければ変わらない現状が有ると思います。
断熱材へのこだわりを持つ事から、別な視点や問題の本質が見えてくるものです。
もっと、断熱材を考え、有効利用しましょう。
断熱材は、一番安い省エネ材なのです。

【断熱材へのこだわり】終り。

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パッシブハウス・無暖房住宅・外断熱の今川建築設計監理事務所: 2007年01月12日|ページの 先頭へ|