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ナイチンゲールの教え(その1)

先日、ガデリウス インダストリー株式会社の東野氏から送られてくるメルマガで、大変興味深い記事が有りました。
それは、フロレンス・ナイチンゲールが書いた『介護覚え書』と言う本に付いての記事です。

記事には、換気と保温など、建築と介護の関わりが書かれているとのことでした。


早速、本を購入し読んでみました。
原本は、1860年に書かれたようで、当時は現在の様な建材や断熱材等も無く、設備機器を始め下水道処理も、今とは比べ様のないほど、お粗末だったと思います。


ですから、半信半疑での読み始めでしたが、何か現状へのヒントも期待していました。


内容は、『介護覚え書』ですので、人、特に病人への介護に重点をおいて書かれているのですが、介護に関わる建築物の有るべき姿も明確に書かれており、今現在も、その要求が満たされていない事を再認識しました。


本の中身を紹介しながら、現状の問題点とパッシブハウスが如何に優れているのかを、述べたいと思います。


『介護覚え書』の目次から紹介すると、


序 章
 
Ⅰ.病気とは回復過程である
Ⅱ.健康人の看護もほとんど理解されていない

1.換気と保温
2.住居の健康
3.小管理
4.物 音
5.変 化
6.食 事
7.食物の選択
8.ベッドと寝具類
9.陽 光
10.部屋と壁の清潔
11.からだの清潔
12.おせっかいな励ましと忠告
13.病人の観察
14.おわりに
15.補 章
16.(付録)赤ん坊の世話


以上の様に、項目の最初にある介護の重要な点で、建築物について書かれています。


一部を紹介すると、


1.換気と保温
『良い看護が行われているのかどうかを判断するための規準としてまず第一にあげられること、看護師が細心の注意を集中すべき最初にして最後のこと、何をさておいても患者にとって必要不可欠なこと、それを満たさなかったら、あなたが患者のためにするほかのことすべてが無に帰するほどたいせつなこと、反対に、それを満たしさえすればほかはすべて放っておいてよいとさえ私は言いたいこと、-それは(患者が呼吸する空気を、患者の身体を冷やすことなく、屋外の空気と同じ清浄さを保つこと)なのである。』


『介護覚え書』に書かれている、1.換気と保温の中から、看護の第一原則は、屋内空気を屋外空気と同じく清浄に保つことと有ります。
更に、その新鮮な空気は、室温に近い温度にして取り入れる事が必要で有ると書かれているのです。


1860年に書かれた『介護覚え書』ですが、150年たった現在、本に書かれている様な事が、住まいの中で出来るでしょうか。


答えは、残念ながらNOなのです。


1.換気と保温での、本来あるべき形は、屋内空気を屋外空気と同じく清浄に保ち、外の新鮮な空気を、室温に近い温度にして取り入れる事なのですが、現状の建物では、綺麗な空気を室温に近い状態で建物内に供給する仕組みを持っていません。


特に住宅に於いては、換気と保温は完全に克服されていません。
介護の大原則(人が健康に生きていく為の大原則)で書かれている、最初の要求事が満たされない住まいしか、日本には存在していないのです。


今は、新鮮であっても、室温を変化させる様な空気の供給方法です。
また、新鮮とされる屋外から空気は、最近では清潔ではありません。


北海道パッシブハウスでの、換気装置フィルターの汚れを見ると、明らかにキレイな空気では無い事が分かります。
ですから、高性能なフィルターを介して、新鮮な空気を室内に必要量だけ取り入れる事が不可欠です。


更に、外気を室温に近い温度にして供給するには、単に外気を入れる換気方式ではなく、熱を交換して室温に近い状態にして、僅かな温度差分を暖めて取り入れる事が最良と言えます。
しかも、誰の手も借りずに、24時間その仕事を行う仕組みが必要ですが、高性能な熱交換換気装置以外には、その仕事を確実に行ってくれるものは有りません。


当ホームページでの、前回の記事『室内空気質の危機』にも書きましたが、外気を新鮮空気と考えて、無防備に室内に取り込む事は、現状では無理であることが分かります。
室内空気質の危機へ


この介護に重要とされたポイントが、解決されないままに、150年の時が過ぎて来た事に、驚きと取組の難しさを感じます。


住まいを求める方々にお聞きしたい。
あなた方は、何を求めて住まいを建てるのですか?
何を重要視するべきなのか、今一度考える必要があるのではないでしょか。


私は『介護覚え書』の最初で最も重要な換気と保温を満たす住まいを重要視せずに、住まいを求める事は、如何に愚かか認識すべきだと思います。


正しくこれを満たしているのが、北海道パッシブハウスなのです。


生活の基盤として持つ住まいに於いて、ナイチンゲルの『看護覚え書』にある、1.換気と保温、2.住居の健康、4.物音、9.陽光、10.部屋と壁の清潔などの項目は、建築物への要求を網羅した住まい造りの手引書だと思います。


ある人は、こう言うかもしれません。
機械なんかに頼らず、住人が窓を開ければ済む事ではないかと。
しかし、換気が窓の開閉で行おうとすると、その維持管理が必要と成ります。
更に、適正な換気量を誰がどの様にコントロール出来るでしょうか。
季節に関係なく、窓の開閉は可能でしょうか。


それは、無責任な考え方だと私は思います。


『介護覚え書』には、責任に付いても書かれています。


『しかしあなが方は、自分自身で行わない時にも、確実にそれが行われる様にできないものだろうか。あなたがその場を離れたとたんに、事態が逆戻りするようなことが、絶対にないようにできないものだろうか。これこそが「責任を持っている」と言うことの意味なのである。
そしてこれは非常に重要な意味を持っている。前者は、たんにあなたが自分自身の手で出来ることだけが行われる事を意味しており、後者は、しなければならないことが、あなたがいようといまいと、いつも行われると言う事を意味しているのです。』


責任と換気と保温を考えると、


新鮮な空気(外気)は、高性能フィルターを通して、室内へ入れる。
外気は、熱交換換気装置を通して、室温に出来るだけ近づけて入れる。
必要換気量は、機械的に自動コントロールにより、省電力モーターファンで適正量を各室に入れる。
汚染した室内空気や湿気は、省電力モーターファンで室外へ出す。
そうした換気を、24時間誰もいなくでも、季節に関係なく、外の風に影響させずに、適正な換気量を供給する。


以上を持って、人に優しい介護に相応しい建物と言える。
これが、建築物が人に果たせる責任たと考えます。


1.換気と保温、2.住居の健康、4.物音、9.陽光、10.部屋と壁の清潔こうした建築物が果たさなくてはならない役目を、私達建築物を造る立場の者が、現状、提供していないことは、大きな罪であると私は考えます。

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パッシブハウス・無暖房住宅・外断熱の今川建築設計監理事務所: 2013年05月23日|ページの 先頭へ|