2012年が明け、1、2月の一番寒い季節に成りました。
貴方の住まいでは、快適な生活出来ていますか?
殆どの方々は、NOでしょうね。
または、快適と答えた方が居られたら、住まいの暖房エネルギー量は、経済的な量で済んでいますか?
それもNOだと思います。
エネルギーを使えばそこそこの住まいでも、ある程度快適と言える領域には成りますが、毎年の暖房エネルギー消費が嵩む事に成り経済的に大変です。
どちらにしても、快適で経済的な住まいは、日本国中探しても殆ど無いのが現状す。
何故、その様な住まいや建物しかないのでしょうか。
その理由を、シリーズにして掲載します。
まずPart-1は、『断熱』です。
そうです、熱を遮る断熱材の量が不足と施工技術が不備なのです。
それでは、その方策と理由をを書きます。
①は、断熱材は厚いほど効果が出ます。
100㎜入れるよりは、200㎜いれた方が効果が有ります。
日本の住まいの断熱材の量が、絶対的に不足なのです。
その原因は、建物への性能要求基準が、建築基準法には無い為です。
驚かれる方も居られるでしょうが、事実です。
1999年にだされた、「次世代省エネルギー基準」は、建て主の判断基準として出されたものです。
この建て主の判断で採用するかしないかを、決める曖昧な基準が、ある時は利用されある時は等閑に出来る、建て主に取っては不都合極まりない数字と成り、現状存在しています。
そして、「次世代省エネルギー基準」で北海道の基準値として出されている数字は、北海道の住まいとしては、快適で省エネな住まいにはならない数値なのです。
相した事から、断熱材の量が少なく、不足と言わざる負えない現状と成っています。
詳しくは、「次世代省エネ基準」の呪縛をご覧下さい。
②は、断熱材の入れ方(施工精度)が問題です。
この問題により、100㎜が50㎜程度の性能しか発揮出来ない事が起こります。
下の絵を見て下さい。
断熱材の施工精度により、断熱材の効果が大きく変わる事がお分かり頂けると思います。
そうした実態が、現状の住宅施工で有り得る事を、お見せします。
下の写真は、道内でも名の通ったハウスメーカーの施工した住宅の断熱施工状況です。
この建物は、訳有りで水漏れ事故を起こし改修を頼まれた為、床材と床上1mまでの壁材を剥がしました。
その時の写真です。
ご覧の様に、先ほどの断熱材施工精度で触れた、施工不良が至る所に見られます。
この住宅は、郊外の新興住宅団地に建つ築年数10年も経たない建物でした。
また、同社施工の建物が付近に沢山有り、断熱材は同じ状態なのでしょう。
(改修工事現場での元施工不良状況・・・オール電化住宅を謳ったハウスメーカーの仕事はこんな状態でした。壁厚100㎜間に入れられていた断熱材の様子です。)
この様な施工では、高性能グラスウール100㎜が、その厚みだけの効果を発揮できません。
断熱施工は、完成時には目に触れない為に、疎かにされています。
また、施工する側も施工精度がどれだけ性能に影響するかを、理解していないのが現状です。
勿論、板状断熱材でも、断熱材間や下地との取合いに隙間があると、同じ様に断熱材性能が低下します。
この様に、断熱材の施工精度により、断熱材の厚み通りの性能が出ない事を理解して下さい。
③は、断熱材間に隙間があると、空気の対流が起こります。
この現象は、板状断熱材でも同じです。
板状断熱材間でも、隙間を作らない施工が大切です。
(断熱材の隙間による熱損失)
板状断熱材間の隙間処理の写真です。
板状断熱材の小口を、凹凸形状にして組み込まさせる様にしたり、隙間充填材で断熱材間を埋め、気流が走らない様に処置します。
この様な施工は、殆ど行われていないのが現状です。
(ドイツの外断熱施工での、板状断熱材間の充填剤処理状況。基本的な処置を怠らない忠実な施工は、断熱先進国の証しです。)
④は、断熱材を気密状態する必要がある事です。
言葉で言うと誤解されるかもしれませんが、室内側には湿気が入りづらく滞らない様な材料(moisture barrier)を使い、室外側には湿気を通し易く屋外からの雨等の水が入らない防水効果のある材料(wind barrier)で、断熱材を気密状態にするのです。
一般的には、室内側材を気密、防湿材(moisture barrier)と言い、室外側を防風材(透湿防水材)(wind barrier)と言います。
室内側材の気密、防湿材(moisture barrier)は、よく耳にする気密性能を言います。
この様な処置を行う事で、断熱材には気流が走らず、本来の性能を100%発揮出来るのですが、この気密施工も余り高い性能の施工が、行われていないのが現状です。
写真に載せたハウスメーカーの施工では、100㎜断熱材が50㎜以下の性能しか出せない事に成り、結果的に寒く暖房エネルギーが嵩む住まいに成ります。
断熱材が100㎜では不足なのに、その100㎜ある断熱材が100㎜分の効果を発揮出来ない様な施工をしていると言う事が、日本には快適で省エネルギーな住まいが存在しない言い切れる理由なのです。
(Part-1)のまとめは。
①断熱材は厚いほど効果が出る。現状の断熱材の量では薄すぎる。北海道では繊維系断熱材300㎜位が理想的。
②断熱材の入れ方(施工精度)が大切。繊維系断熱材は、入れるサイズ+5㎜が目安。
板状断熱材は、正確に入れても木材の縮みで隙間が出る事が予測され対策が必要。
③断熱材間に隙間があると、空気の対流が起こり熱損失に成る。つまり断熱材効果が半減する。
④断熱材を気密状態にする。断熱材に気流を生じさせない事が、断熱材性能を保つコツ。
以上が(Part-1)のポイントです。
次回、(Part-2)は窓と玄関ドアの性能に付いて掲載します。