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「次世代省エネ基準」の呪縛

日本の住宅審査には、温熱性能、省エネ基準の審査は有りません。
世界各国では、国を挙げて建物の性能向上に努力していますが、日本に於いて建物性能への法的指導や拘束が有りませんので、建てる側が自由にその設定を決める事に成ります。
それは、自由で好ましい状況にも思えますが、現状は建物の性能を見比べる事が出来る訳も無く、また建物の性能にそれ程の差がある事も知らされずに、その地域に相応しくない性能のまま新築住宅が建てられてしまう結果と成っています。


住まいの目的は、生命財産を守り、快適で健康的な生活を営む事が出来る為と理解しています。
しかし、住宅の温熱性能、省エネ基準無しで造られた建物では、快適性を保ち経済的で省エネ性を有する様な建物には成りません。


1999年に出された、『次世代省エネ基準』は、建て主の判断で採用するか、否かを決める性能基準値として出されました。
しかし、建て主の判断で採用を決めるとは、よく使われる『玉虫色』的で、曖昧で無責任な基準値です。
無責任とは、国が国民に対し指針として公表する基準値、特に個人資産として一番高価な家屋に対して示す値を、建て主の判断で採用を決めろとは、何の為の基準値策定公表なのか分かりません。
また、建て主が判断出来る様な、分かりやすい性能表記ではなく、造る側でも迷う様な決して明快な設定ではありません。
そうした事から、建て主も造る側も、『次世代省エネ基準』を採用する事無く、建物が建っていく事に成ってしまったのです。


その様な理由から、、『次世代省エネ基準』を持つ家屋建設は大変少なく、公表から11年経った現在でも、、『次世代省エネ基準』のネーミングが良くて?(何時まで経っても次世代)、またその基準しかなく省エネ基準の目安にされています。


更にこの、『次世代省エネ基準』値の、北海道地域のⅠ地区基準値では、北海道の寒さには不足の基準値なのです。

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(5段階基準の、『次世代省エネ基準』値は、この表では世界的にも高いレベルか遜色無い基準値に見えますが、現状はEU諸国や北欧各国はこの段階から更に厳しい基準にしている為、この表以上に性能に差があるのが実態です。)


下のサイトにも書きましたが、北海道札幌市とドイツの各都市や北欧スウェーデンの首都ストックホルムやヨーテボリ市などの海岸部の都市とでは、むしろ札幌市の方が冬の気温は厳しいのが事実です。

スウェーデンより寒い北海道(その1)

『次世代省エネ基準』のⅠ地区基準値が、如何に北海道に相応しくないのかが、お分かり頂けると思います。


こうした国民の財産を、その地域の気候風土に合わない形にした原因が、国が掲げた省エネ基準値である『次世代省エネ基準値』と言う皮肉な結果を招いています。
正しく、次世代省エネ基準が呪縛と化し、日本の住宅性能向上を止めた張本人に成っているのです。
また、世界の省エネ住宅が目指している、快適性で効率的最小エネルギーで済む建物であるパッシブハウスなどの動向に対し、日本国内での反応が鈍いのも、この『次世代省エネ基準』が見え隠れしているためです。
業界人達は、この『次世代省エネ基準』が日本国内に適した、最高水準の建物性能値と信じています。
この情報時代に、鎖国状態に置かれた様に、一向に『次世代省エネ基準』以上の建物を造ろうとしていません。


私は『次世代省エネ基準』が建物の最低性能基準値である事を法制化した後、次の代の省エネ基準値を策定公表する事が急がれると考えていましたが、漸く、新築住宅の最低遵守性能基準値に、1999年策定の『次世代省エネ基準』が盛り込まれる事に成りそうです。
しかしその時期は、何と2020年が有力と聞いています。
『次世代省エネ基準』が出来てから、なんと21年経って、その基準値の活用がなされる事に成るのです。
こんな鈍足状態で、果たして良いものでしょうか。


2020年と2050年までの、温室効果ガス削減計画案が、インターネットサイトに沢山載っています。
その内容は、建物の性能に付いては一番目に書かれていますが、高断熱化するとかパッシブデザインにするとか、僅かに1、2行書かれているだけで、その他の高効率設備機器の導入や太陽光発電などのアクテブな機器導入や採用を推奨する記載が目立つ状態に成っています。
この様な、建物性能を軽視した主導で、永続的な国造りが出来るとは思えません。
こうした動きにも、次世代省エネ基準の呪縛が有ると考えます。


EU諸国や北欧では、パッシブハウスを新築の最低性能基準値として、誘導する動きに成っています。
単純ですが、我が国が2020年に建築基準法に載せるであろう1999年の『次世代省エネ基準』値と比べると、約7~8倍の性能差に成ります。
そうした高い基準値で、EU諸国や北欧では新築建物を造ろうとしているのです。
しかも、日本の最低基準値法制定年の、2020年よりも近々の年にです。
真に北海道に相応しい住いが欲しい場合は、建て主様自身が求めなければ、与えてくれる情況にない事を認識してスタート地点に立つ必要が有ります。

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パッシブハウス・無暖房住宅・外断熱の今川建築設計監理事務所: 2010年12月01日|ページの 先頭へ|