パッシブハウス・無暖房住宅・省エネ環境住宅・RC外断熱、北海道・札幌市・北広島市の株式会社 今川建築設計監理事務所サイト へようこそ

 
●トップページへ ●初めての方へ ●住まいの相談 ●お問い合わせ ●アクセス ●リンク ●サイトマップ 

スウェーデンより寒い北海道(その1)

スウェーデンより寒い北海道と言えば、嘘でしょうと言われそうです。
緯度が高いスウェーデンよりも、北海道の方が寒いことが有るわけが無いと、感覚的にそう思っている人がほとんどだと思います。
確かに、スウェーデンの北地方は、北極圏に達する地域ですから、北海道の旭川や稚内とは比べるまでも無く極寒の地です。
しかし、スウェーデンでも南地方の海岸部では、メキシコ湾流の影響で、気候が安定していて平均気温は、北海道よりも高い地域が多いのです。


下の絵は、メキシコ湾流の流れ示したものです。
デンマークやノルウエー、スウェーデンまで、海水温度は影響しています。

%E3%83%A1%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%82%B3%E6%B9%BE%E6%B5%81.jpg
(メキシコ湾流の動き)

次の表は、世界各都市の、一番寒い月の平均気温を表したものです。
メキシコ湾流の影響が少ない、大西洋側でないストックホルム(-2.4℃)でも、札幌市(-4.1℃)や旭川市(-7.8℃)の方が、寒い月の平均気温は低いのです。

100730-%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E9%83%BD%E5%B8%82%E5%AF%92%E3%81%84%E6%9C%88%E3%81%AE%E5%B9%B3%E5%9D%87-002.jpg
(建築知識より掲載)


スウェーデンと、橋で繋がる隣国デンマークの首都コペンハーゲンでは、+0.8℃と成っています。
スウェーデンの主要都市が、海岸部に位置しているのは、貿易や交通網だけではなく、比較的気温が安定していることも有るようです。
北海道の各都市の緯度は、札幌市の緯度(43°04′N)、旭川市の緯度(43°46′N)、稚内市の緯度(45°25′N)で、北欧のストックホルム(59°20N)、ヨーテボリ(57° 40' 0'' N)、コペンハーゲン(55° 43' N)ですから、緯度からのイメージと現実は違うのです。


次の表は、年間の暖房目安である、暖房度日の表です。
この暖房度日は、数字が多いほど暖房する日が多い事に成ります。


100730-%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E9%83%BD%E5%B8%82%E3%81%AE%E6%9A%96%E6%88%BF%E5%BA%A6%E6%97%A5-002.jpg
(建築知識より掲載)

札幌市と比較すると、スウェーデンのヨーテボリ市、ストックホルム市の方が、幾らか暖房度日が多い位です。
逆に、稚内市、旭川市、釧路市の方が、暖房度日がかなり多く成っています。
それは、スウェーデンよりも緯度が低いのに、暖房する日が多い事を意味します。
それだけ北海道の住宅の方が、寒さ対策が必要なことに成ります。
ところが、スウェデーンと北海道の住宅は、まるで逆の造りに成っています。
つまり、スウェデーンの住宅の方が北海道の住宅よりも、断熱量や窓など外郭を形成する性能が上なのです。


下の写真は、スウェーデンのヨーテボリ市にある住宅展示場の様子です。


%E5%AF%92%E3%81%84%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93008.jpg
(展示建物―1 2009年写真ガデリウスより)


%E5%AF%92%E3%81%84%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93007.jpg
(展示建物―2 2009年写真ガデリウスより)


%E5%AF%92%E3%81%84%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93009.jpg
(展示建物―3 2009年写真ガデリウスより)


%E5%AF%92%E3%81%84%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93010.jpg
(内部―1 2009年写真ガデリウスより)


%E5%AF%92%E3%81%84%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93011.jpg
(内部―2 2009年写真ガデリウスより)

%E5%AF%92%E3%81%84%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93012.jpg
(窓―1 2009年写真ガデリウスより)


%E5%AF%92%E3%81%84%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93013.jpg
(窓―2 2009年写真ガデリウスより)


ご覧頂いた展示場の住宅の、壁断熱、屋根断熱厚さはどの位だと思われますか。
その答えは、2003年1月スウェーデンの南部にあるルンド大学で、スウェデーンの建物や建築物理理論に付いて、レクチュアを受けた時に知りました。


%E5%AF%92%E3%81%84%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93005.jpg
(各年代ごとの壁断熱の移り変わり、1990年代からの壁断熱厚さは270㎜の説明。)


%E5%AF%92%E3%81%84%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93006.jpg
(天井又は屋根断熱は、1990年代からは500㎜基準。)

ルンド大学での説明では、1990年代から壁断熱270㎜、屋根または天井断熱が500㎜で有る事が分かりました。


前にもサイトの中で、札幌市よりもスウェーデン南部の都市ヨーテボリ市方が、暖かいと言うことを書いています。
そして、北海道の住いよりも、ヨーテボリ市の住いの方が、断熱が厚く窓やドアの性能が高いのです。
何故、その様な逆転事が起きるのでしょうか。
いまだに、北海道の住いが世界的に見ても充分省エネルギーであり、寒冷地に相応しい住いの性能だと言っている業界に、警笛を鳴らしたいと思います。


上に掲載した展示場の建物は、ルンド大学での説明通りに、壁270㎜、屋根(天井)500㎜の断熱仕様です。
窓は木製トリプルガラス仕様ですから、トータル性能は次世代省エネ基準、北海道Ⅰ地区仕様の2倍以上の性能です。
何故、気温や暖房度日が不利な北海道住宅の省エネレベルが、気候的に有利なスウェデーンの住いよりも劣るのでしょうか。
それは、北海道の住民である皆さん(消費者)にとって、よい事ではないのはお分かり頂けると思います。


因みに、ヨーテボリ市郊外の住宅建設現場を見ましたが、やはり170㎜の構造体に、内側50㎜、外側50㎜の付加断熱仕様で、合計270㎜の壁断熱で工事は行われていました。


%E5%AF%92%E3%81%84%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93001.jpg
(外壁に50㎜のEPS付加断熱施工の建物)

%E5%AF%92%E3%81%84%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93004.jpg
(こちらは、外側50㎜ロックウール付加断熱の建物)


%E5%AF%92%E3%81%84%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93003.jpg
(内部を覗くと、50㎜のロックウール付加断熱の施工が行われいました。)


北海道(札幌市、旭川市、帯広市等)よりも、冬の気象条件が良いスウェデーンの南部や海岸縁都市の建て物の方が、現状の北海道の建物よりも、高性能で有る事がお分かり頂けたと思います。
この逆転現象とも言える住いの性能差は、国のエネルギー政策や環境問題対策にもリンクして、日本国のいろいろな矛盾に繋がっています。

決して、日本国の省エネ基準レベルが高くない事、そして北海道の建物性能基準を見直すべきである事が、理解頂けると思います。
決め事が全て東京であっても、地方の実情に即した基準設定で有るべきです。
問題は中央ではなく、地元の状況分析が甘い、基準設定責任者が最大の原因かもしれません。
今建てている新築住宅も、10年経って見た時、その時代から見れば余りにも脆弱でエネルギー過大な、粗悪建物と言われる状態に成るでしょう。
エネルギー問題に直面し、住いの在り方から、見直さなければ成らない時代背景に陥る事が明白です。
北海道の住いは、スウェデーンの一般住宅並みに、壁断熱300㎜、屋根(天井)断熱500㎜の性能レベルが必要です。
そうすれば、住宅の一つの目安である築後30年経過しても、その時代の新築住宅と比較しても、省エネ住宅として引けを取らない住宅に成るでしょう。

トップページへ > いろいろな疑問トップへ

パッシブハウス・無暖房住宅・外断熱の今川建築設計監理事務所: 2010年08月26日|ページの 先頭へ|