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Ⅴ.パッシブハウス5つのポイント(その5)

パッシブハウス5つのポイント

④気密施工に措ける測定結果は、50Pa加圧、減圧測定で0.6回/h以下とする。

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パッシブハウスの条件4つ目は、気密測定値に関するものです。
気密は、断熱性能を左右すると共に、熱損失に於いても大きな要因です。

室内外の温度差や外で吹く風などにより起こる必然的条件で、気密不良部分からは繰り返し内外の空気は出入りしています。

気密の重要性に関するレクチュアは、このパッシブハウス研究所(PHI)以外でも、過去に訪れたスウェーデン、デンマークなどの、パッシブハウスを推進する研究者や設計者達が、口々にその重要性を話します。
気密は、空気の出入りで熱損失を起こすだけではなく、断熱材の性能低下を招き、さらに室内からの湿気移動を容易に行わせてしまう事に成ります。
室内の湿気を、床、壁、屋根(又は天井)内へ容易に進入させてしまう事は、各部で内部結露を起こさせる事に繋がります。
それは、床、壁、屋根(又は天井)内、結露となる事は、カビの発生や活動を活発化させ、入居者への健康被害へと成ります。
また、構造部材等を腐らせたりして老朽化を早めます。
気密・防湿の不備は、建物本体への害と居住者の健康をも脅かす事に成るのです。
古い家の、独特の臭いは、カビの発生による建材からの臭いに因るものが殆どです。


この事は、日本でも知られていますが、気密性能に対する取り組みが、日本の場合は曖昧に思えます。
高温多湿気候で、四季のはっきりした日本の気候では、この気密、防湿対策は曖昧では良い結果を生みません。
特に、本州地域では、気密と防湿が曖昧に処理されていると聞きます。
本州地域でも、気密と防湿は重要で、その確実な施工は不可欠な事と考えます。


パッシブハウス研究所(PHI)では、パッシブハウスに於いては、気密・防湿の重要性を更に増す為、防湿層の連続性の維持、特に窓廻りの防湿層端末処理付いて説明が有りました。

また、気密測定は、
①出来るだけ工事中の、測定が行える速い段階で行う事。
②気密測定を行う事を、最初から工事関係者に説明しておく事。
③測定は竣工間際か、仕上げ工事時期でも行い1工事2回の測定とする事。
④測定は加圧、減圧両方を行い、その測定圧は、50Paで行う事と説明されました。


①の出来るだけ測定が行える速い段階で行う事は、
測定により不良な箇所が分かり、直ぐにその場で改善出来る事を意味します。
幾ら、丁寧な施工をしても、その気密性能は測定してみないと、実際の性能は分かりません。
また、施工者が毎回変る恐れのある工事現場では、その図面や指示からでは施工者の理解や施工能力は測れません。
結果、気密性能値に差が出てくる事に成ります。
ですから、出来るだけ速い段階(測定可能状態)で、測定を実施しその性能の確認と改善を行う事をベストとしているのです。


②気密測定を行う事を最初から工事関係者に説明しておく事は、
気密測定を行うか行わないかで、施工者の施工に対する取り組み度合いが大きく変ると言う事です。
これは、人間心理と、その事柄に対する人間の対策効果を意味します。
意識して気密施工を行う方が、より高い精度が期待できます。
また、施工者の取り組みにも変化が有る事は、予測出来る事だと思います。


③測定は竣工間際か仕上げ工事時期でも行い、1工事2回の測定とする事は、
1回目の測定は仕上げ前で行い、その不良箇所を改善、またはその結果で工事精度が把握できます。
仕上げ時の測定は、一回目の測定後と、その後工事中に気密層破損や、不手際が無かったかの確認です。
また、引渡しでの気密性能ですから、その建物の総合性能を占う為にも重要な測定と言えます。


④測定は加圧、減圧測定の両方を行い、その測定圧は50Paで行う事は、
ISO基準でも加圧、減圧測定の両方を行う様に定めています。
パッシブハウス研究所(PHI)でも、『減圧状態で問題無くても、加圧状態で変化が現れる事もある』と説明されました。
また、自然界の中では、室内は、加圧、減圧状態に成る事を考えると必要な事と言えます。
50Paは、かなりの強風状態を再現します。
この数値での測定を行えば、気密性能の信頼性も高まります。
50Paは国際基準です。
日本も国際基準とすべきです。(日本の測定圧は、9.8Paです)
台風の少ないEU権で50Paを実施し、台風銀座の日本で9.8Paの低い圧力を測定基準としている事には、矛盾を感じると共に、気密に対する重要性の認識が低いとしか思えません。


加圧、減圧測定するには、Blower Door( ブロアードア-)と言う機械を使用します。

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(ドイツ、プロクリマ社気密実験棟で、ブロアードアを確認するクーラーさん)


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(ブロアードア-1)


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(ブロアードア-2)


次回は、⑤換気は熱交換換気装置で行い、熱交換率は75%以上とする事に続く。
http://imagawa-k.jp/2009/04/75.html

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パッシブハウス・無暖房住宅・外断熱の今川建築設計監理事務所: 2009年04月23日|ページの 先頭へ|