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耳栓の違い

2008年北欧国際建設見本市(NORDBYGG2008)が、スウェーデンのストックホルムAlvsjoで開催されました。
建築機材や工法を始め、多くの建築機器の展示が有りました。

各展示ブースを廻りながら、ある展示に寄りました。
そこには、工具と作業保護具が展示されていました。
サンプルで置いてあった耳栓を貰いました。
その耳栓の種類が豊富なのに驚きました。

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(スウェーデンの展示会で貰った耳栓の一部)

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(包み袋に記載されていた、使用方法と注意書き)


写真の様に色々な形状をした耳栓が有ります。
この形状も、人間工学とかの理論的な形なのでしょか。


私は、就寝する際、耳栓をしています。
そうする事で、夜中に小さな音で目を覚ます事が無くなり、朝まで熟睡出来るからです。
そこで、スウェーデンからのお土産的耳栓をしてみると、耳穴にフィットするのです。
しかも、目覚まし時計や若干の音は聞こえますので、適度な性能です。
また、長い期間使用しても材質的に硬くならない素材で出来ています。
日本製品は、材質的に硬く、経年変化の出る素材で作られている様です。


この耳栓で思う事は、製品の用途を考えた物作りと、人に対する取り組みの違いを感じるのです。
スウェーデンの工事現場を見に行くと、作業員は大きなヘッドホーンを装備しています。
これは、騒音負荷に対する耳への配慮からです。
更に、騒音の激しい時は、サンプルで貰った耳栓をしてから、ヘッドホーンを装着するのでしょう。
こうした、作業装備に付いても、色々考えさせられます。


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(作業員の耳には、ヘッドホーン式の耳保護器を装着している様子)


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(どんな作業中も、装備出来る様にヘルメットには装備されている)


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(ヘルメットに装備されている、ヘッドホーン式の耳保護器。写真提供:(有)優和冷暖)


また、機材を切断する際は、保護めがねを必ず着用して作業をしています。
この作業時の標準装備品の違いは、騒音の耳への影響や、切断片から目を守る事への適切な処置です。
しかし、日本の工事現場では、その様な装備を身に付けて作業をしていません。


下の写真は、スウェーデンの工事現場に有った軽量間仕切り材の切断工具です。
日本では、高速カッターでの切断ですが、スウェーデンでは音も火花も切カスも出ない、工具での切断です。

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(日本では機械カッターで切断する為、切断カスの飛散など目を傷める事が考えられますが、この工具ですと火花や切断カスが出る事がありません。写真提供:(有)優和冷暖)


耳栓もその様な考え方から、使用者個々に合わせられる形状が用意されているのです。
また、その材質も必要条件に合わせ、作られているのです。
こうした製品を見ていくと、如何に人を大切にしているのかが分かります。
人を人として考えている国が、スウェーデンではなかと思います。


アスベストの問題も、スウェーデンでは古くから注目され、対応されていたようです。
しかし、日本では今でも救済は後手で、最近でも公共施設でアスベスト使用が分かり、慌てて施設を閉鎖して混乱を招くような状況すらあります。
昨日まで使用したり、今現在も使用している建物でアスベストが使われているかもしれないのです。
これだけ問題視されている材料の使用状況を、国が把握しきれな現実を、許されるのが日本なのです。


また、スウェーデンのREC換気会社での説明では、地中からでるラドンガスの問題も対応しているようです。
皆さんはラドンガスが、肺がんなどを誘発する事をご存知ですか。
アイルランドなどでも、国内でのラドンガス濃度分布図があるそうです。
また、ラドンガス対策に、床に敷き詰めるシートも有るのです。


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(床に敷かれたラドンガス遮断シート(赤色)、この上に土間コンクリートを打ちます)


私は、20年位前に、あるセミナーでラドンガスの事を知りました。
当時の話では、スウェーデンでは、ラドンガスが問題視されているとの事でした。
また、ラドンガスが地中から出てくる事と、ブロック材からは他の材料から比べるとやや多い事と、石膏ボードからも僅かながら出てくる事を聞きました。
当時は、ラドンガスの存在も名前も知りませんでした。
精々、怪獣の名前でのラドンでした。


しかし日本では、20年経った今でも、ラドンガスに付いては何の規制も対策指針も出ていません。
またその危険性や、どの程度の問題なのかも話題すら上りません。
スウェーデンでは、『日本にはラドン温泉と言った温泉施設が有るが、ラドンガスとの関係はないのか』
とよく聞かれます。
知識の無い私達は、苦笑いする事しか出来ません。
今後、数十年経ってから、日本でもラドンガスに付いて問題視される様に成るのでしょうか。


ヨーテボリ市 エコセンター:建築材料の部屋のサイトでは、電線に含まれるエフタラートと呼ばれる成分が、血液中から検出された事を記載しました。

ヨーテボリ市 エコセンター:建築材料の部屋
http://imagawa-k.jp/2006/08/ecoc5.html


環境ホルモン汚染も最近耳にしなくなりました。
しかし、その恐怖は決して解決した訳ではありません。
このエフタラートなる成分に付いては、Googleで日本語検索しても出てきません。
日本語では、発音が違うのか、呼び名が違うのか、はたまた注目されていないのか分かりませんが、スウェーデンでは問題視されているのです。


『メス化する自然』デボラ・キャドバリー書にある様に、内分泌攪乱化学物質が、体内で静かに潜伏し徐々にこの効果を出してくる事が公開されています。
これは、擬似化学成分がホルモンのバランスを崩し、自然界では男性ホルモンが女性ホルモン化して、生殖機能が退化する事が起きていると言うのです。
正しく、見えない異常が地球上で進行している恐ろしさなのです。


このエフタラートも、近い将来日本でも問題視されるのでしょう。
ある一部の知りえる状況にある人だけが、その危険性に対し対応出来る様な社会システムでは、国民の安全を賄う事は出来ません。
安全基準の後追い国では、真に国民を大切にする状況には無い言えます。


建物の気密化が進むと、室内汚染空気の問題が有ります。
VOC問題も、日本が世界に先駆けて実施した訳では有りません。
仮に、この問題にラドンガスやエフタラートなどの問題が加わると、さらなる換気対策や遮断方策が必要と成ります。
無闇に危険性を煽る必要は無いと考えますが、アイルランドの様にラドンガス濃度分布図を作成し公開している国から比べると、日本では人への配慮が後手に廻る傾向があるのではないでしょか。
耳栓一つの事からですが、日本とスウェーデンや他の国とでは、人を大切にすると言う観点に違いが有ると思います。

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パッシブハウス・無暖房住宅・外断熱の今川建築設計監理事務所: 2008年12月01日|ページの 先頭へ|