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14-6.日本とスウェーデンでは、物事に対する哲学の違いが有る。

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今回は、『無暖房住宅から見える北海道住宅』の最終回、日本とスウェーデンでは、物事に対する哲学の違いが有ると、題して書きます。


無暖房住宅の設計者、ハンス・エーク氏はフィロソフィ(哲学⇒人生観、悟り、生き方)を、よく口にします。
例えば、木材の含水率に付いて質問すると、数値が返ってきます。
その数値に対し、『数値は、スウェーデンの建築基準か』と質問すると、『私の、フィロソフィだ』と答えが返ってくるのです。
彼の、人生、生き方には、フィロソフィ(哲学⇒人生観、悟り、生き方)が有るのです。


私は、スウェーデンには、フィロソフィ(哲学⇒人生観、悟り、生き方)が、根付いていると思います。
拘りや譲れないラインを、あらゆる場所や人々の行動で感じます。

無暖房住宅は、フィロソフィが根付いている国、スウェーデンに有ります。


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この表は、2003年~2004年度ヨーロッパ諸国の、屋根断熱厚さの数値表です。
ご覧の様に、スウェーデンが450㎜(現在は500㎜)で、一番厚い断熱厚さです。
何故、スウェーデンがヨーロッパ諸国の中で、断熱厚さが一番なのでしょうか。
寒い国だから?それだけでは無いと思います。


私は、スウェーデンを3回訪問しました。
その都度に、驚きと感動を味わいます。


例えば、冬の歩道や車道に撒かれている、御影石を砕いた滑り止めの石です。
雪が少ない事もあるでしょうが、使用したその石は、春には回収され再利用されると聞きました。
雨水溝に落ちた滑り止めの石は、溝下に溜まり回収されます。
北海道の様に、融雪剤は撒きません。
環境問題が有るからです。


スウェーデンのトイレットペーパーは、私が幼年期の頃、トイレで使用した硬い紙質の、ロール状の物です。
日本の様に、白く柔らかな素材では有りません。
これは、漂白材や柔軟剤を使用しないためです。
これも環境に配慮した行動です。


スウェーデンの歩道や車道の外灯は、日本の道路の外灯数の約半分位の、台数しか設置されていません。
電気使用量は、二分の一です。
これは、エネルギー、環境への計算が有ると思います。
また、過剰な設備設置は不経済であり、必要最低限のイニシャルとランニングコストの追求から来ていると思います。


スウェーデンのショーウインドウやマンションの共用玄関ドアのガラスは、ペアガラスです。
どの建物も、ペアガラスで外郭を仕切っています。
これは、建物からの熱損失を減らす観点からは、理論的な方策です。
窓を強化する事は、省エネ効果を格段に上げます。
先の、屋根断熱厚さが、ヨーロッパ諸国でダントツなのは、省エネに対する取り組みの高さを表しているのです。


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スウェーデンの、空港施設の窓ガラスは全てペアガラスです。
左と右上は、待合室の窓ガラス、右下は飛行機内に乗り込む通路の窓ガラスです。
この様な場所のガラスまで、ペアガラスなのです。


市内を歩くと、全ての窓がペアガラスです。
日本のレストランなどで、窓際に座るとガラス面からのドラフト現象で、腰下が寒く不快に成る事が有ります。
日本のペアガラスの普及遅れは、スウェーデンに行くと強く感じます。


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表は、ヨーロッパの国々と日本のペアガラス使用量の比率です。
スウェーデンでは、100%の使用率です。


因みに、日本では5%程と出ています。
最近は、もう少し数字は上がっていると思いますが、ペアガラスは寒い地方で使用する物といった考えがあるのではないでしょうか。
本州でのペアガラスは、夏の遮熱効果や冬に措ける断熱効果への影響は、大きいと思います。


この様な、スウェーデンと日本の違いは、哲学の違いから来ていると私は考えています。
だから、全てが出発点から違うと思います。


こんな事も有りました。
無暖房住宅の設計者、ハンス・エーク氏が2005年日本講演で来日した際、私はその全日程に同行しました。


長野の旅館に宿泊した時、夕食の誘いの為、ハンス・エーク氏の部屋に行きました。
ハンス・エーク氏は部屋を出る際、2間続きの部屋の電気を全て消してから出てきました。
よく見る光景は、『電気も宿泊費に入っている』と言って、全ての照明を消す事は無いのではないでしょうか。
ましては、他国のエネルギーです。
(ハンス・エーク同行記http://imagawa-k.jp/2006/09/33_1.html


その行動は、ハンス・エーク氏が自国にいても、行っている事だと思いました。
彼は、ヨーテボリ市の通勤では、自転車と電車そして自転車を乗り継いで通勤していると、スウェーデン訪問の際に聞きました。
その時は、『遠い距離を大変だな』程度に余り気に止めませんでしたが、旅館で彼の行動を見た時、過剰な設備を持たない無暖房住宅の原点は、この精神から生まれたのだと思いました。


私は、スウェーデン国の考え方が好きです。
出来る事ならば、移住したいとも考えています。(現実は無理ですが)


先日も、日本の政治家が、消費税の値上げの件で、スウェーデンの税金に付いて、テレビで話しをしていました。
『スウェーデンは、20数パーセントも税金を取っている。日本で消費税を二桁にした処で、安いもんだ。』
これには、呆れた視点解釈だと思いました。


税金の数値だけを見て、その税金の使われ方やその透明性、適正な処理法など、外部から見て把握出来ない視点が有ると思います。
スウェーデン国内の質素な状況を見て、政治家が話した言葉通りで無い事は、訪問した私には分かります。


何故、高い税金を取られていても、住み良い国の上位に、スウェーデンはいつもランクされているでしょうか。
それは、高い税金でも、その透明性や使われ方が適正で、福祉政策の充実が住み良い国として評価されているからではないでしょうか。


日本の様に、税金の無駄使いの横行や、不透明感に対し国民が納得していない事を、この政治家は実感していないのでしょう。
税率のみの観点から、この政治家は述べているにすぎないのです。


そして、今の日本で、スウェーデンの税率まで上げたら、スウェーデンと同じ福祉政策が出来るでしょうか。
答えは、NOです。
数字だけ上げても、結果は伴わないでしょう。
何故ならば、日本の政治や福祉には、フィロソフィ(哲学⇒人生観、悟り、生き方)が無いからです。


スウェーデン人は、本当に質素です。
日本人の様に、チャラチャラしていません。
また、世界の動向に対しても、アンテナを張っています。
900万人たらずの人口で、何故、世界に通用する様な、優秀な企業や科学者、スポーツ選手が出るのでしょうか。
何故、その質素な中で、スウェーデン国民は、生き生きとした生活を送れるのでしょうか。
それは、国に哲学が有り、国民にも生きていく為の、哲学(フィロソフィ)が有るからだと思います。
スウェーデンでは、国民を財産だと言う考えが有ります。
失業している人を、再教育して社会復帰させる事は、国の義務だとの考えが有ります。
そんな中から、無暖房住宅が生まれました。


日本でも、無暖房住宅を商売にしようとした動きが有ります。
しかし、日本では、無暖房住宅は商売には成らないと思います。
何故ならば、無暖房住宅を造る発想の原点が、スウェーデンと日本では違いすぎるからです。
ネーミングや、イメージ先行では、継続出来ないでしょう。
また、そうした物事への、研究や学問が脆弱です。


そして、何よりも、拘りがなければ、継続は出来ないのです。
フィロソフィ(哲学⇒人生観、悟り、生き方)が無い物は、長続きしません。
そして、本物も生まれません。
私は、スウェーデンのフィロソフィを感じ、それを自分と重ね合わせて無暖房住宅に取組んでいます。


『無暖房住宅から見える北海道住宅』  終り。

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パッシブハウス・無暖房住宅・外断熱の今川建築設計監理事務所: 2007年12月16日|ページの 先頭へ|