2005年2月22日(火)
そして、不安が的中しました。
4~5km走ってアクシデント発生です。
マイクロバスが、T字路交差点前でエンジントラブルを起こし、エンスト状態になったのです。
郊外の道とはいえ、夕方の帰宅時間のため徐々に交通量が増え、バス後方には約10台位の渋滞が発生してきました。
そこで、全員が降りて車の誘導にあたりました。
ハンス・エーク氏はその行動に感動したらしく、車から降りて誘導風景をカメラに収めていました。
30、40分後、代替バスがきて無事ホテルに向かいました。
しかし、マイクロバスの運転手さんはさらに誘導を続けた様です。
ホテルへ向かう途中、講演に使用する機材購入の為、総合家電店に寄りました。
店内で、暖房用のファンヒーターを見つけたハンス氏は、『これは何?暖房機か?こんな物を室内で使用したら室内空気が汚れるのではないか?内部燃焼機材を室内で燃やす空気はどのようにして、確保するのか?』と質問してきました。
『長野や東京その他の地区でも、この暖房方式です。 セントラル方式の全室暖房は行われていない、壁断熱も100㎜以下で気密や換気についてはあいまいな状態です。』と答えると両手を広げて日本の断熱・気密・暖房の劣悪さを、再認識した様子でした。
宿泊先は、湯田中温泉『よろずや』と言う旅館で、創業200年を越える老舗旅館です。
本館から松籟荘と言う昭和14年(1939年)に完成した木造数寄屋造りの建物に通されました。
エレベーターホールから、松籟荘の内玄関上がり框は屋久杉の一枚板で、廊下床板には欅の一枚板などを使用してあり、今では入手出来ない素材をふんだんに用いた贅を尽した造りです。
ハンス・エーク氏は大変気に入った様子です。
ハンス・エーク氏の部屋は本間10畳+次の間4.5畳+踏込み2畳+書院+広縁+ヒノキ風呂+トイレといった部屋で、『この部屋で、独りで寝るの?』と質問。
しかし、室内風呂があるため後でゆっくり入れると気に入った様子です。
夕食前に大浴場風呂に入ることになっり、ハンス・エーク氏を誘いに部屋に行きました。
ハンス・エーク氏は、浴衣に着替えて部屋にいました。
部屋から出る際、ハンス・エーク氏は、部屋の全ての照明を消して出てきました。
こんな行動を普通に行うハンス・エーク氏を見て、彼の人柄や取り組みに共通する点を感じました。
また、無駄を嫌うスウェーデン国の一面も見た思いでした。
ハンス氏・エークは、サウナでの習慣はある様でしたが、大勢で入るお風呂の経験は無いようでした。
大浴場の浴槽に入って間もなく、ハンス・エーク氏が見えなくなりました。
付近を捜しましたが見当たらず、衣類も無いので部屋に戻ったと思いました。
我々は、背中を流し合い快適な風呂を満喫し、ハンス・エーク氏の部屋に行くと、やはり暑い風呂には入る習慣が無く、湯が苦痛で部屋に戻ったとの事でした。
ハンス・エーク氏は、後で内風呂で低温水にして入ると言いました。
少し遅く成りましたが、大広間に集まり全員で夕食と取りました。
ハンス・エーク氏は、縁側越しに見える庭を、珍しそうに見ていました。
膳を前に、旅館のお上さんがマイクロバスの不手際を謝罪し、我々もその話題で少し盛り上がりました。
ハンス・エーク氏に、この建物の感想を聞くと、『部屋の暖房は、温風ラジエター方式で室内に風が巻くため不快である。』気密性の悪い引き違いの建具と、単板の窓ガラスに疑問を述べ、さらにパワーによる暖房方式の不快感と不経済性をのべた。
建物も古く、感想が日本の全ての建物に共通する訳ではないが、大きく改善されている訳でもない。 ハンス・エーク氏の言葉が、的はずれなものでも無いと思った。
私達は、日本の建物の現状を体験した上で講演会に望んでもらう事が、ハンス・エーク氏の感想や無暖房住宅を試みる事へのアドバイスを語ってもらう上で良い事と考えていたので講演でハンス・エーク氏がどんな事を話すのか更に期待が膨らんだ。
6.『長野講演』(その1)に続く。