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窓は壁に近づく(その1)

『窓は壁に近づく?』

何の話しかと言うと、窓の断熱性能が、壁の断熱性能に近づくと言う話しです。

例えば、無暖房住宅の窓は、木製の高性能窓です。

それは北海道の住宅で、現在主流として使用されている、窓(PVCサッシ)の約3倍の性能です。

この窓は複層ガラスに、クリプトンガスと言う特殊な気体を入れる事で、高い熱遮断を実現しています。

それでも、高断熱な無暖房住宅の壁部分の、1/8の性能でしか有りません。
如何に、窓の性能を上げる事が、大変かが分かります。


北海道の住宅で、今や主流に成ったPVCサッシですが、25年程前にはその性能に付いて、『PVCの経年変化での部材割れや、表面の劣化による強度不足の惧れ』など、疑問も声が多かった事は事実です。

しかし、若干の問題は有るモノの、その心配程の事は有りませんでした。

このPVCサッシが、住宅に使用される事で、アルミサッシ時代に問題視された、サッシ部分での結露が改善されました。
また、年々改良されるガラスにより、その性能もアップし、室内気候の改善にも貢献してきました。


しかし、住宅の室内気候を更に向上させるには、この窓部分の性能向上が決め手と成ります。
建物内から、熱が逃げる部分として、窓はその一番多い部位だからです。

窓は熱損失部の弱点部でも有りますが、視覚的効果や、日差しを入れ太陽エネルギーを室内に取り込む、換気を行う用途など、無くてはならない部位です。

この短所と長所を持つ窓を、長所が殆んどにする事が出来ないでしょうか。


そうした、熱的欠点部分の窓を、壁の性能に近づけて出来たのが、無暖房住宅でした。
無暖房住宅の窓のK値(U値)は、0.85W/㎡Kです。
それでも、無暖房住宅の壁性能値K値(U値)は、0.10W/㎡Kから見ると、8倍の差が有るのです。

ガラス単体では、もう少し数値が良いのですが、ガラスだけでは窓として機能しませんので、窓枠フレーム部分とセットされる事で、窓全体のK値(U値)は少し下って0.85W/㎡Kです。


パッシブハウスを多く造っている、ヨーロッパ諸国では、ガラスや窓枠の性能に付いて、研究開発が進んでいます。
スウェーデンの窓メーカーでは以下の様な、高性能ガラスが開発されています。


複層ガラスの性能表

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日本ではまだ聞き慣れない、クリプトンガス(表中の赤ライン)を使用しています。

クリプトンガス入り複層ガラスは、日本国内では現在最高性能と言われる、アルゴンガス入りの複層ガラスよりも、高い断熱性能が出せます。

スウェーデンなどのヨーロッパ諸国では、建物には不可欠であは有るが、熱損失の弱点である窓を、如何に補強するかの課題に取組んでいます。


日本では最近、複層ガラスの内側に、真空層を設けたガラスが開発されています。
私も2度程、新築工事で使用しましたが、室温の安定には効果が有りました。


真空ガラスの例。

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寒い日には、ガラス外面に霜が付き、なかなか融けない状態に成る事を、お客様からお聞きしました。
お客様は、近所の住宅の窓ガラスにはそんな現象は無く、ガラスの高性能を認識たそうです。


高性能な窓ガラスに付いた、霜の例です。
熱伝導の高い窓枠側から、霜は融けてきます。(スウェーデンの高性能ガラスの例)

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以上の様に、ガラスの性能は大変向上してきていますが、追いついていないのが、窓のフレームです。

現状、北海道ではPVCサッシが普及し、過去のアルミサッシの様な、窓枠部分の結露が解消された処ですが、最近そのPVCサッシのフレーム部分での、僅かな結露の話を聞きます。

現状の普及住宅よりも、床、壁、天井の高断熱化を進めていくと、熱貫流率の低い窓枠などの部分で、更に高い性能の要求が出てきます。

つまり、世間一般に普及しているPVCサッシ程度では、省エネ性能の高い住宅では、熱貫流が多くてその用途が達せられないのです。

断熱性能を向上させると、僅かな熱損失部位で、更なる性能を要求する現象が起きてきます。

つまり、現在流通している窓性能では、省エネ住宅には使用出来ないのです。


そうした事を、先行研究開発しているヨーロッパ諸国では、窓フレームはPVCから木製に移行し、更に、その熱伝導を最小にする工夫が考案されています。


木製窓フレームに施された断熱材処理の例。

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写真の様に、(左写真)黄色の部分や(右写真)ピンク色の部分には、木材よりも熱伝導率の小さい断熱部材を使い、窓フレームからの熱の伝わりを少なくする方策が取られいます。

窓枠は、100㎜から110㎜位の幅しか有りませんが、その僅かな部材間に措いて、熱を逃がさない対策を施すまで、ヨーロッパ諸国では取組んでいます。

高性能なパッシブハウスに措いては、熱橋(ヒートブリッジ)部分対策が重要に成るのです。


窓枠幅が80㎜位で、窓枠部材は中空なPVCサッシが主流の北海道住宅と比べると、大きな違いが有ります。
高気密・高断熱を謳っている北海道住宅ですが、ヨーロッパ諸国から見ると、如何にそのレベルが低いのかが分かります。


窓は壁に近づく(その2)に続く。
http://imagawa-k.jp/2007/05/2_2.html

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パッシブハウス・無暖房住宅・外断熱の今川建築設計監理事務所: 2007年05月22日|ページの 先頭へ|