窓は壁に近づく(その1)では、高性能な窓にする為には、ガラスの性能と窓枠の改良が、必要である事を書きました。
パッシブハウスに近づけるには、建物からの僅かな熱損失にも対応しなくては成りません。
北欧やヨーロッパ諸国では、今後のエネルギー問題や地球温暖化対策の為に、建物の性能向上と改修を積極的に進めています。
ヨーロッパの高性能窓の例
窓框部分に断熱材を挟んだり、PVCサッシ框部分に断熱材を封入して、断熱化を計っている。
更に、ショッキングだったのは、ドイツのあるホームページに有った、下の記事です。
窓の取り付け位置で、熱性能が35%程も変わるのです。
最初の絵は、断熱材部の近い位置に、窓を取り付けた時の数値です。
断熱材の近い位置に取り付けた高性能な窓は、U=0.78W/mKです。
断熱材の外側方向に取り付けた窓は、U=1.19W/mKと35%も性能が落ちます。
幾ら高性能な窓を取り付けても、取り付け方を誤ると、その性能を生かす事が出来ないのです。
熱ロスの大きい例と同じ、断熱材よりも外側に窓を取り付け方式は、現在の北海道内の住宅では一般的な取り付け方です。
つまり、現状北海道の住宅に措ける、窓の取り付け位置では、熱を35%もロスさせているのです。
しかも、窓製造販売メーカーが出している、窓の取り付け図面は、全てこの様な取り付け位置で書かれているのです。
この数値の差は、現状の日本家屋に取って、致命的な数値と言えるモノでは有りません。
その意味は、まだまだ多くの熱をロスさせている、現状の住宅に取っては、問題に成る熱ロスの数値では無いと言う意味でですが。
しかし、この事実を知っていて、私達建築家や施工店、製造メーカーが、消費者に対し提供しているかが、大きな問題だと考えいます。
日本の建築学の、遅れを感じた記事でした。
断熱軸よりも外側に取り付けられた窓の例。
現状の建物の殆んどが、この様な窓の取り付け方で建てられています。
私達建築家の勉強不足も問題ですが、窓メーカーの研究不足も有り、消費者はその付けを負わされているのが、現状なのです。
そして日本では、この様な建物に対する熱ロスや、熱橋対策の研究と取り組みが、総合的に遅れているのです。
インターネットの普及で、この様な事実を知る事で、その問題点と解決に動けますが、省エネとか温暖化対策とか言う割には、日本の省エネ技術と建築学は、ヨーロッパ諸国から見ると後進の様です。
特に、寒冷地住宅の窓、ドアなどの外郭をカバーする、住宅部材の性能に対する、メーカー側の遅れが指摘されています。
これは、寒冷地地区に住む、私達、北海道民にとっては、無視出来ない大きな問題だと考えます。
『窓は壁に近づく』とは、ヨーロッパ諸国での話で、日本では、まだまだそんな話を言えるまで、建築業界がその領域まで来ていないのが現状なのです。
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http://imagawa-k.jp/2007/05/post_5.html