バルナモ市からの帰り、高速道路のサービスエリア内の、ガソリンスタンドで給油をすませ、ヨーテボリ市に向かいました。
帰り道の道路際には、岩盤が至る所に姿を見せています。
スウェーデンの地盤が、岩盤質である事がよく分かります。
岩盤の上に建つ建物。(ヨーテボリ市内)
道路際に、むき出しの岩盤。(ヨーテボリ市内)
日中に、解けた氷や雪の水が、夜間に氷った氷壁がありました。(ヨーテボリ市内)
都心で見た、スウェーデンと日本の違いを続けます。
スウェーデンの、共同住宅(マンション、アパート)は、防寒対策と暖房設備が行き届いています。
共同住宅(マンション、アパート)の、共用玄関をガラス越しに見てみました。
共用玄関の内部です。
正面に、エレベーターが見えます。
よくご覧下さい。
左隅有る、壁付け台に穴が見えます。
壁付け台下に有る、暖房パネルです。
壁付け台の穴は、暖房パネルからの、熱を上昇させる目的の穴です。
この様に、スウェーデンの共同住宅の共用玄関には、暖房設備が必ず有ります。
皆さんの、マンションやアパートには、共用部に暖房は有りますか。
暖房が設置されている、建物にお住い方は少数派でしょう。
何故、日本のマンションやアパートには、共用部分に暖房設備がないのでしょうか。
この違いが、大きく居住環境を変えます。
何故ならば、共用部分(共用玄関、階段、非常用階段、エレベーター部分)も、建物内に有り、それらの非暖房部分は温度が低いエリア成る為、居住部分(暖房部分)からの熱移動が起こります。
つまり、建物内に有りながら、共用部分は熱損失を招く、内か外かの曖昧な空間と成っているのです。
スウェーデンの共同住宅の共用部分は、断熱性の高いドアや複層ガラスで外部と区切られ、そこに暖房器を配置して、適度な温度を保つ用に設備しています。
日本の共同住宅の様に、住居のドアの外が直ぐに外部であったり、外部と区切る共用部分が非暖房エリアである事は、住居内本来の室内気候を安定させる事には成りません。
日本の建物は、外部と住居内を区切る方策が、曖昧なのです。
この写真は、ヨーテボリ市郊外の、レストラン店舗内の、窓際の写真です。
窓下には、輻射暖房パネルヒーターが、取り付けられています。
こうした状況は、スウェーデンでは当たり前の事ですが、日本ではどうでしょうか。
日本では、天井から温風が吹き注ぐ、暖房方式が殆んどです。
食事を取る場所で、空気を掻き混ぜる様な暖房は、適当でしょうか。
また、北海道の殆んどのレストランでは、窓ガラスは1枚ガラスで、そのガラス面で冷やされた空気が、床面側に降りてくるドラフト現象で、足元が寒い事がしばしば有ります。
この様な違いは、改善出来ないのでしょうか。
同じ、レストランの窓ガラスです。
ご覧の様に、3層ガラスです。
暖房設備は勿論の事、大きなガラス面は断熱性を持った、性能の良いガラスが入っています。
この様な、スウェーデンと日本の違いは、何故起こるのでしょうか。
お金を支払う、同じお客の立場でレストランの窓際に座った場合、スウェーデンと日本との違いは明らかで、日本の場合いは、レストランで過ごす間、足元が寒い不快な時間と成ります。
しかも、省エネ、環境保護の立場から考えると、それは大きく違います。
最近、札幌市内の新しいレストランの窓ガラスが、ペアガラス(スウェーデンよりも性能の低いエアー6㎜ペアガラス)に成ってきました。
少しですが、店内環境を考慮し始めた感じがします。
しかし、スウェーデンのヨーテボリ市よりも寒い札幌市内では、まだまだペアガラスの普及は少ないのです。
次も窓の例です。
ヨーテボリ市に本社を置く、スウェーデン最大の設計事務所ホワイト設計事務所の打合せ室の窓です。
この窓も、木製サッシにトリプルガラスが入っています。
このビルは、古いビルなで、窓の改修が行われた様です。
建物の外郭を生かし、窓やドアを取り替える事で、室内は大きく改善されます。
時代の移り変わりで、建物の住器を取替える事で、建物が再生されます。
この様な建物を、スウェーデンでは、至る所で見受けます。
同じ窓の、外にあるオーニングです。
スウェーデンでは、窓に日除け用のオーニングを付ける事が多いのです。
断熱、気密を高めると、日差しの強い日には、室内はオーバーヒート状態に成ります。
その為、外部で日差しを遮るのです。
この方策は、日本でも真似出来る、良い方法だと思います。
視察先は進み、スウェーデン、ストックホルム市に移動しました。
ストックホルム市の住宅局を訪問しました。
ストックホルム市の住宅局庁舎。
庁舎位置口付近の様子。
1964年頃に、建設されたストックホルム住宅局庁舎は、かなり傷んだ感じがした。
写真は、ストックホルム市住宅局の、玄関にある回転ドアです。
日本に措ける回転ドアは、六本木ヒルズの事故以来、悪いイメージが有る様です。
しかし、あの事故はビル側と回転ドアメーカーにより、本来アルミ製で軽い素材で造られていた回転ドアを、ステンレス製の重い素材に変えた為に、起きた事故と聞いています。
回転ドアの省エネ効果を、一部の間違った使いかで、イメージダウンしてしまうのは、大きなマイナスです。
東京オリンピックの年に建てられた、この住宅局庁舎では、現役で活躍する回転ドアが回っていました。
庁舎内に展示されていた、ストックホルム中心街の模型。
殆んどの建物は、白一色で展示されているが、建替え、新築工事物件は、模型掲示に窓などが入れられ、現在進行中物件である事が、明確に分かる様に掲示されている。
ストックホルム市住宅局庁舎近く、お昼時間帯に、ビルに咲く窓のオーニングです。
カラフルな色の、オーニングが省エネ効果を高めます。
建物の断熱が高いと、日射による不要な熱エネルギーを遮断しないと、室内がオーバーヒート状態に成ります。
外部での、日射遮断効果は、室内での遮断よりも、2倍以上の効果が有ります。
ストックホルム市内で、目に付いた雨樋です。
北海道では、雨樋を付ける例は、稀です。
冬季間の寒さで樋内雨水が凍て、用を足さない事と、屋根に積もった雪が落ちる際、樋を壊す為です。
スウェーデンで雨樋を見かける時には、その様な問題が起きないのか疑問でした。
樋内のからの、凍った氷が出てきた状態。
途中で壊れた樋。
電熱線の入った樋。
同じ市内の古い建物の階段に付いた、車椅子用の補助スロープです。
この様な現場を見ると、日本ではバリアフリーの名の基に、階段をスロープに改修する工事を行いそうですが、あえてそうしていません。
前回の視察で聞いた話しでは、『障害者の人達の為だけではいけない、健常者の意見も取り入れられる、文化遺産や歴史的な物を全て障害者の為に改良はしない』と言う言葉でした。
この建物も、それに該当するのでしょう。
勿論、スウェーデンに措ける社会保障や障害者対策は、世界的に見ても水準が高い事は皆さんもお解かり事です。
しかし、その中で上記の言葉や写真の様に、それらを使い分けている実態を見ると、全てをバリアフリー化することが良いのかと、考えさせられます。
同じ、社会で障害者と健常者が住む上で、考えていかなければ成らない事です。
この写真は、何を撮ったか分かりますか。
ゴミのある階段の写真?ゴミではなく、小石です。
この小石は、滑り止め用の物です。
その石が階段に偏った写真です。
少し左際に、集まり過ぎていますが。
スウェーデンでは冬場、歩道や車道の滑り止めに御影石を小さく砕いた石を撒きます。
歩道の上の滑り止め小石。(2003年ストックホルム市内で)
春には、これらの小石を、道路掃除と一緒に改修するそうです。
それを、次の冬にまた使うそうです。
道路には、融雪剤などは多く撒かない様です。
北海道の道路には、大量の融雪剤が撒かれます。
私の家の車庫床は、コンクリート仕上げでしたが、公道に融雪剤を撒くようになってから、タイヤ部分のコンクリートが崩壊しだしました。
原因は、融雪剤に含まれる塩分の為です。
その融雪剤が、下水道に流れ込むことで、川や海が汚染しないのでしょうか。
この分野は、私の知る範囲では有りませんが、スウェーデンと日本の違いで、川や海にとって良いのはスウェーデン方式だと思います。
ただし、スウェーデンの降雪量が、少ないから出来る方式でしょう。
もう1つ不思議に思う事が有ります。
スウェーデンでは、車のスパイクタイヤ装着率が高いのです。
都心では、スタットレスでも良いのですが、郊外や地方ではスパイクタイヤが、必要の為と聞きました。
しかし、その状態で、道路のすり減りが少ないのです。
北海道の、スパイクタイヤ全盛の頃は、道路の磨耗が激しく、粉塵公害と言われました。
しかし、スウェーデンではそれが無いのです。
道路面のアップ写真です。
良く見ると、小石が綺麗に研ぎ出されています。
舗装に、小石を混ぜているのです。
これも土木工事の領域で、詳しくは分かりませんが、スウェーデンの舗装は、小石の量が多くそして硬い様です。
其れに比べて、日本の舗装は柔らかいと思います。
岩盤地質である、路盤下の状況も大きく違いますが、表層の事ですから、研究の余地があると思います。
スウェーデンの道路工事で、路盤下に断熱材を敷きつめるカタログが有りました。
断熱材の使い方や、路盤の造り方、表層の素材の改良などで、道路維持が容易になる様研究して欲しいものです。
維持が容易で、長持ちすれば、予算の組み方も変わります。
何れにしても、造る時に、長持ちする造りが大切です。
スウェーデンと日本の違い(4)へ続く。
http://imagawa-k.jp/2007/03/4.html