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地球温暖化とオイルショック(1)

『不都合な真実』誰に取っての不都合か?


先日、ドキュメンタリー映画『不都合な真実』を、見てきました。

映画『不都合な真実』のパンフレットと、アメリカ、ゴア元副大統領
不都合な真実.jpg


映画を見る切っ掛けは、2007年度に、ご自宅を新築されるお客様からの推薦でした。
仕事柄、省エネ対策など建物との関りで、地球温暖化などには多少の知識は有りましたが、それ以上に地球の危機が迫っている事が分かりました。


何故、差し迫っている脅威に対して、人類はその脅威を正視しないのか。
京都議定書(COP3)を批准しない、アメリカ、オーストラリアに対して世界各国は挙って非難しないのか。
そして、何故二国は批准しないのか。
そこには、映画のタイトル通り、『不都合な真実』があると思います。


温暖化対策図.jpg

緑色:署名・批准済みの国
赤色:署名したが批准を保留中の国
黄色: 署名したが批准を拒否している国
灰色:態度未定


1997年決議された京都議定書(COP3)で、日本は2010年までに、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、代替フロンである、HFC、PFC、SF6の6ガスを、排出量合計で1990年時点の数値に戻すに事になっています。

日本の排出量削減数値の1990年時点とは、京都会議が行われた1997年では、当時の排出量から-6%の削減が必要でした。
ところが、2006年段階では1997年当時よりも+7%の増加が起っており、-13%削減の必要まで増えた事が、ニュース報道されています。
しかし、日本政府はいまだに『チーム-6%』と宣伝して、実際の13%~14%の削減目標を数字には表していません。

これも、『不都合な真実』でしょうか。


2007年の冬は、過去に例を見ない様な暖冬です。
北海道内も、積雪量は例年の1/2程度で、気温も高めです。
世界各地での、異常とも思える気象上の災害は、年々大型化し数も増えてきています。


映画の中で、その原因は温室効果ガス(二酸化炭素)の増加を上げています。


地表温度の上昇予想(無暖房住宅の設計者、ハンス・エーク氏の講演より)
ガスの上昇図1.jpg


現在の、主たるエネルギーは、化石燃料の石油です。
石油を、燃料とし燃やした際、二酸化炭素が発生し、それが地球上空に留まり、地球から宇宙に排出されるべき熱を、必要以上に止めてしまう効果があると言われています。
これが、温室効果ガスと言われる所以です。

では、石油社会の中で、一市民はこの問題にどの様に、対応したらよいのでしょうか。

政府の推奨は、クール、ウォームビズや室内冷房設定温度は28℃、暖房時の室温は20℃になどが、広報されていますが、映画『不都合な真実』のパンフレットに書かれていた、【私にできる10の事】を紹介します。


①省エネルギー型の電気製品や電球に交換しましょう。

②停車中は、エンジンを切り、エコ・ドライブしましょう。

③リサイクル製品を積極的に、利用しましょう。

④タイヤの空気圧をチェックしましょう。
  車の燃費基準を上げれば、無駄なエネルギーを消費防げます。

⑤こまめに蛇口をしめましょう。
  水道の送水に使用されるエネルギーを、削減することが出来ます。

⑥過剰包装、レジ袋を断わりましょう。
  買い物は、リサイクル・エコ・バックを使いましょう。

⑦エアコンの設定温度を変えて、冷暖房のエネルギー削減をしましょう。

⑧たくさんの木を植えましょう。
  1本の木は、その生育中に1t以上の二酸化炭素を、吸収することが出来ます。

⑨環境危機について、もっと学びましょう。そして、学んだ知識を行動に移しましょう。
  子供たちは、地球を壊さないでと、両親に言いましょう。

⑩映画『不都合な真実』を見て、地球の危機について知り、映画『不都合な真実』を見る様に、友達に勧  めましょう。


温室効果ガスの原因である石油燃料は、現在のエネルギーの主たる物で、これに変わるエネルギーはまだ確定的な物が有りません。

そうした中で、スウェーデンのエコセンターで聞いたレクチュアでは、太陽エネルギーが代替エネルギーとして、最も有力であると聞きました。

スウェーデンのエコセンター内にある、太陽光発電の展示
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それは、太陽から降り注ぐエネルギー1日分で、世界中が1年間使うエネルギー量と同じだそうです。
また、クリーンで、排出する不純物もありませんし、無尽蔵で毎日無料で供給されます。
これ以上の物は、現状では無いでしょう。
その太陽エネルギーを、如何に効率よくエネルギーとして活用出来るかが、地球温暖化対策への確実な方策です。

しかし、その時期がいずれ来るにせよ、当面は石油エネルギーからの脱却は出来ません。
徐々に、その必要性を解く形作りが必要です。
そうした中、建物造りも考え方を、変えていかねば成りません。
これからは、省エネルギーな建物が不可欠です。

映画の最後に、パンフレットの、【私にできる10の事】の他にも、自分達が行える行動案が字幕で出ました。
その中に、『断熱材をもっと入れましょう』の、字幕が有りました。
私は、この字幕の言葉が、大きな方策と考えています。


第三次オイルショックの襲来?


そんな中、オイルショックはまた来るのでしょうか。
昨年来のオイル価格の上昇や、産油国の国際情勢など、その兆候が出てきています。
石油による経済は、過去のオイルショックの教訓も生かせず、それに対する対策も成されないまま、現在もオイル依存度を高めています。


私は、オイルショックを30数年前に体験しています。
昭和48年(1973年)の第一次オイルショックです。
その後にも、第二次オイルショックが有りますが、記憶に残っているのは、最初のオイルショックです。
よく、ニュース報道などで、トイレットペーパーを買う行列のシーンが出る、あのオイルショックの時です。

この年、私は社会人2年目で、地方の市営共同住宅新築現場に居ました。
鉄筋コンクリート造の、4階建てが2棟の工事でしたが、オイルショックの影響で、工事中に鉄筋が入荷せずに、遠方まで鉄筋を調達に行く事を繰り返すなど、材料不足が深刻な状態でした。
建築資材は軒並み高騰して、工事予算よりも仕入れ金額が高く成る、逆転現象が起こりました。


この頃の、工事現場に措ける断熱材は、鉄筋コンクリートの建物の内側に繊維系断熱材のグラスウールを50㎜位、木で組んだ下地の間に押し込んで入れる様な施工状況でした。
下地の狭い所は、50㎜のグラスウールを引き裂いて入れた記憶が有ります。
寒冷地の、鉄筋コンクリート造の建物にそんな断熱ですから、完成した共同住宅の室内環境は決して良くなかったと思います。
その建物は、現在も共同住宅として活用されていますが、数年後には建替えられるでしょう。
当時は、断熱に対しての研究や理論も少なく、気密化や湿気に対する理解も有りませんでした。
建築業界でも、殆んどその様な事柄への関心が無かった時代です。


そんな第一次オイルショックが有った1973年頃を境に、日本でも進められた省エネですが、スウェーデンでは、全く違う考え方で高度な省エネが行われていました。
それは、オイルショックの元である、石油依存からの脱却を目指す動きです。
スウェーデンでも、石油は100%輸入です。
その輸入に頼る事が、将来的に不安であると考えたのです。
そして、石油への依存度を下げ、出来るだけその石油を永く使える様に節約する事と、やがては、枯渇する石油に代わる、エネルギーを構築しなければ成らないと考えたのです。


その事を前提とした、高いレベルの省エネへの取り組みが加速していきます。
まず行ったことは、建物に措ける断熱材の強化です。
断熱材を厚くする事で、熱を建物の外へ逃がさない様にしました。


スウェーデンの壁断熱材厚さの移り変わり(スウェーデン・ルンド大学建築物理学でのレクチュア)
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次に、断熱材の取り付け位置です。
日本では、先程の様に鉄筋コンクリート造の内側に、当時は繊維系断熱材のグラスウールを入れて断熱としていましたが、現在は石油系製品のウレタンフォームへと移行してきました。
確かに過去の薄い繊維系断熱材よりも断熱効果を高め、斑の無い施工が可能に成りましたが、断熱材の取り付け位置は、あくまでも鉄筋コンクリート造の壁の内側です。
この内断熱工法は、現在日本の断熱施工の主流です。


ところが、スウェーデンやドイツでは、断熱材の取り付けられている位置は、鉄筋コンクリート造の壁の外側なのです。
つまり、外断熱工法なのです。


外断熱と内断熱の熱移動の違い(スウェーデン・ルンド大学建築物理学でのレクチュア)
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この断熱材の取り付け位置が、内か外か選定ミスで、日本は大きな損失をした事に成ります。

その理由は、ヨーロッパでは鉄筋コンクリート造に措いて、外断熱工法以外に結露やカビを防ぐ事が出来ない事が、立証されているからです。

また、外断熱工法の場合、蓄熱効果のある鉄筋コンクリート造の壁面が、断熱材の内側にあるため、急激な温度の低下が無く、室温が安定できます。

バルコニーや共用部分が、熱橋(ヒートブリッジ)に成る事を防ぎ、熱損失を少なく出来ます。

外部が断熱材で覆われ、剥き出しに成らない鉄筋コンクリート躯体面は、その劣化や中性化の時期を延ばすため、建物の寿命(耐用年数)が延びます。

建物内で使用する人に取って、快適な室内空間を作る基本が出来上がり、さらに建物の寿命が延び、資産価値が上がるのが外断熱工法なのです。


(写真は、外断熱(上)と内断熱(下)の絵です。内断熱では断熱材と躯体コンクリートの境目付近で、室内水蒸気が露点(水化)と成ります。2003年スウェーデン・ルンド大学のレクチュアより)
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外断熱の採用無しに建物を造り続ける日本に対して、その理論と結論が分かる、スウェーデンやドイツの建築関係者は疑問を持っています。
何故、外断熱で建物を造らないのかと。


この断熱材が外か内かの分岐点が、オイルショックの時期に、スウェーデンと日本で起きていたのです。
正しく、正反対の行動です。
しかし、その外か内かの違いが省エネの差になり、スウェーデンでは石油からの脱皮を可能な事と受け止められる状況を作り、日本は石油の依存を深めています。


また、建物のストック状況に対する考え方も、大きく違ってきます。
日本では、スクラップ&ビルドが基本的考えで進められますが、スウェーデンやドイツでは、再生させる事を基本とします。
この違いは、環境を始め、経済的にも差が出て国家財政や福祉、教育などあらゆる面に影響します。


(写真は、2006年スウェーデン・ストックホルム市の団地再生工事現場です。
今年度から大規模な団地再生工事がスタートするそうです。)
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日本では、オイルショックから30数年経った今日でも、その間違った内断熱工法とスクラップ&ビルドは止む事が有りません。


日本では築年数が20年足らずでも解体される鉄筋コンクリート造の建物をしばしば見ます。
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日本の常識は、世界の非常識と成っていたのです。


私が、外断熱工法を知ったのは、今から15年位前です。
しかし、その時の外断熱工法は、理論を無視し断熱厚さも薄い工法でした。
結果、外断熱の悪評しか残りませんでした。
北海道に措ける、外断熱工法の暗黒時代です。


私は、5年程前に、その世界的非常識を、知る事と成りました。
改めて、外断熱工法の、理論と実践を目にしたのです。
スウェーデンでの、大学のレクチュアや、実際の現場施工状況を体験し、真の外断熱が分かる様に成りました。
外断熱工法の、意味と意義を知ると、内断熱工法が如何に愚かな工法かが分かります。


(ルンド大学建築物理学エルム・ロート教授。2003年スウェーデン・ルンド大学のレクチュアより)
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石油の成り立ちについては、色々な学説がありますが、何れ枯渇する事が大方の説です。
つまり、石油は何れは、無くなるのです。
その石油資源を、代替する資源が出来るまで、使い足ししなければ成らないのです。


そうした状況の中、日本の省エネ対策は、生ぬるいと考えます。
特に、世界的にもスタンダード化している、外断熱の普及が鈍足なのです。
永く使用する建物において、ライフサイクルコストを考えない建物造りは、非常識的な考え方です。
一番安い、省エネ材である断熱材を活用して、鉄筋コンクリートの有利な特性を生かす、外断熱工法を行う事は、最大の省エネ対策であり、石油依存度を緩和させる大きな手立てに成ると私は考えます。


地球温暖化とオイルショック(2)に続く。
http://imagawa-k.jp/2007/02/2_13.html

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