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ナイチンゲールの教え(最終)

フロレンス・ナイチンゲールが、日本の現状の建物を見たとしたら、どの様に思ったでしょうか。
大変興味のある事です。


例えば、高気密、高断熱住宅に対しては、保温は幾らか良いが換気が不足しているとか、換気装置のフィルターやダクトの性能とか、その維持管理に対しても、問題を指摘していたと思います。
フィルターの交換に付いては、そのサイクルなどを聞いて、厳しい質問をしたでしょう。


また、冬の換気不足や結露によるカビに付いても、何らかの考えを述べたでしょう。


『介護覚え書』の本を読んで、現在の建築物と照らし合わせると、如何に建築物が本に書かれている指摘に対して、150年経った今でも、それがクリアー出来ていない事が分かります。


病人や幼児の様に、その影響を大きく受ける人達を始め、憩いの場や安らぎの場として考えている住宅やその他の建物が、健康に対し悪影響を与え続けている事に、その改善を急ぐ必要を強く感じます。


フロレンス・ナイチンゲールの『介護覚え書』には、「部屋と壁の清潔」と言う章が有ります。
この章では、現在盛んにもてはやされている、自然素材の建材に対して、その問題を指摘しています。


勿論、150年前に現状の建材に付いて、予測して書いている訳では有りませんので、当時に於いて建材の素材と埃の処理や建物の維持管理により、如何に人に害を与えるのかを述べています。


今回も本の中から、幾つかの内容を紹介しながら、現状の問題点を書きます。


『看護の仕事は、その大きな部分が、清潔の保持ということから成り立っているからである。どんなに換気に努めてみても、清掃の行き届いていない部屋や病棟では、空気を新鮮にすることはできない』


『すなわち埃を、(追い出す)ための唯一の方法、それはあらゆるものを濡れ雑巾で拭くことである。そして家具はすべて、濡れ雑巾でぬぐっても傷まないようにつくり、また濡れても色が脱ちてほかの物を汚したりしないよう艶出し加工がされていなければならない』


電気掃除機が無かった時代ですから、埃は電気掃除機の毛ブラシを持って掃除をすればすむはずと、考えてるあなた。
掃除機をかけた後、指でなぞってみてください。
わずかな埃が指に付くはずです。
ナイチンゲールが言う様に、お湯で濯いだ濡れ雑巾を、絞って拭き取る事が最良なのは、実際に掃除をすると分かります。


その為には、濡れ雑巾で拭いても、色落ちしない塗装仕上げが必要であり、出来れば艶出し仕上げの建材や家具が最良と言っています。


しかし、現状の自然素材なる建材は、塗装も薄いか無塗装な物が多いはずです。
薄い塗装は、数年で表面保護の役目を、果たさなく成ります。
また、自然素材の建材の代表格である、珪藻土材料に至っては、粗面でわざわざ凹凸を付ける有様です。
その表面は、濡れ雑巾で拭く事は勿論できませんし、埃が表面の至る所に溜まる状態です。


そして怖いのは、
『空気がよごされるのは、ちょうど水が汚染されるのと同じである。水のなかに息を吹き込めば、水は呼気中の動物質によって汚染されるであろう。空気についても同様である。壁や絨毯に動物質の発散物が浸み込んでいるような部屋では、空気は常に汚染されている。』


『室内に生じる不潔な空気は埃から発しているのであるが、人びとは、埃をしばしば移動させるがけっして除去しようとはしない。このことから、ある≪必要条件≫が浮かびあがってくる。すなわち部屋や病室のなかでは、家具の上部なども含めて棚などの出っ張り部分を、可能なかぎり少なくするというこである。そして、とりわけ、いかなる理由があろうとも眼に見えない場所に出っ張りを作らないことである。そこに埃が積もり、けっして拭き取られずに溜りつづけ、それは確実に空気を汚すのである。』


『埃のほかにも居住者たちが呼吸とともに吐き出す動物質の発散物があり、それは家具類に浸み込んでいる。そこで家具類の清掃を怠っていると、部屋や病室はまさにカビの臭気の巣窟と化してしまう。これでは、どんなに徹底的に換気をしても、爽やかな部屋など絶対に望めない。』


本の内容から考えると、自然素材の材料は、その表面保護材(塗装の様な保護材)がなければ、材料内に、居住者が出す、呼吸とともに吐き出す動物質の発散物が浸み込んでしまう事に成ります。
そして、その浸み込んだ動物質の汚染物は、カビの成長を助け、条件が整えば空気中に出てきます。


換気に気を配っていても、居住者が出す、呼吸とともに吐き出す動物質の発散物を留める役目をする建材で出来ている室内では、換気の効果は限られる事を意味します。
また、あらゆる出っ張りが存在する室内に於いて、埃をこまめに取り除く作業は、限定的と言わざるおえません。


現実的に考えると、呼吸性のある建材は、言われているほど居住者に対し、良い結果を出してはいない事に成ります。


高断熱、高気密化は、寒冷地住宅を造る上には、必要条件である事は周知の事です。
しかし、高気密化した室内への、適正量の新鮮空気を、保温した状態(室温に近い温度)での供給は、現状住宅では出来ていません。
曖昧な換気方式を、各社、各人がいろいろな理論を持ち込み、適当に処理しているのが、現在の住宅です。


介護のバイブルと言われている、フロレンス・ナイチンゲールが書いた『介護覚え書』に、一番大切な事とされる、「換気と保温」「埃対策」を完璧に成し得る住まいは、パッシブハウスか、最低でもセミパッシブハウス以外無い事が断言出来ます。
建物の外郭を高性能にして、性能の裏付けが取れている熱交換換気装置の装備無くして、健康的な住宅は出来ない事がお分かり頂けたと思います。

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パッシブハウス・無暖房住宅・外断熱の今川建築設計監理事務所: 2013年06月26日|ページの 先頭へ|