フロレンス・ナイチンゲールの『介護覚え書』には、
「子供たちの健康を左右する環境に対しは、われわれの力も及ばないのではないか。風に対して何ができるであろうか!東風というもがある。たいていの人びとは、朝起き出す前から、風が東から吹いているのかどうか言い当てられる。」
この文の意味は、当時イングランドでは、東からの風は大陸風であって、健康に害を及ぼすと考えられていた様です。
本書には続きがあり、
「いつ風が東から吹くかを気にしているのは、いったい誰であろうか、もちろん、東風に吹きさらされながら家畜を追っているスコットランド高地人ではなくて、新鮮な空気や陽光などにさらされる機会がすくなくて生命力の衰えた若い女性であることは確かである。後者を前者のような健康的な環境のともに置いてみるとよい。そうすれば彼女も、いつ風が東から吹くかを気にしたりはしなくなるであろう。」
つまり、東風を気にしているのは、健康でない人達であり、新鮮な空気を吸える状況では、東風を気にする様なものではないと、言っています。
当時は、大陸側からの東風でも、新鮮な空気と言えた様ですが、現在ではその様相が変わった様です。
先日、REC熱交換換気装置の施工会社である、(有)優和冷暖の羽田社長から、EU圏で公表されている、換気やダクト気密性能の文献資料の一部を頂きました。
ぞの中で、気に成る地図が有りました。
この地図は、EU圏の国別平均寿命損失を、表したものだそうです。
つまり、各国地域ごとの、平均寿命が短くなる事を表した地図なのです。
色の濃い国の地域の人びとは、その年数分、寿命を縮ませている事に成ります。
これは、外気の汚れに連動させて表しているそうですが、大都市圏の空気質が悪いのは理解の範囲です。
こうしたヨーロッパ大陸から、イングランドへの東風は、正しく昔から言われる「東風には注意しろ」の言い伝え通りと成っています。
1国の公害や事故により、近隣国への影響が心配されるEU諸国では、連携を図って取組のレベルや意識の向上をおこなわないと、自国も道ずれ状態に成りかねないのです。
エネルギー対策、省エネ対策、環境対策などの関連技術である、換気やダクト気密性能への取り組みは、1国だけが高い取り組みを行っても、隣国からの影響を考えると、EU圏全体が歩調を合わせないとその意味が無いのです。
フロレンス・ナイチンゲールの時代には、外気を室内に取り入れる事が、介護には重要と、「換気と保温」のページには記載されています。
しかし、150年経った今日では、外気を直接室内に入れる事は、新鮮な空気の入替えとは、言えない状況に成ってしまいました。
日本では、PM2.5や、毎年起こる黄砂問題、花粉や排気ガス、更には放射性物資まで外気に混入しています。
しかし、現在では、熱交換換気措置が高性能フィルターを介して、外気の不純物を止めて、室内温度に近い状態で、室内に供給してくれます。
しかも、24時間自動コントロールされて、適正量を供給してくれます。
(北海道パッシブハウスは、その様な熱交換換気装置を備え、健康の源となる新鮮空気を室温に近づけながら適正量を供給し続けています。)
つまり、「換気と保温」に対する、フロレンス・ナイチンゲールの要求を完璧にこなしてくれます。
『介護覚え書』に書かれている、責任(しなければならないことが、あなたがいようといまいと、いつも行われる事)を、果たしているのが熱交換換気装置なのです。
平均寿命短縮地図は、EU諸国版で公表されていますが、日本版も当然作成される状況にあるはずです。(いろいろ理由を言って、結局はこの様な地図は日本では出てくる事は無いでしょう。)
あなたの地域では、平均寿命短縮地図は何色でしょうか?
日本国は、国民を大切にしているでしょか。
答えは、NOと言う方が大方でしょう。
でも、あなたは家族を、大切思ってはずです。
その気持ちがあるのであれば、何を重要視しべきか、お分かりになるのではないでしょうか。
自身で判断し自衛するしか健康維持は出来ないのです。
『介護覚え書』の最初に書かれている、「換気と保温」には以下の文が有ります。
『何をさておいても患者にとって必要不可欠なこと、それを満たさなかったら、あなたが患者のためにするほかのことすべてが無に帰するほどたいせつなこと、反対に、それを満たしさえすればほかはすべて放っておいてよいとさえ私は言いたいこと』
『それは(患者が呼吸する空気を、患者の身体を冷やすことなく、屋外の空気と同じ清浄さを保つこと)なのである。』
と、フロレンス・ナイチンゲールは、新鮮な空気無くして、健康的な人生の続きは無いと説いています。
この言葉を、家造りの基本ととらえなくして、何か他に重視するものがあるでしょうか。
何のための、家造りなのか、今一度、心の底から考えてほしいと私は思います。
性能が良い熱交換換気措置を、家造りの最初に決定してから、家のデザインやこだわりを検討していくのが、正しい家造りの進め方なのです。