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東日本大震災復興構想会議に提案します。

2011年4月5日のお昼のNHKニュースで、仮設住宅の内部映像が流れました。
避難されている皆さんに対し、即急に供給する必要がある仮設住宅ですが、新潟中越大地震の教訓は生かされていませんでした。
それは、ベニヤ板と鉄板に入った薄い断熱材の壁パネルと、表面結露を防ぐペフ材貼りの折板の屋根下に、木製パネルの天井板が有り、その上に100㎜(16㎏/m3)グラスウール敷き込みで、防湿層は無し状態です。
天井のグラスウールの入れ方も、パネル上の為、隙間も多く有りそうな施工でした。
現状は速さが求められる状態ですが、阪神淡路大震災、新潟中越大地震などで使用した仮設住宅はどこにいったのでしょうか?
全部廃棄処分したのでしょうか?
それでは、無駄な税金捨てです。

十分再利用可能ですし、そうしなければ施工メーカーの震災特需の意味合いが濃く成ります。
なりより、過去の仮設住宅をストックしておけば、一番早く効率的です。
しかし、ニュースでは仮設住宅の機材を制作している映像が流れましたので、過去の仮設住宅は全部廃棄しているのでしょう。


今回も同じ住環境の仮設住宅になるようです。
これからの夏は室内は蒸し風呂状態で、冬になると室内は寒く、結露水が天井から落ちる状態に成ります。
性能が悪い仮設住宅では、灯油式の開放型ストーブが使われる可能性が高いと思います。
燃焼した石油とほぼ同じ量の水蒸気が室内に出ます。
狭い室内と表面温度が低い鉄骨柱部や単板ガラス面では結露を起こし、カビが発生します。
屋根裏も防湿層無しのグラスウール断熱ですから、熱は屋根裏折板裏面で結露を起こします。
折板裏に貼ったペフ程度では、防げませんし、理論的に不適切な造りです。
仮設住宅と言えども、建築物理理論は変わりません。
日本の住宅と同じ状態に成る事は明白です。
狭く性能が悪い仮設住宅では、その現象が大きく出ます。


一時期の避難住宅といえども、仮設住宅の造り方でその性能は大きく変わります。
構造材を変えなくても、床パネル、外パネルは断熱パネル(断熱材100㎜ロックウール60㎏/m3品等)の高密度品で行い、屋根パネルも断熱パネル200㎜で行えば早くて高性能な住環境が出来ます。
こうした製品を一度造れば、再利用でき緊急時には運搬のみで活用出来ます。
性能が悪い仮設住宅を一度きりで廃棄する愚かな政策を今回の続けています。

下の記事は、新建築家技術者集団という団体が出している機関誌「建築とまりづくり」NO332、2005年4月号のものです。


記事をダウンロードする。


記事の『』を書きます。


『一方、年末に避難所からやっと仮設住宅に移ってきて、今後のことをじっくり考えてと思っていたら、壁面の結露、天井からの異常な水滴の漏れが発生し、居住者が頭を悩ませているとのことでした。
今回与えられた仮設住宅は、裸の鉄骨柱と鋼板で断熱材を巻いた壁パネルの壁体でつくられています。
雪国のおいて、とても部屋が暖まるような構造ではありません。
逆にラジエーターの如く熱を放出する構造です。
結露を防ぐため除湿機を利用することが、奨励されました。
適度な湿度は体感温度、喉の健康上必要です。
「天井裏の断熱材を2倍にした」ことのみが雪国対策のものでした。
実際に見てみると、屋根の折板裏には隙間のないほどビッシリと水滴が付いています。
天井上の断熱材もビショビショで養生シート内に水が溜まっています。
さらに私たちの調査で、軒や折板重ね部からの漏水も指摘され、プレハブ協会と県もそれを認めざるを得ませんでした。
雪融け後に一斉調査をすること、屋根を剥がして断熱材の取替えとそれらの修復処置を施すことになりました。
福岡へも情報を送りました。』


画像の確認
写真は、その記事に載っていたもので、(上)結露して折板裏にびっしょりと付く水滴(中右)重ね部が短く雨水や雪解け水の侵入が起こる折板屋根(中左)水が溜まる天井裏(下右)天井からしたたり落ちる水をビニール袋で受ける(下左)軒裏からしたたり落ちる水


この記事の様に、今回の仮設住宅も同じ状態になるでしょう。
間違いなくです。
幾ら、緊急避難的とは言え、入居者の尊厳を無くす様な住まいでは、不適切だと思います。
この仮設住宅こそが、日本の建築技術の縮図です。
この事実を皆さんは良く見ておく必要が有ります。
ドイツやスウェーデンの工事仮設事務所では、その様な室内環境では有りません。
海外の仮設建物では技術的に出来る事が、何故、日本の仮設住宅では出来ないのか、その事実を考えてほしいのです。


そうした実態を踏まえて書きます。

『東日本大震災復興構想会議への提案』


①性能を重視した建物建造を望む。RC造、鉄骨造建物の断熱施工は、外断熱で行う事を厳守とする。
②床、壁、屋根のU値(熱貫流率)は、0.2~0.15Kwh/㎡k以下とする。
③窓、玄関出入り口ドアの性能を、U値1.2~1.0Kwh/㎡k以下とする。
④バルコニー、庇、外階段は断熱で絶縁し、自立支持とし熱橋を最小にする手立てを行う。
⑤冷房負荷低減対策に、遮熱対策を外部側で行う手法を実施すること。
⑥換気は熱損失を、最小にする方策を考慮すること。


この提案内容は、ドイツのパッシブハウス5のポイントを引用しています。
どの様な建物でも、パッシブハウス5のポイントで性能が良く成ります。
この5のポイントが実施されている建物は、日本国内には殆ど存在しません。
このサイトをご覧の皆さんが声を大にして行かないと、また今まで通りの建物で復興してしまいます。


提案内容を実施しても、工期は殆ど変りませんし、コストアップも僅かです。
提案に対し、出来ない理由を言う人が必ずいますが、この内容を行えば現在の避難所の様に真冬にライフラインが絶たれても、内部温度は15℃以下にはならないのです。
また、建物の耐用年数も現状より2~3倍延びます。
そして成りよりも、維持費が大きく下がります。
つまり、暖冷房エネルギーが大きく削減されるのです。
こうした、良い事づくめの建物造りを怠ってきたのです。
今こそ、それを改める時なのです。


私は、被災地にボランティアとして出向く事は出来ませんが、復興する建物が性能無視で建てられる事を防ぐ事で、被災地の皆さんにお役に立てると考えました。
この提案が、『東日本大震災復興構想会議』に届く事を願います。

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パッシブハウス・無暖房住宅・外断熱の今川建築設計監理事務所: 2011年04月05日|ページの 先頭へ|