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何故、貴方の住まいは寒いのか(Part-2)

何故、自分の住まいは寒いのか?
そう考え、悩む方が大勢います。
何故快適な住まいが無いのでしょうか。
その答えが、このシリーズです。
Part-1では、断熱に付いて書きました。
書き足らない内容もありますので、シリーズの中で補足していきます。
今回(Part-2)は、窓と玄関ドアの性能に付いてです。


下の絵の様に、全て断熱材のみで建物を造る事は出来ません。
建物は用途上、窓や玄関ドアなど内と外を介する部位が必要です。

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(こんな風に、断熱材だけの家があれば、熱損失はかなり少ない建物になるでしょう。)
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下の絵は、住宅各部からの熱損失量を%で表したものです。
窓と玄関ドアからは、全体の35%もの熱が逃げている事に成ります。
つまり、窓と玄関ドアの性能を上げると、大きな効果が出るとも言えます。

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特に窓の性能は、室内温熱環境に影響を与えます。

現状の市況で採用されている窓は、PVC(樹脂)製品で性能値U=2.33W/㎡kの窓です。
新築住宅では、殆ど使われています。
しかし、その程度の性能値では、北海道の様な地域での外気温度-10℃の時は、窓の表面温度は大きく下がります。
そうした部材の表面温度は、室内で生活する人に対し、体感温度に影響を与えます。


下の表は、室温が20℃の時、窓の性能による窓ガラス表面温度の違いを表しています。
表の縦軸は窓の性能値を表していて、窓のU値が刻まれています。
赤の水平ラインは、0.8を示していますが、これはU=0.8W/mkを意味していて、パッシブハウス用の窓性能値です。

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(室温+20℃、外気温度-10℃の時、窓ガラス表面温度を+17℃にするには、窓のU値はどの位必要かの表)

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この縦軸0.8から、右側に水平移動した赤ラインと交わった3本の曲線の内、青い曲線は表面温度17℃の線です。
赤の水平ラインと青い曲線ラインの交点から、垂直に下した位置には、外気温度が並んでいて、その数字は-10℃を示しています。
つまり、室温+20℃の条件で、外気温度が-10℃の時、窓ガラスの表面温度が+17℃になるには、窓の性能値はU=0.8W/mk以下でなければ、成らない事を示しています。


先程の北海道の新築住宅で使われている、U=2.33W/mkの窓の場合はどうでしょうか?
上の表に、2.33から緑のラインを水平に引いてみます。

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(U=2.33W/mkの窓ガラス表面温度17℃の時、外気温度は何度か?)

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U=2.33W/mkの窓を取り付けると、室温+20℃を保つにはが外気温度は9.5℃位でなければ成らない事に成ります。
実際には、人の体感温度は(室温+表面温度)÷2=体感温度と言われていますので、+20℃を体感するには、窓際に立てば室温は+23℃位なけらば成りません。
しかし、その場合は、外気温度が+9.5℃を維持しなければ、窓表面温度+17.0℃は保たれません。

外気温度が下がってくれば、窓表面温度を保つ為に熱源が必要と成ります。
その為、窓下に暖房放熱器を置き、窓表面を暖める方策を取っているのが北海道の住宅です。


下の絵は、パッシブハウスに於いて、窓の表面温度がどの位必要かを示しています。
室温+20℃で、外気温度-15℃の時、U値=1.5W/㎡kの窓ではガラス表面温度は+15℃程度です。
先程のU=2.33W/㎡kから比べると、窓ガラスの表面温度は大きく向上していますが、暖房エネルギーが最少のパッシブハウスに於いては、致命的な欠陥に成ります。
窓のガラス表面温度が+15℃では不足である事を示しています。

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こちらの下の絵は、同じ条件で窓性能をU値=0.8W/㎡kの場合です。
窓のガラス表面温度は、+18℃に成り室温+20℃の状態でも、体感的に不快感は和らぎます。
窓の性能が、如何に室内温熱環境に、影響するかを表しています。
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窓の性能は、室内での体感温度に大きな影響を与えます。
現状の国産窓では、明らかに性能不足です。
更に、窓の気密材や開閉器具も、耐久性や機能性が外国製品よりも劣ります。
また、製品部材のストック年数が7~8年程度で、製品は消耗品と考えられ、常に新品への取り換えが前提にある市場状況です。
こうした状況下では、少々価格が高くても、長く快適な状況で使える海外製品を検討する事が、必要に成ります。


玄関ドアも同様で、外国製品の木製断熱ドアの採用がベストです。
アルミ製の断熱ドアは、耐久性には富みますが、断熱性能は材質的に性能確保が難しく、気密ゴムや開閉機器の性能も外国製品からみると劣ります。

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(スウェーデン製の玄関ドア断面絵)

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玄関ドアは開閉頻度も多く、その性能の良し悪しが省エネに影響し、特に気密性が重要と成ります。
玄関ドアを閉めている時も、外気の侵入があれば大きな熱損失に成ります。


また、郵便口のある玄関ドアは最悪で、郵便受けは外部にポストを設けるのがベストです。
郵便ポストの話次いでですが、私は少々の不便さが、省エネ住宅の基本と考えています。
全自動や電動式は、待機電力が必要です。
便利さは、エネルギーを使って、使用する時を待っ仕組みが殆どです。
便利さは、現状のハイテク機能と言われる性能では、決して省エネでは有りません。
便利さと省エネの両立は、まだ先の世代での実現ではないでしょうか。
現時点での、ベストな状態を見極める目も、必要だと考えます。


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写真の様に、窓際で子供が遊んでも、不快な住まいではない様な、窓と玄関ドアの選定が重要と成ります。
住まいは、1に断熱、2に窓と玄関ドアの、建物外郭性能が基本です。
今一度、ご自分の住まいを確認してみて下さい。
外郭からの熱損失が多いから、寒い住まいに成ります。


次回、(Part-3)は気密性能に付いて掲載します。

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パッシブハウス・無暖房住宅・外断熱の今川建築設計監理事務所: 2011年01月25日|ページの 先頭へ|