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建てない奴ほど良く喋る

北海道パッシブハウスに移り住んでから、8カ月が経ちました。
一言で言えば、大変快適です。
そうしている間に、昨年末頃から無暖房住宅、パッシブハウス、0エネルギー住宅、維持費0住宅など、超省エネ住宅をイメージさせるネーミング住宅をよく聞く様にに成りました。
省エネ住宅に、関心を持つと考えれば大変喜ばしい事ですが、果してその実力は本当でしょうか?
机上の数値と実測による数値の確認無しには、その信憑性には疑問が残ります。
また、施工によりその性能も大きく変ります。


パッシブハウスの欄でも書いていますが、パッシブハウスには数値基準が有ります。
年間暖房エネルギー消費量は、電力で1㎡当たり15Kwh以内です。

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(パッシブハウス基準値)


灯油換算では、1㎡当たり年間約1.5L以内に成ります。
つまり、1.5Lハウスです。
また、一次エネルギー消費量は、1㎡当たり120Kwh以下としています。
この一次エネルギー消費量は、一次エネルギー換算係数2.71で割った数値以下と言う事ですから、実消費量は1㎡当たり44.3Kwh以下でなくては成りません。


暖房消費量に戻って、無暖房住宅と成れば正しく0暖房住宅ですから、0Kwh、0Lハウスでなければ成りません。
0エネルギーや、維持費0住宅は何が0なのか、その場繕いのネーミングで、どの程度のエネルギー消費を持つ住宅なのか分かりません。
しかし、0を謳っているのですから、何かが0でなくては成らないのですが、そのカラクリが理解できません。


北海道パッシブハウスの性能に付いては、別ページで公開しています。
その性能値で有っても、無暖房住宅や0暖房住宅には成りませんでした。
ですから、先のネーミング住宅も、ネーミング通りに成るには、相当キツイ事だと思いますし、私はそのネーミング通りは難しいと見ています。
是非、実測値を公開して、そのネーミングが正しかった事を証明してほしいものです。


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(スウェーデンのプラスエナジーハウスです。これが本当にエネルギー収支がプラスに成る家です。)


ドイツなどEU諸国での、パッシブハウスは明確な数値でその性能を謳っていますし、その数値内でなければ、パッシブハウスとは言えません。
高断熱高気密など、以前から性能の曖昧さと、言葉だけで目先変えを行ってきた日本の住宅にとって、EU諸国のパッシブハウスは性能数値がハッキリしていて明快です。
これからの住宅は、年間暖房エネルギー消費量の公開や、パッシブハウス基準値との比較など、数値公表などで性能を明らかにしていかなければ成らないと考えています。


更に、高性能製品の性能値なども、もう少し明確にする事と公平な検査数値の公開が必要です。
特に、熱交換換気装置の熱交換率には、大きな疑念が感じられます。
年間のデータ計測無しでは、メーカー数値を信じる訳にはいきません。
北海道パッシブハウスで採用した熱交換換気装置は、スウェーデン製のRECTemovex社の製品で、スウェーデン国内では、パッシブハウスでの採用率は、実に90%以上の製品です。
ドイツのパッシブハウス研究所を創設し、現在の所長であるフォルフガング・ファイスト博士が住んでいる、ダルムシュタッド市にあるパッシブハウス第1号(1991年建設)でも、RECTemovexの換気装置が使われています。


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(ドイツ・ダルムシュタッドの最初のパッシブハウスに付いている、REC社の熱交換換気装置)


この熱交換換気装置は、顕熱交換式ですが、年間の熱交換率は84%と表示されています。
さらに、音が静かであり、フィルターの性能が高いのも特徴です。
この様な製品は、他には無いと考えています。
メーカーの数値を鵜呑みにしては、結果が付いてきていないはずです。


窓は、ノルウェー製のパッシブハウス用に作られた、熱貫流率U値が0.7W/㎡kの製品です。
この性能は、日本国内では採用されている窓の中では最高値の製品です。
窓枠の断熱処理や、気密材など、性能を裏付ける製品です。


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(NorDan社の窓断面)


こうした採用製品の確かさや、パッシブハウスの5つのポイントを設計・監理・施工に反映させて、完成したのが北海道パッシブハウスです。
廻りで言われている、無暖房住宅などの図面や公開資料を分析しても、熱橋対策は殆ど対応されていませんし、換気方式も外気の強さや温度により室内換気に影響する様な方式を採用してみたり、熱交換換気装置を採用した場合は、メーカー公表の過大な熱交換率を鵜呑みにしている様です。
ある無暖房住宅と言われている建物を、サーモグラフィー撮影すると、窓廻りや基礎廻りには熱が逃げている赤い色が沢山出た映像と成りました。
また、外壁材を止めているビスの位置が、外壁材と違う色で写し出されていました。
これも、内部からの熱を伝える、熱橋からの熱逃げの現れです。


パッシブハウスの5つのポイントを知らずに、ただ断熱を厚くしたり、高性能の窓を取り付けただけでは、パッシブハウスには成りません。

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(パッシブハウス5つのポイント説明絵)


概念と理論を理解し、その知識を現場に反映しなくては、結果は得られません。
今こそ、誇大広告的な性能語りに対し、厳しい目を向ける必要が有ります。
更に、パッシブハウスを造らずして、口だけ技術者や学者の多い事も、日本に取って非常にマイナス要素と成っています。
ドイツのパッシブハウス研究所サイトを見て、その概念や哲学を知る事で、自身の考えを改める必要が有ると思います。

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パッシブハウス・無暖房住宅・外断熱の今川建築設計監理事務所: 2010年10月28日|ページの 先頭へ|