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スウェーデンで最初の戸建てパッシブハウス(その2)

2007年に完成した、マルムボリ邸はスウェーデンで最初の戸建てパッシブハウスです。


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スウェーデンで最初の戸建てパッシブハウスマルムボリ邸


マルムボリ邸建設記録紹介パンフレットの翻訳の続きです。


紹介パンフレット(4ページ目)
翻訳:友子・ハンソンさん


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ヴァルゴーダヒュス社のAnna―Lena Johansson(アンナ=レーナ・ヨハンソン)副社長(左下)と、Lund(ルンド)工科大学のUlla Jansson(ウッラ・ヤンソン)さん(右上)


第四ページ
“エネルギーがわが社の最も需要な基準となるものです”
「パッシブハウスを建設したいという人達から電話が沢山かかってきます。現在、こういった家を建てたいという希望者は大勢います。
“もう少し待ってください”と説明すると、大抵の人が分かってくれます。それは、わが社では、Malmborg家で行われる様々な計測の結果を待ってみたいからです。」と、
ヴァルゴーダヒュス社のAnna―Lena Johansson(アンナ=レーナ・ヨハンソン)副社長が語っている。


「わが社は、お客様に対して非常に長い間の責任をとらなければなりません。ですから、わが社がお届けする製品についてよく理解したのです。Malmborg家が一冬超した時点で、いろいろなことがはっきりすると思います。そして、計測した数値の評価が終了すれば、急速にいろいろな事が起こると思います。」と、Anna―Lena Johansson(アンナ=レーナ・ヨハンソン)副社長は考えているそうだ。


「Malmborg家のプロジェクト中に、非常に多くの事柄を学びましたし、こういった知識はすでにヴァルゴーダヒュスのスタンダード住宅の製造に活用しています。
わが社は、わが社の製品は未来の家という考えで開発しており、Malmborg家のプロジェクトから学びえた経験や計測結果をその出発点にしたいと思っています。」と、Anna―Lena Johansson(アンナ=レーナ・ヨハンソン)副社長が語っている。
「Malmborg家のプロジェクトに関わっている間に、多くのことを学びましたが、これらはすでにわが社のスタンダード住宅の製造に生かしています。」と、Anna―Lena Johansson(アンナ=レーナ・ヨハンソン)が語っている。


やっと完成した。
Lund(ルンド)工科大学のUlla Jansson(ウッラ・ヤンソン)は、建設の過程中にほぼずっと関わっていた。
Ulla Jansson(ウッラ・ヤンソン)はMalmborg家のエネルギー計算の責任者でもある。
Ullaはパッシブハウスの専門家
「これからは建築業界がパッシブハウスを大規模な形式で建設するようになることを祈っています。タウンハウス(長屋形式)やアパート(集合住宅)の建設は増えてきています。しかし、まだ一戸建て住宅業界は進展せず様子をみているだけです。」と、Lund工科大学のUlla Janssonは語っている。


Ullaは、スウェーデン国内の4つのパッシブハウス プロジェクトに関係しており、これらの資料を基にして博士論文を書いた。


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Ulla Jansson(ウッラ・ヤンソン)さんが書いた、スウェーデンパッシブハウスレポートの表紙。


「パッシブハウス方式により家を建ててくれる会社を見つけるのが非常に難しいので、失望した多くの人達からの問い合わせを受けています。」と、Ullaは語っている。
パッシブハウス方式の家を建ててくれるハウスメーカーが見つからない場合には、自分で設計させて家を建てようという気持ちになりがちです。
自分でパッシブハウスを設計させて建てようという場合には、優秀な家の設計者と大工に仕事を依頼することが非常に重要です。非常に多くの事柄を考慮しなければならないし、特に正しく、しかも気密性を高く建設しなければならないのです。」と、Ullaは語っている。


Malmborg家の建設が始まる前に、関係者は何回も会合をもっていたし、Malmborg家のプロジェクトには様々な段階で、全部で17名もの人達がかかわってきた。


紹介パンフレット(5ページ目)
翻訳:友子・ハンソンさん


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第五ページ
これがパッシブハウスだ
パッシブハウスは断熱程度が非常に高く気密性の高い建物だ。
この建物は、主として居住者、照明器具や家電製品により暖められている。
建物の内部の空気は定期的に交換されている(Malmborg家では屋内の空気はすべて2時間ごとに交換されている)、そして新鮮な外気は熱交換器により、室内ですでに暖められていた空気の熱により暖められてから室内に入ってくる。
熱交換器の中の空気の通るダクト システムで相互の熱を“交換”しているのだ。
環境ゾーンのどこに家が建設されるかにより、秋から冬にかけて外部からの暖房のための熱を加えることが必要となる。


Malmborg家はヴェストライエトランド県のリードシューピング市に建てられている。
そこで、水は地域暖房により温水にされている。
建物内部の地域暖房センターから、パイプが熱交換器に通じているので、地域暖房の熱を利用して給気が部屋に吹き出す前にまえもって暖められるようになっている。
家の土台は30cmの厚さの発泡スチロール ボードの上にコンクリートが流し込んで固められたものだ。
この土台の中には、コンクリートを固めるための電線が通ってないので、家を建てる前に、土台は100日間以上も自然の状態で固まるのを待った。


家の構造
パッシブハウスの建設には様々の方法がある。
Malmborg家は、原則的には、2枚の家の皮が重ねて作られている。
それは、内壁のブロックからなる内側の皮と、外壁のブロックからなる外側の皮があり、その2枚の家の皮の間に、発泡スチロール/断熱材の層が入っているのだ。
パッシブハウスの建設には、家の建設に際して発生するだろう事柄がコントロールできるということは非常に重要だ。
そこで、Malmborg家はヴァルゴーダヒュス社の工場で製造された。Malmborg家の外壁の厚さは約50cmだ。
家は、地上にコンクリートを流し固めた土台の上に立っている。
この土台の下には30cmの厚さの発泡スチロールの断熱材が敷いてある。
屋根には50cmのグラス ファイバー ウールの断熱材が置かれている。


さらに、外壁/屋根/床の構造には全体を完璧に密封する防湿シートが含まれている。
この防湿シートは、すきま風と湿気防止のためのものだ。
この防湿シートのバリヤーを空気も湿気も一切、通過するべきではない。
パッシブハウスを建てる際には、天気が良いことが非常に大切だ。
それは、建物内には一切熱源となるものがないので、建物の構造に含まれている湿気が乾燥するためには非常に長い時間が必要だからだ。


Malmborg家の建物が現場で組み立てられたのは2006年10月に2日間かけて行われた。
最初に、内側の壁のブロックが組み立てられ、それからその外側に発泡スチロールがとりつけられた。
それから、外側の壁のブロックが一番外に組み立てられた。
“普通の“住宅の製造時には、窓やドアはヴァルゴーダヒュスの工場で壁のブロックに取り付けられる。
しかし、Malmborg家の場合は、気密度を特に高くするために、窓やドアは現場取り付けられた。
そうすることで、防湿シートの気密程度を完全にコントロールすることが可能だ。”
窓は、3枚ガラスで、ガラスの間にクリプトンガスが詰まっている。
さらに、ガラスには換気は反射するが太陽熱は通過させる特殊フィルムが貼られている。
窓の外側の窓枠はアルミニウムで覆われており、窓のUバリューは0,84だ。


紹介パンフレット(6ページ目)
翻訳:友子・ハンソンさん


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Rebecca(レベッカ)とMichael Malmborg(ミカエル・マルムボリ)夫妻


第六ページ
Malmborgさんの家族は2007年4月中旬にこの新家に引っ越してきた。
新しい方法で建設することで環境にもやさしくお金の節約にもなるエネルギー効率の良い家になる。
「新しい方法で家を建てるということはハウスメーカーにとっては簡単な事ではありません。
もし、最初のスタートのAからBまで簡単な仕事で、最終的に完璧な家ができるだろうと考えていたとしたら、きっと失敗したでしょう。
でも、今回は、私達は、最初から普通とは違うということを理解していました。」


この家を建てる際の前提目標は、メインテナンスゼロで、しかも最高にエネルギー効率の良い家を建てるということでした。
こういった考えの出発点になったのは、イエテボリ市郊外のLindas(リンドース)にあるタウンハウス(長屋形式の家)で、パッシブハウス方式により建設されたものでした。
そこで、同じ方法で一戸建て住宅が建てられないことはないだろうと考えました。
しかし、それは、思ったほど簡単なことではありませんでした。


私達が問い合わせたハウスメーカーは、メーカーの販売している一般住宅で十分にエネルギー効率が良いと主張していました。
“その上、湿気問題を起こさないで非常に厚い断熱材を使った家を建てることは出来ない。”
と、言うものでした。


そこで、私達は、リンドースの家についてのTV番組を見た後で、リンドースの家の設計者のHans Eek(ハンス・エーク)と連絡をとりました。
それから、やっとヴァルゴーダヒュース株式会社という、普通のハウスメーカーを見つけたのです。
それから、途中でストップしたり、横道にそれたり、近道を見つけたこともありますが、家が2007年の4月に完成するまでは長い旅になりました。」


パンフレットの内容は以上です。
短い文で工事全体の説明は難しいのですが、パッシブハウスプロジェクトが、一般的な建物とは異なる事が感じ取れると思います。
スウェーデンの普及住宅は、北海道の現状住宅よりも性能が高い事は、何度か私のホームページで触れています。
その優れた性能の建物が普及しているスウェーデンに於いても、パッシブハウスの建設は、また違うレベルの建物である事が分かります。
しかし、明らかにスウェーデンでは、今後の建築物はパッシブハウスに移行していく事が、ハッキリと読み取れる事も分かる思います。

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パッシブハウス・無暖房住宅・外断熱の今川建築設計監理事務所: 2010年10月11日|ページの 先頭へ|