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外断熱でないと何故だめなのか。

鉄筋コンクリート、鉄骨造、組積造には、何故外断熱でなければならなのでしょうか。
これを、如実に言い表している文献が有りました。
ドイツのフランフォファー建築物理研究所のハンス・エルホルン博士の、以下の記述です。


①カビは、光・酸素・栄養、周りがアルカリなのか酸性なのか、そして相対湿度で状態が変る。


②光が無くても成長がストップするわけではなく、ゆっくりと成長している。(タンスの後ろなどが良い例)


③酸素を、多くしても少なくしても成長をストップする事は出来ない。
人間は、酸素量が19%位ないと生きていけないが、カビは15%程度でも生きていける。


④カビの栄養分に付いても、ゴミがあればよく、人や鳥、猫が残すゴミ類や脂身があれば生きていける。


⑤温度も0~45℃の間では成長でき、成長が早いのは30~35℃の間が特に良い。


⑥PHでは、中間くらいか酸性のほうが発育しやすく、アルカリ性になると成長があまり良くない。


⑦最終的に成長をストップさせる事が出来るのは、相対湿度の関連である。
相対湿度の80%あたりが成長の速度が早い。


⑧湿度100%の結露状態でなくても、カビにとっては良い状態で有る事を覚えておく必要がある。
湿度80%の状態でも3時間以下の場合は、カビの成長が良くない。
湿度80%の状態が1日6時間以上続くと、繁殖率が高まる。


⑨相対湿度が高いという状態が避けられない時、その状態を3時間以内の限定的にすれば長期的に見るとカビはだんだん少なくなっていく。


⑩結露があればカビがあるとか無いと言う事ではなく、湿度80%を境にカビを考えなくてはならないと言う事である。


⑪従って、室内側の表面温度を高くすれば相対湿度が落ち、そうしているかぎりカビは発生しない事になる。


⑫ここが重要で、唯一その状態を作り出せるのが外断熱工法である。
外断熱にすると、ヒートブリッジが無くなり、局部的にカビが生える表面低温部分(湿度80%の領域)が無くなる。


⑬外断熱では、必ず室内側の表面温度がそれだけ高いという保証が出来る。


⑭内断熱工法にすると壁に低温部ができ、必ず湿度80%以上の部分が出来る。


⑮改修工事の場合の断熱材は、少なくとも100㎜~200㎜は必要で100㎜以下はやっても意味が無い。


⑯外断熱改修と窓、ドアの改修を行う事で、内部環境は激変する。


以上文献より。


カビに付いて、これだけ明快に分りやすく述べている記述は見た事が有りません。
建築物理上から、カビの研究を長い間行っているフランフォファー建築物理研究所だからこそ、表現が的確になるのだと思います。
記事を読んで、皆さんのお住いを確認してみて下さい。
カビが発生したり、発育が進む様な建物状況では有りませんか。


下の表は、室温20℃で湿度50%の場合、温度が12.6℃に成ると湿度は80%に成り、9.3℃に成ると湿度100%の飽和状態で結露水発生状態に成る事を表したものです。


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この様に、温度により湿度は変化します。
表面温度により、カビが活発に活動する湿度80%の状態が起きる室内は、カビが繁殖し室内汚染状態に成る事を意味します。


外断熱は、室内温熱環境を良くするだけでなく、カビの発育に対し対抗手段を講じている事でもあるのです。
カビと同居する事が、当たり前の様に考えている日本の住いに取って、あまり考える事が無いかもしれませんが、本来住いが有るべき姿は、カビなどの無い状態で有る事は皆さんお分かりの事だと思います。
カビ発生に関しては、健康上の問題点として余り取り上げていませんが、北欧やヨーロッパでは、重大な室内汚染問題として考えられています。
日本の住い、特に鉄筋コンクリートマンションに於いて、もう少し重用な問題として考える必要が有ります。


最近は内断熱のマンション大規模改修時に、外断熱化する事を検討するケースが多くなっていると聞きます。
外断熱化は、大きな費用を要する改修に成りますから、住民負担の問題があり中々実現しない事が多いようです。
しかし、外断熱化する事は、建物の耐用年数を延ばし、室内環境(特に温熱環境)を大きく変えます。
その温熱環境の改善で、室内にカビが発育する状態も無くなるのです。
結露が問題なのではなく、湿度80%以上の状態を室内に作る事が問題なのです。
内断熱の建物では、必ずどこかでカビが繁殖します。
断熱材が連続出来ない内断熱工法では、必ず熱橋部が存在し、その部分の表面温度は湿度80%の状態を作りだしています。


カビと同居しなければならない日本の住宅は、人が生きていく基本的な基盤が狂っている事を認識する必要が有ります。
冷静に考えれば、当り間の状況では無い事が分かるはずです。
⑮に有る様に、折角断熱改修する事に成っても、薄い断熱材による外断熱化ではその効果が半減します。
100㎜以下の外断熱化では不十分である事を、フランフォファー建築物理研究所では、数字を挙げて述べています。


現状の住いは、こうした認識無しに今も建て続けられています。
この様な有様で、経済大国とか先進国とか言っている事が、異常な状態に私は思われて仕方がありません。
高断熱な良質な住いに住んでいると、さまざまな不自然さが見えてきます。

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パッシブハウス・無暖房住宅・外断熱の今川建築設計監理事務所: 2010年08月13日|ページの 先頭へ|