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熱中症の悲劇

連日猛暑と高湿の本州に比べ、北海道はそれ程では有りません。
夕刻を過ぎると、涼しい風が流れてきます。
朝夕は寒さを感じる日も有ります。
それでも近年は、寝苦しい日が時々ある夏場が多い気がします。
地球温暖化の影響と、ヒートアイランド現象などが原因でしょう。


北海道パッシブハウス(超省エネルギー)の、室内温度は大変安定しています。
1階に6帖間サイズのエアコンが1台有りますが、可動させていません。
室温は、1階が25~26度台、2階が24~26度台(2階事務所で使用)です。
初夏の時期は物珍しさもあり、1~2時間程動かして見ましたが、最近は宝の持ち腐れ状態です。
窓を開けて、室温の安定を計っています。
これは、壁断熱465㎜、屋根断熱536㎜の効果です。
窓の遮熱対策も大きな効果を出しています。
理論通りの設計を行うと、室内環境は想定していた以上の効果を発揮します。
ドイツを始めEU諸国や北欧諸国が、パッシブハウスが省エネや温室効果ガス削減の切り札と考えている意味が良く理解出来ます。


ところで、最近、本州での熱中症死亡報道が聞かれます。
屋外作業中での熱中症以外に、室内での事例が多い事に驚きます。
連日の暑さで、肉体的、精神的にも疲労と成り、体力を奪っての事と思います。
室内事故の場合、窓を締め切りエアコンを可動させていなかったとニュースでは報じられ、その事が原因の様にも聞こえています。


実際、エアコンを長時間可動させても、室温に対し大きな効果が出ない様な、建物状態に有ったのではないでしょうか。
長時間のエアコン可動での、電気使用量の節約を考え、その可動を控えたのではないでしょうか。
或いは、エアコン可動での睡眠は、夏風邪の惧れや喉に対し悪影響を及ぼす為、控えたとも考えられます。
この状況は、殆どの本州在住の人達に共通して言える事だと思います。
しかし、エアコン未使用や窓の開放が無かった事だけが、死亡の原因でしょうか。
建築的に見ると、日本の建築が抱える大きな影が見えてきます。


本州の建物は、室内環境が外部の影響をまともに受ける様な、状態に有るのではないでしょうか。
それは、エアコンの可動だけでは、室内気温の低下や安定が、中々おぼつかない状態です。
本州の建物は、断熱量の不足と施工能力の欠如で、その効果は半減しています。
最大の問題は、断熱量の絶対的不足です。
屋根の遮熱対策上も、断熱材を多く使うべきです。
アメリカのロサンゼルス近郊の住宅でも、壁断熱100㎜、屋根断熱は200㎜の仕様と聞きます。


過去に、体育館でスポーツ中の生徒が、熱中症で死亡した事故を思い出しました。
私も昔学生時代、夏休み期間の部活での体育館で運動をした記憶でも、館内は大変暑く、特に体力を消耗した覚えがあります。
今に成って考えると、体育館の屋根に断熱材が入っていれば、館内の温度を2~3度位は下げる事が出来て、館内環境が改善出来たのにと思っています。
また採光用の窓も、外遮熱対策を施してあれば、更に温度を下げる事が出来たでしょう。


本州の体育施設の屋根には、断熱は使われているのでしょうか。
窓の遮熱対策は有るのでしょうか。
殆ど、それは無いと思います。(日本の建物には、殆ど無い様に)
理論通りの断熱材使用は、建物内の環境を改善し省エネルギー性を高めます。
ドイツには、パッシブハウス(超省エネルギー)体育館などが建てられています。


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(ドイツのパッシブハウス小学校)

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(ドイツのパッシブハウス体育館)


ドイツの進んだ取組みを見ると、体育館内での熱中症死亡事故などは、起こり得ないと思います。
環境を考える上で、建築物との関りは切り離せません。
環境先進国の、ドイツを真似る事も必要では無いでしょうか。
色々な因果関係が有りますので、断熱材と窓遮熱で全てが解決とか、熱中症が防げるとは言えませんが、室内環境を大きく変える事は間違い有りません。


断熱材の効用を、認識すべきです。
熱中症の悲劇を繰り返さない為にも、家屋や施設の因果関係を精査する必要と、特に断熱、遮熱状況を確認する必要が有ると思います。
断熱処理や、遮熱対策があれば、僅かなエアコン使用で室内環境を変える事が可能になります。
従って、節約を意識する連続的な使用をしなくても済む様に成ります。
最低限命を守る為の、室内環境を確保出来ない建物を放置している現在の建築基準法は、大きな欠陥を持つ法律と言えるかもしれません。
自宅は、自己責任の範囲と考え除外しても、借家や公共施設での熱中症死亡は、有る意味人災と言えるかもしれません。
悲劇を繰り返さない、室内環境の建物造りが必要だと考えます。

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パッシブハウス・無暖房住宅・外断熱の今川建築設計監理事務所: 2010年07月26日|ページの 先頭へ|