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何故、性能の低い家しか出来ないのか。

家々が建ち並ぶ団地を見て、いつも思う事が有ります。
この家々の殆どは、性能の低い家なんだろうと。
我慢の生活で、燃費を気にしながら、冬をすごしているのだろうと思ってしまします。
『そんな事は大きなお世話だ』と言う方には、確かに大きなお世話でしょうが、予測は外れていないはずです。


何故、そう言い切れるのでしょか。
何故、性能の低い家しか出来ないと言えるのでしょうか。


では、その根拠を挙げてみます。


①国の省エネ基準が低い。(省エネ先進国であるドイツ、北欧などから比べると省エネレベルが低い。ドイツやスウェーデンの主要都市と札幌市の最低気温は殆ど同じです。)

②その低い省エネ基準には法的拘束義務が無い。(現状省エネ基準を遵守しなくても、何の制約も有りません。)

③家の性能を簡単に測る事が出来ない。(あくまでも机上計算で予測する方策しかなく、実測するには多くの費用を要します。)

④机上計算と実際に建つ家の性能が合致するとは限らない。(施工でも性能に大きな差が出ます。)

⑤性能に対する造り手側の知識が低い。(どの様にすると性能が上るのか理解していないし、仮に知っていて実行しなくても何の罰則も有りません。)

⑥業界は、その低い知識の底上げ対策をしていない。(監視できないし、監視する仕組みも有りません。つまり不法地状態なのです)

⑦造り手側の性能への約束は口約束しかない。(実測出来ない事を良いとして、性能が明確化出来ない現状を利用している。全て高断熱、高気密住宅が良い例です)

⑧建て主側も、周りの家々が日本措ける普通の家基準と思い、その性能に差がある事を知らない。(外観、見てくれ戦略に犯されている。人間心理通りの商業的戦略を利用している。)

⑨断熱の厚み、量のみが注目され、施工によりその性能が大きく違う事が知られていない。(理論を良く理解していな施工が横行している。)

⑩そうした事実を、造る職人も知らないで施工している。(勉強不測、プロ意識の欠如と言えます。またその監理体制も現状には有りません。)

⑪性能への責任は無く、その罰則もペナルティも無い。(これが一番の問題であり、性能表示義務化を法令化すべきと考えます。)

⑫建て主側の性能への関心が低い。(業界が仕組むイメージ戦略に乗せられている。)

⑬建て主側は、イメージや見てくれを住い選びの基準といている。(衣食住の順序の様に、見た目が一番的な見てくれが重用視されている。)

⑭本州仕様を、寒冷地仕様に変更した程度では、北海道の気象条件には適合出来ない事を知らない。(寒冷地で一番重要な室内温湿度環境を無視した住い提供の実態が有ります。)

⑮断熱材が、省エネ効果的に一番安い材料である事と、その使い方次第では、建物の耐用年数に大きく係る事は余り知られていない。(温度差が、室内を始め構造体に及ぼす影響を、断熱材は緩衝する役目も果たしています。)

⑯建築士は、温熱設計の専門ではない。しかしその道の専門家的顔をして商売している。(建築物理学は高度な学問で、建築士は広い分野を掛け持ちしすぎているのが現状です。)

⑰建築物理学が、独立した建築学門として日本では認められていない。(ドイツやスウェーデンでは、学問として成り立ち、建築業界では重要な位置を占めています。)


以上の様な理由を上げて、性能が悪く短命な住いしか存在しないと言い切れます。
因みに、一般的な住宅をサーモグラフィーで撮影してみました。
外部の表面温度差が大きいと、明るい色で写ります。
明るい色の部分は、室内からの熱が逃げている部分と言えます。
特に窓からの熱逃げ(熱損失)が、多いとこが分かるとと思います。
外壁面は一律な色でなければ成りません。

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(一般的な住宅を夜間サーモグラフィーで撮影するとこんな風に写ります。明るい部分が表面温度が高い所です。特に窓廻りの温度が高い事が分かります。)


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(この建物も、熱が逃げている事が分かります。外壁全体に表面温度が高い事が分かります。)

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(壁の下地ラインが見えます。通気下地の木部から熱が逃げている事が分かります。)


この様な中、ランニングコストが掛かりすぎるとか、燃費が悪い、エネルギー消費が多いなどの声が上ってきます。
石油高騰の時期には、石油式暖房ボイラーを電気式ボイラーに変えた方が、ランニングコストが少なくて済むのではないかと言った声を沢山聞きました。
電気料金も石油価格の上昇に追従して値上げされるのですから、エネルギー種別でのコストメリットは有りません
また、住宅の性能が悪いのに、どんな設備を施してもその差は殆ど無い事は、冷静に考えれば判断できることだと思います。


大きなランニングコスト負担が、住宅の性能から来ている事を、消費者の方々にはなかなか判断できないでしょう。
しかし、物事の原因は家を建てた時、購入した時点で既に始まっていたのです。


そんな事を言うと、『家にコストを掛ける事が出来ないから、仕方が無い』と、考える建て主の方もおられると思いますが、決してそうでは有りません。
コストを掛けられないのではなく、コストの掛け所が間違っているだけだと思います。
住い本来の目的である、外郭性能(暑さ寒さ対策)確保への、配慮が欠けていたのです。
また、『安物買いの銭失い』や『安い物を買うほど、私は金持ちではない』の、例えやことわざの様に、性能を担保するには有る程度の原価が必要と成ります。
現状の様に、底値知らずの低価格競争をしていては、性能を持ち長く使える様な住い造りは出来ません。
更に、ネームブランドを信用して、ハウスメーカーの戦略通りに決断するケースは、高かろう悪かろうの、価格とは相反する結果を見てしまいます。

住いの見てくれや、周りからの差別化だけを気にした、住い造りの末路が現在の低性能住宅の横行です。

上記で上げた理由により、選択の目を広げないと、日本で普通に住宅を建て様と思うと性能が低い家しか出来ない事になります。


更に問題は、温湿効果ガス削減を理由に、ソーラー発電推奨で売電価格を上げたり、支援助成を行う間違った温湿効果ガス削減対策や省エネ対策の横行です。
エコ・・・や、ヒートポンプ・・・も同じです。
ソーラー発電設置費用や、高価な設備機器にお金を掛ける位ならば、建物の断熱強化を優先すべきです。
断熱強化すれば、その時点から効果を発揮し、建物が存在する期間性能を保ちます。
一次的な節約や得な状況は、短期間でしか有りません。
機器は何れ壊れます。
その時期は、建物の寿命より何倍も早いのです。
再度、高価な機器を買え替えるのですか?
そんな事を、建物の有る間、何度繰り返せば良いと考えていますか?
先にも述べた様に、元々だめな建物に、どの様な省エネや効率を謳う設備機器を装備しても、効果は低いのです。
どうせ壊れる機器なのであれば、現状普及率が多い、リーズナブルな価格機器を採用し、必要最低限の出費に済ますせ、本来費用が必要な部分(性能を担保する部分)にお金を充てる事が正しいと考えます。

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パッシブハウス・無暖房住宅・外断熱の今川建築設計監理事務所: 2010年05月23日|ページの 先頭へ|