2010年1月25日から29日までの5日間、無暖房住宅PROJECTの同定Q値実測を行いました。
この測定は、東京大学坂本雄三研究室、同定Q値測定部門の服部哲幸先生が立会い実施されたものです。
通常Q値は、机上計算のみで行われる事が多く、計算と実際の数値を確認する機会は殆ど有りません。
実測実績は、全国で50部件以上行われていますが、北海道では始めての試みで有る事と、Q値1.0W/㎡k以下の建物での実測が無い事などから、今回の無暖房住宅PROJECTの同定Q値実測は大変興味深い実験です。
(現地に郵送されて来た機材の様子。)
(機材をセットする、服部先生。
建物内からの熱発生は、3日前から0状態にしています。
つまり、暖房を始め照明、ソーラー給湯機材等など、内部発熱を起こす機材の電源は全て3日前から切られている状態から測定が開始されます。)
(リビングに置かれた、グローブ温度計と加熱用ヒーター600Wタイプ。)
(南面の窓は、外部に和紙製の遮熱シートを貼り、日射熱を防ぎます。)
(東西面の窓は、建物に装備していた『サングッド遮熱ブラインド』を下ろして、日射熱を防ぎました。)
(加熱用ヒーター(送風ファン付き)、1階に400W、600Wを各一台計1000Wとし、2階にも同数をセットします。)
(1階の計測データ集積機材の様子)
(2階の温度計とヒーターセットの様子。
ヒーターでの加熱をサーキュレーターの風で攪拌し、建物全体の温度を均一にします。)
(屋根裏スペースへも、送風機により熱移動を行います。)
(2日目のデータ集積機材風景。PCには10箇所の温度分布が表示されています。)
(10箇所の温度測定経過を表す、PC画面。)
(最終日にデータを回収する、服部先生。)
測定終了後日、服部先生から同定Q値は0.49W/㎡K(ΔQ値0.02 W/㎡K)、試験期間中の内部発熱量は期間平均で1993Wと連絡が有りました。
更に、床下の土間コンクリートは生活前の状態で、測定中の室内温度より5℃程度低く、このため内部発熱の約5%程度(約90W程度)が土間コンクリートの温度上昇に利用されたと推定され為、これを加味した計算(参考値)結果は、0.47 W/㎡K(ΔQ値0.02 W/㎡K)となるのではないかと、補足説明が有りました。
(有)タギ建築環境コンサルタントの計算値も、0.47 W/㎡Kでその正確性に驚きました。
床下空間に付いては、ドイツのパッシブハウス研究所(PHI)でも、熱損失上の不利性を指摘されています。
また、竣工が1月の厳冬期で有るため、耐圧版や基礎コンクリートからの含水が、今、盛んに建物内に出てきている状態と、熱交換機による1階の空気循環だけの床下温度保持は、耐圧版表面温度で15℃程度と、1階室温から比べると約5℃程低く、ひと夏を経過しないと室内の室温と同調するまでには至らないと考えています。
今回の実験では、日射の有る日でも、室温の上昇が殆ど記録されていない事から、『サングッド』の遮熱効果が大きい事も分かりました。
この夏の遮熱実測が楽しみです。