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気密測定2回目

2010年1月24日、第2回目の気密測定を行いました。
通常、気密測定は、仕上げ工事が完了した竣工間際に実施します。
無暖房住宅PROJECTでは、気密工事が完了した時点で第1回目(2009年12月13日)を実施し、仕上げ工事が完了した今回が第2回目の気密試験に成ります。
第1回目の気密試験は、気密不良箇所が無いか確認する事と、その場合の処置が目的でした。
その際の、気密測定値C値は0.1cm2/㎡でした。
この数値は、50Ps時の漏気回数が、0.3回/hで、パッシブハウス基準0.6回/hの2倍の性能でした。
第2回目の今回は、どの様な数値が出るか、大変楽しみでした。


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気密測定中のタギ建築環境コンサルタントのタギ氏。


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測定機器の様子。


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55.5Psでの、通気量68m3/hが見えます。

相当隙間面積(C値)測定報告書(PDF)は、以下です。

ファイルをダウンロード


この報告書通り、相当隙間面積C値は、0.1cm2/㎡と、第1回目の測定と同数値でした。
しかし、C値は小数第二位を四捨五入で示します。
第1回目は、0.14でしたが、第2回目は0.11でした。
つまり、第2回目の方が気密値が上っているのです。
これは、第1回目の測定以降の工事中に、気密シートの破損などの気密層の性能を損なう様な行為が無かった事を意味し、気密層の内側に設けた電気配線やコンセント用の50㎜のスペースが機能していた事を表すものです。
その上、仕上げ材が重ねられるのですから、気密値が向上するのは想定内の事です。


今回、別な事も実験してみました。
気密測定時は、設備機器の貫通部は目張りして行う規定に成っています。
しかし、実生活では設備貫通部は、内外気の通り道と成っています。
設備機器がどの程度の気密性を持っているのか、いままでその実態を把握していませんでした。


まずは、台所のレンジフードの気密性能を確認しました。
今回のレンジフードは、T社の製品で同時給排気型です。
しかし、気密試験前から養生用のビニールシートが空気の出入りで揺れている事を発見していたので、その性能の問題がどの程度か調べる事が目的でした。


今回の工事は、身内の建物で、当初から無暖房住宅にする為には、予算上無理があるものでした。
しかし、何とか工事着手にこぎつけれたのは、各工事業者さん達の協力があっての事です。
したがって、機材の性能グレードも限られ、結果レンジフードのレベルも限られる事に成ってしましました。
同時給排気型で有る事で、安心していた点もあり、大いに反省する結果と成ってしまいました。


レンジフードを密閉して行った気密測定のC値は、先程の通り0.1cm2/㎡(13cm2)でした。
しかし、レンジフード開放時の気密値C値は、0.2cm2/㎡(26cm2)と、2倍有る事が判明しました。
建物全体の総隙間面積と、レンジフード単体の隙間からの空気の流量が同じなのです。
これでは、幾ら気密工事を入念に行っても意味が有りません。


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(T社のレンジ換気扇内部の様子。電源を入れると給排気同時に開閉する。)


国内住機器メーカー製品の寒冷地仕様は、本州用製品に多少手を加えている程度の物です。
真の寒冷地仕様の製品は殆ど有りません。
こうした実態の中、北欧やEU諸国と同等以上の建物を造る事は、多くの苦難を克服する必要が有ると言えます。
この結果を踏まえ、レンジ換気扇には、何らかの対策が必要である事を確認しました。


もう一つ、給湯用のFF式ボイラーに付いても、その気密性能を確認しました。
こちらは、殆ど気密値の変動は無く、FF式ボイラーの気密性能が高い事が分かりました。


以上の様に、気密試験から分かる建物全体の性能確保の難しさや、問題点が浮き彫りに成ります。
こうした確認の蓄積を、今後の建物の設計や監理に役立てたいと考えています。

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パッシブハウス・無暖房住宅・外断熱の今川建築設計監理事務所: 2010年02月09日|ページの 先頭へ|