今回の無暖房住宅PROJECTでは、『敢えて挑戦』する事柄が幾つか有ります。
その1は、木造構造方式を、在来軸組み工法で実施した事です。
無暖房住宅は、パッシブハウスと言われる高性能住宅の省エネレベルを、更に超える住宅でなければ成りません。
それは、パッシブハウスの『5つのポイント』の設定値を、全て上回る事に成ります。
(パッシブハウス5つのポイント概念図)
在来軸組み工法は、『5つのポイント』の中にある気密性能を図る上で、枠組み工法から比べると、大変難しい工法です。
その理由は、梁や火打ち部などの、気密層を貫通する箇所が多い為です。
今回の無暖房住宅PROJECTでは、大小の梁、火打ちを合わせると、50箇所程の気密処理が必要と成ります。
(二階床梁と火打ちのテーピング前の気密シート)
(気密シートのテーピング完了)
パッシブハウスの『5つのポイント』では、気密性能を50PSで0.6回/hと有ります。
この性能値は、日本のC値に直すと0.2cm2/㎡以下の性能が必要です。
日本の次世代基準値では、2.0cm2/㎡ですから、その10倍以上の気密性能値と成ります。
このC値0.2cm2/㎡以下と言う数値は、枠組み工法では比較的無理なく出せる数値です。
過去に行った、枠組み工法に於いては、最高でC値0.1cm2/㎡、最低でもC値0.2cm2/㎡の測定結果でした。
その際の、50Psでの漏気回数は、0.3回/hと0.5回/hでした。
この数値は、パッシブハウス『5つのポイント』で示された、50Ps時での気密漏気回数0.6回/hをクリアーしています。
しかし、私が設計・監理した在来工法の測定実績は無く、どの程度の気密値に成るかは未知数です。
今回のPROJECTで、在来工法を採用したのは、気密値が取りづらい状況で、敢えて挑戦してみたいと考えたからです。
また、日本独特の在来軸組み工法は、国内での採用率も多く、その工法に於いて気密値を確保する事は、日本でのパッシブハウス普及に欠かせない事でもあると考えたからです。
気密測定は、気密層が見える段階と完成時の2回行う予定です。
この結果に付いては、測定後、お知らせします。