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温室効果ガス削減のキーポイント

新政権がスタートして、政治に動きが出てきています。
その為、今までにも増して政治に対し興味を持って、その動向を見ている人が増えている様です。
私も、新政権が温室効果ガス削減目標を、2020年までに1990年比25%削減とし、それを世界に向け宣言した事は大変意義のある事だと評価します。
前政権が掲げていた数値では、余りにも責任の無い目標値であり、温室効果ガス削減への取り組みが本腰には見えなかったからです。


しかし、新しい目標値である25%削減は、大変高いハードルです。
今までの様に、ソーラー発電やエコ給湯、エコ・・・等の普及や、ウォームビズ、クールビズの掛け声だけでは、到底達成出来ない数値目標である事は、誰にでも分かる事だと思います。
また、京都議定書発動以来、そうした削減行動(果たして削減行動と言えるか甚だ?ですが)での結果は、-6%削減どころか+8%も温室効果ガスを増やしてしまったと言われています。
ですから、今回の目標値に+αが加わる事になると思われます。
この様な、途轍もない目標値をどの様にして達成させるのか。
そのキーポイントは、建築物の温熱性能を高める事であると私は考えています。


例えば、何回か紹介しています、EUでの『エネルギーパス』と呼ばれる、住宅性能表示制度です。

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(エネルギーパスの表示。日本語に翻訳したもの)


エネルギーパスとは、建物のエネルギー消費量を数値で表し、その建物がどの程度の性能を有しているのかを、公表する制度です。
アパートを借りる際、エネルギーの消費量を入居前に確認して入居の判断基準にしたり、他物件と比べてみる事も出来ます。
この事で、家主が借り手への配慮から、持ち屋の断熱改修を進めたり、窓の取替えを行ったり、遮熱防音シャッターを付け加えてたりして、建物の使用エネルギー量を少なくする対策を実施しています。
また公共の建物では、建物の性能を公開して、一般の人達にアピールする事を実施しています。
国は、そうした既存建物の断熱改修や、新築建物の性能向上を支援しています。

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(ドイツのパッシブハウス消防署、体育館、学校)


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(ドイツの公共の建物内に掲示されたエネルギーパス掲示。)


建物物の、総体的温熱性能レベル向上を図る目的が、『エネルギーパス制度』に有る事が分かります。
こうした国を挙げた建築物の省エネ化は、必然的に温室効果ガスの削減に繋がる事に成ります。


もう1つの例は、ドイツではこの先新築住宅は、1㎡当りの暖房消費エネルギー量を、15Kwh/a以内にする動きが有ります。
この1㎡当りの暖房消費エネルギー量15Kwh/a以内とは、いわゆるパッシブハウスと呼ばれる、高性能住宅の性能です。
15Kwh/aの電力消費とは、灯油換算でおおよそ1.5L/㎡です。
40坪住宅(132㎡)での年間の暖房灯油消費量が、132×1.5L=198Lと成り、僅か200Lたらずで済む家と言えます。
つい最近までは、パッシブハウスは特別な高レベル建物と考えられていましたが、全ての新築建物をその性能レベルにしようとしているのです。
ドイツでは、1㎡当りの暖房消費エネルギー量15Kwh/a以内は、ごく普通の建物と考えられる段階にまできている事を示します。


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(ドイツのパッシブハウス個人住宅の例)


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(ドイツのパッシブハウス分譲住宅の例)


日本の政権が変る前の、2009年6月21日のNHK放送朝9:00番組である日曜討論で、『温暖化対策 誰が負担するのか』と題した放送が有りました。
その中で、現岡田外相が、EU諸国でのエネルギーパスに付いて触れています。
岡田外相のブログでは、2009年5月にドイツを訪問している事を紹介していますが、その際にエネルギーパスに付いて情報を得たのでしょう。
温室効果ガス削減目標値を、高く掲げる理由がこうした情報を前提にしている事と、それを参考により効果的な方策打ち出す事を、私は期待しています。


世界の省エネ動向から遅れを取っている日本の建築物に於いて、現状の2、3段階上の温熱性能アップ対策は必要不可欠です。
今回の無暖房住宅PROJECTは、寒冷地である北海道にパッシブハウス以上の性能である、実用型省エネ住宅を造る事が目的で実施しています。
世界レベルのパッシブハウスを造る上で、日本のランドマークと成る事を目的として、無暖房住宅PROJECTは現在進行しています。


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パッシブハウス・無暖房住宅・外断熱の今川建築設計監理事務所: 2009年10月22日|ページの 先頭へ|