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ノルウェーの窓会社

スウェーデンのパッシブハウスセンターを視察し、注目する機材が幾つか有りました。
その一つに窓が有ります。

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スウェーデン、アリングソース市にある、パッシブハウスセンター展示場。

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パッシブハウスセンター展示場に有った、ノルウェー製の高性能窓。


窓は、省エネ住宅、特に高性能なパッシブハウスや無暖房住宅では重要な部位です。
省エネ住宅を設計する際、断熱材の厚さが検討課題に有りますが、厚みを除けば国内製品で対応する事は可能な部材です。

次に、外郭を形成する機材で、窓とドアが問題に成ります。
特に窓は、性能の良い製品が無く、国内市場で一般的なPVCサッシでは、北海道の気象条件下では役不足の性能です。
性能値で言えば、一般的に使われるPVCサッシはK=2.3W/㎡kで、スウェーデンから輸入している木製窓でも、K=1.3W/㎡kが限界です。

スウェーデンのパッシブハウスセンターに展示され、実際にパッィブハウスに使用されている窓は、U=0.7W/㎡kの性能です。
単純計算で、日本市場で使われているPVCサッシの3倍、スウェーデンの市場で使われている木製サッシの2倍弱の性能です。

つまり、同じ大きさの窓を取り付け場合、1/3~1/2のエネルギーロスで済む事に成ります。


この写真は、スウェーデンの断熱材メーカーのカタログに記載されていた、建物各部位ごとの熱損失量を示したものです。

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ご覧の様に、窓からの熱損失量は、全体の35%を示しています。
窓の性能確保は、断熱材の次に重要な事が分かります。


こうした観点から、私は高性能窓の商流を考えていました。
日本市場では、こうした高性能な窓の入手は困難なのです。

商社やメーカーの対応を待っていては、永遠に入手は出来ません。
何故ならば、この様な高性能な窓を求める人は、日本国内には僅かしかいません。
その様な少数派に対し、コスト高や薄利の商品を扱う、商社やメーカーはいないのです。


しかし、どうしてもこの窓が必要です。
窓入手と、今後の為にも製造メーカーを訪ねる事にしました。
関西空発、オランダルートで、ノルウェーのクリスチャンセンと言う町を経由し、モイと言う人口2000人ほどの村にある、窓メーカーを目指しました。
ノルウェーは森と山と湖が多い国です。
首都オスロ近郊は例外ですが、私達が目指すモイ村は、正に山奥の小さな村でした。


村に唯一あるモーテル風のホテルに一泊して翌朝、工場に向かいました。


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村で唯一のホテル。


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朝のホテル前の景色。
湖と対岸の家々。


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Nor Dan社のモイ工場全景。


Nor Dan社は、ノルウェー国内を始め、イギリス、スウェーデンなどに窓とドアを出荷しています。
工場内は撮影禁止の為、紹介できませんが、窓とガラスを製作し製品化する工場ラインは大変整備され、その性能を裏付ける様な風景が有りました。
この窓を是非とも、日本に持ち帰りたいと思いました。


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Nor Dan社屋正面。


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U=0.7W/㎡kの窓の説明。


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窓性能の重要な部位、ガラスエッジのスペーサーは、
スーパースペーサーと呼ばれる材料です。


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スーパースペーサーと、アルミ他のスペーサー材の比較(アップ写真)

こうした私達の行動を、NorDan社の営業担当者は好意的に迎え、キャパがキツイ中ノルウェーの工務店が仕切る程度の数量は出荷してくれる事に同意してくれました。
これは私に取って大きな前進でした。


パッシブハウスや無暖房住宅建設には、高性能な窓が必要です。
一層の窓で、壁のU値(約0.07W/㎡・k)の1/10以下(0.7W/㎡・k)のする事は大変な事なのです。
窓の重量や開閉の自由性を考えると、一層で補える窓が必要です。
そうした問題を、この訪問で成し得た事は、日本国内にパッシブハウスや無暖房住宅の建設が叶う前提が出来た事を意味する事でした。
後は、建設への行動を起すだけと成りました。

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パッシブハウス・無暖房住宅・外断熱の今川建築設計監理事務所: 2008年09月17日|ページの 先頭へ|