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理論の転換

理論が覆り、今迄考えもしなかった事柄が分かる時が有ります。
パッシブハウスを考え、取組んでいる過程で、日本の寒地住宅理論や工法、細部の納まりなどに、その様な事が有ります。

事例を幾つか上げると、窓の取り付け位置、熱橋に対する対策、気密化施工、防湿と透湿性、換気装置の性能、気密測定の違い、気密材の違い、幾つも出てきます。


しかし、北海道の寒地住宅では、現在も間違った理論のまま新築住宅が建てられています。
この現状を見ると、寒地住宅の理論を先導する機関や学識者らの責任を感じます。
そして、日本の建築理論の遅れと、それらを隠蔽するがごとくの知識人達の言動や行動を見ると、日本の建築をより良い方向に導く動きでは無いと思います。


私の様な者が、この様な事を言うと、批判の前に『そんな馬鹿な事を』と成るでしょうが、低い次世代省エネ基準の住宅を、世界に誇れるレベルであると公言している北海道の公的機関などを見ると、その性能がスウェーデンの住宅と比べ、2倍強のエネルギーを使用する事実を知ると、苦言を唱えたくもなるのです。


皆さんは、自分達の措かれている社会基盤の住宅やその他の建物が、如何にスウェーデンやドイツの建物から比べると、貧弱でエネルギーロスの多い建物で有るかを認識する必要が有ります。
この事実を直視し、その改善無しに、日本の省エネ対策や温暖化対策は語れないと私は考えています。


理論の転換の大きな例は、冬と夏で、壁や屋根での湿気移動が変わる事です。
冬には水蒸気圧が高い、室内側から外側に水蒸気は移動します。
その為に、断熱材の内側である、室内側に防湿層を設け、壁や屋根内の断熱材中に湿気が自由に入り込まない様にしています。


しかし、理論の転換では、夏には水蒸気圧の高い、屋外から低い室内側に湿気が移動すると言うのです。
そうすると、室内側にある防湿層と断熱面で、湿気が移動できなくなり、夏型結露を起す可能性や湿度が壁内で高まる事により、壁内でカビが活動を始める可能性が高まると言う今迄には考えてもいなかった事実が、立証されたのです。
この理論の転換は、現在一般化した施工方法を根本から変える、大変重大な内容です。
過去行ってきた、そして現在も行っている施工方法が、建物を寿命を縮め、蝕む様な施工である事が分かったのです。


この理論の転換シュミレーションは、Wufiと言うドイツ生まれの、非定常計算ソフトで可能と成りました。
このソフトの開発や、立証を手掛けたのは、ドイツのフラウンホーファー建築物理研究所です。
2005年フラウンホーファー建築物理研究所の所長他が来札し、セミナーを開催しました。

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その内容で、始めて夏型結露の可能性と屋根通気の不要説が話され、大変ショックを受けた記憶があります。
そして、その時紹介されたPAシート(ポリアミドシート)による、夏型結露を防止する作用は、夢の様なシートが有る事実を知った時でも有りました。
そのシートが日本で発売される時を待ちました。


それから3年を経て、ようやくエコ・トランスファー・ジャパン社による、インテロシートの商品販売まできました。

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エコ・トランスファー・ジャパン社URL
http://ecotransfer-japan.com/index.html


日本では、防湿層を室内側に設け、室内側からの湿気対策しか理論上存在しません。
本州などの梅雨時期などには、気密を完璧にせず、曖昧な状態での内外湿気対策と私は理解しています。
しかし、熱損失上大きな問題である、気密層(防湿層)に対し、曖昧な対応をする事は、熱損失上も曖昧な対策と成っています。
完璧な気密(防湿)が、インテロシートの出現で可能と成ったのです。


このインテロシートの使用により、本州の梅雨時期などの高湿な屋外状況でも、気密材と断熱材間でも
湿度の滞留や蓄積を防ぐ事が出来るのです。
この施工の際には、インテロシートの姉妹品、気密テープや配管用気密パッキン材も、併用する事が重要で有ると共に、気密施工の指導を受け正しい施工を行う事が前提です。


しかし、未だに日本の建築学会では、本州の夏場や梅雨時の、屋外からの湿気移動は無視の状態です。
また、寒冷地に措ける、昼と夜の通気層内で起こる、逆転結露も理論上存在していません。
ドイツに措ける、理論の転換無しに、インテロシートなどの商品開発は無かったでしょう。


日本の建築技術の遅れは、国内の建物の寿命を縮めています。
日本の建築理論の転換はいつ起きるのか、それを待っていては、本当の省エネ建物の出現はいつまでも出来ないと考えます。

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パッシブハウス・無暖房住宅・外断熱の今川建築設計監理事務所: 2008年09月08日|ページの 先頭へ|