日本の建物省エネ基準に、『次世代省エネ基準』が有ります。
しかし、この基準は、建築基準法の様に、強制力が有り遵守しなければならない基準では有りません。
建て主の判断基準とした、曖昧な省エネ基準なのです。
つまり、建て主が希望しなければ、建築する側はその基準まで達する建物を、提供しなくても良いのです。
何故、強制力を持つ、基準としないのでしょうか?
誰かが、困る様な事なでしょうか?
建て主に取って、何か不都合に成る事なのでしょうか?
省エネ基準が、曖昧な建築業界は、省エネに対しては無法状態と言えます。
断熱厚さは、業者任せと成り、建物の省エネ性能は成り行き任せと成ります。
断熱材の施工も粗雑化し、その性能値は大きく損なわれる現状が有ります。
建て主は、性能の良い建て物を期待していますが、省エネ基準は義務化されていないのです。
また、熱損失の大きな原因である、建物の気密化の必要性と施工には、大きな理解への隔たりが有り、高気密化住宅も言葉と裏腹に、低い性能に成っています。
また、測定の義務も有りません。
慣例的な施工方法で、その性能の確認も無いのです。
この様な、性能を伴わない住宅政策を招いているのは、国際的に見ても劣る省エネ基準と、基準遵守に強制化の無い事が原因です。
EU諸国が、2006年から実施している、『エネルギーパス制度』の様な、強制力の持つ住宅性能表示制度の必要性を強く感じます。
EU諸国でのエネルギーパス制度は、2006年1月より建物の性能表示が義務化されている。
もう一つの疑問は、『次世代省エネ基準』の、性能の低さです。
ネーミングからすると、次代を象徴する様な、高性能の基準かと思われますが、決して高い省エネ基準の設定値では無いのです。
現在のスウェーデン国内に措ける、壁断熱厚さは270㎜です。
そのスウェーデンの断熱厚さ基準と比べると、次世代省エネ基準は、その半分の壁断熱厚さ130㎜なのです。
緯度が高い割りに、札幌市よりも桜の開花が早い、スウェーデンの都市ヨーテボリ市でも、北海道内の断熱厚さよりも、2倍強の厚さの家が現在建てられているのです。
その家は、決して省エネ住宅とかパッシブハウスを呼ばれる様な住宅ではなく、ごく普通の市場に供給されている住宅がそのレベルなのです。
日本の『次世代省エネ基準』は、低レベル基準である事がお分かり頂けたでしょうか。
この省エネ基準の数値アップと、強制力を持つ省エネ法を導入しないかぎり、日本には高性能な住宅は生まれません。