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迷走する省エネ住宅

北海道洞爺湖サミット開催が決まってから、やたら世間が省エネや環境問題で騒がしく成っています。
でも、省エネや環境問題は、今までも真剣に取組まなくては成らなかった問題で、今後も引き続き対応しなければ成らない、永遠のテーマと言える問題です。
一時期の気運で、お祭り的な扱いをして欲しくないと思います。


これに合せて、省エネ住宅関連の情報が氾濫してきています。
やたら、パッシブハウス、省エネ住宅、何リッターハウス、地熱利用住宅、ヒートポンプ採用住宅、エコ住宅だのと、ごちゃ混ぜ状態です。
挙句は、生活エネルギー0を謳うしまつです。
でも、消費者の方々は、冷静に見て欲しいと思います。


住いに、どんな装備を付けるにも、建物の外郭を高断熱化しなければ、結果は出ません。
設置設備費用の、元が取れません。
先ずは、建物の外郭の断熱強化から始める事が基本です。
そして、これが簡単、確実、安価で効果的である事も、再度覚えておいて下さい。


その次は、建物で一番弱い窓と玄関ドア対策です。
(勝手口があれば、そのドアも)
ここに、対策を施さないと、断熱強化も半減してします。
窓は、壁の10倍熱を逃がす場所である事も、覚えて下さい。


そして、省エネ設備で最近多いのが、床下暖房方式や床下地熱暖房です。
でも、良く考えて下さい。
先にも述べましたが、建物で一番熱損失が大きい場所は、窓です。
その窓よりも、下の部分を暖めて、その熱を遠回りさせて、暖房する必要が有るでしょうか。
それよりも、窓下に腰壁を付けて、窓下に放熱器を取り付ける方が、利に適っています。
床下の暖房よりも、住人が居る室内側を暖める事を優先するのが、理屈でも有利であることは明確です。


しかも、床下暖房している土間コンクリートなどの下の断熱は、無断熱か薄い断熱処理です。
挙句は、蓄熱するから処理しなくても良いと、カタログ等に謳っています。
最近の住宅関連新聞で、漸くその蓄熱効果を否定する記事が載りました。
でも、そんな蓄熱効果が無い事は、予測出来た事だと思います。
暖めたいのは、室内だけです。
地球に熱を与える必要は有りません。


先頃、倒産したT社も、省エネ、快適住宅を宣伝文句にしていました。
その代表的暖房設備に、蓄熱ペチカを掲げていました。
しかし、外郭で一番弱い窓から離れた、建物中心部にあるペチカやストーブでは、窓面からの冷輻射やダウンドラフトは防げません。
仮に、高断熱化した外郭が有っても、必要とする最小エネルギー熱源を如何に、各室に分配させるが問題と成ります。
建物には、仕切りが有り、その仕切り毎に、熱源を分配する事が必要なのです。
それを無視した、必要熱量があるから、各室に自然に熱源が分配されるは、無理が有ります。
結果、各室の温度ムラが出来、寒い住いが誕生してしまいます。
三層構造にしても、鉄筋コンクリートを外側で断熱しない限り、ヒートブリッジは防げません。
また、バルコニーは、断熱区分されていませんし、窓の三層も、大きく外部に飛び出した形状では、窓枠廻りが熱橋状態に成り、その効果は殆んど有りません。
玄関ドアも、オリジナルと言っていましたが、気密性が悪く、ガラスも複層化されていません。
壁断熱も、軸間100㎜断熱のみでは、レベルの低い次世代省エネ基準よりも、お粗末です。
こんな数々の問題があるのに、省エネ住宅と称して販売されていました。
こうした宣伝に対し、消費者は正しい判断が出来ません。
永く、北海道に相応しいかの如く宣伝していましが、それを許す日本の土壌がある事が、多くの不幸を生んだと思います。
死に体に鞭打つつもりは有りませんが、消費者の立場で考えると、どの商品が本物なのか、判断が出来ないのが実態です。
昨日までは、素晴らしい商品の様に振舞われていた物が、今日は嘘の様に問題商品として扱われる昨今を、代表する事実です。


先日、断熱材に付いても、硬質ウレタンフォームや、押出し法ポリスチレンフォームの発泡剤が、CO2の1000倍近い温室効果を、招いている事を、環境省が建築情報誌に掲載しました。
しかし、その問題商品の過去に使用された分や現在市場に流通している処理は、野放し状態です。
この事実は、家庭などで、どんなに省エネ家電や、買い物袋をエコバックにするなど、CO2排出規制に貢献しても、意味の無い事を示しています。


省エネ住宅を謳っていても、使用する材料は、環境を破壊する製品を採用しているのです。
この様な事実を見極めないと、消費者としての大きな責任が問われます。
知らなかったでは、今後は済まされません。
何故ならば、その行為は孫、子の代に、ツケが廻されるからです。


人は必ず、次の代に物事を引き継ぐ時期が来ます。
その引継ぎ方で、その人の資質が問われると思います。
建物を造る事は、大きな責任を負うことです。
自分のお金だから、どの様に使おうと自由に思うでしょうが、長く形の残る建物は其れなりの責任も残ります。
社会に与える影響も、家族に与える影響も、建物は持っているのです。


スウェーデンでは、夜、各家庭の窓辺に電気スタンドなどが灯ります。
道端の窓辺は、公共の一部だと言う考えがあると聞きました。
美しい窓辺を見ると、その言葉に納得出来ます。
窓辺の事も、町並みも、その建物の色彩も、全てがその言葉を意味しています。
その時、私は、スウェーデン国は成熟している国だと、つくづく感じます。
断熱材に硬質ウレタンフォームや押出し法ポリスチレンフォームが殆んど使用されていない事も、納得できます。


迷路ゲームの様に、迷った挙句、結果スタート位置に戻ってしまう。
日本の省エネ住宅ブームも、そんな状態にならないか、見ていると心配に成ります。
省エネルギーは、そんなに簡単な事では出来ない事を、理解して見極めてほしいと思います。

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パッシブハウス・無暖房住宅・外断熱の今川建築設計監理事務所: 2008年03月17日|ページの 先頭へ|