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緊急報告:ラジオ放送の結果は。

3月15日(土)朝7:35分~45分の10分間、HBCラジオに出演させて頂きました。


前日(正確には当日00:30まで)まで、放送原稿を何度も読み直していましたが、当時は頭が真っ白で、原稿通りには進まず、冷や汗状態でした。
自分の描いた通り、物事は進まないのが世の常ですが、正しくそれを体験しました。


本来の放送予定原稿は以下の物でしたが、10分間の主張は大変短く感じ、放送の難しさを認識させられました。


放送開始は、電話口で、ラジオ放送が聞こえる状態で始まりました。
中村美彦さんが、私のホームページに付いての話題を、切り出しにしてくれたので、少し落ち着く事が出来ました。
そして、佐々木佑花アナウンサーの声が聞こえると、もうどうにでもなれ状態でのスタートです。


本編は、殆んど覚えていませんので、上手く出来た事を想定して、以下のやり取りを読んでください。


2008年3月15日(土)『中村美彦の一筆啓上』 シリーズ《温暖化》

『無暖房住宅で温暖化防止』


(佐々木佑花アナウンサー)
今日は、住宅建築のおける省エネ、二酸化炭素などの温室効果ガス削減について考えてみます。
無暖房住宅の普及に取組んでいる建築家の今川祐二さんに、電話でお話を伺います。
今川さん、おはようございます。
よろしくお願いします。


(佐々木佑花アナウンサー)
まず、無暖房住宅、文字通り暖房の無い住宅ということですが、どんな仕組みの住宅なのか教えて下さい。

(今川)
無暖房住宅は、暖房設備が無い住宅で、その為には、床断熱300㎜、壁断熱450㎜、屋根断熱が500から600㎜と、建物の外郭を厚い断熱材で覆った住宅です。
更に、建物で一番熱の逃げる開口部を、高性能なガラス窓の採用、断熱性の高い玄関ドアに、風除室を設ける事で二重にするなど、建物からの熱エネルギーがより逃げない様にしています。
建物の気密性能も、日本の気密試験の5倍の圧力による試験を、パスする基準で行っています。
また、高性能な熱交換換気装置を採用する事で、空気の入れ替えを行う時に、熱を交換して、本来換気で全部捨てる熱エネルギーを、最小限度にしています。
建物内には、ストーブやボイラーなどの、暖房設備が無い代わりに、窓からの太陽熱を利用して、更に、調理熱や、お風呂の熱、冷蔵庫、テレビ、照明など、家庭内の、電気製品から出る排熱や、住人から発生する熱までを、暖房熱源としてしまう究極の住宅です。


(佐々木佑花アナウンサー)
日本の住宅の現状は?

(今川)
近年、日本の住宅の、断熱性能は向上していますが、EU諸国から見ると、まだまだ不足です。
住宅が想像以上に、温室効果ガスを排出している事を、意外と皆さんは知らないと思います。
国内の二酸化炭素排出量で、民生部門での排出量が増えている事は、それを示しています。
30年、50年更に100年と、長期間使用する住宅の、エネルギー使用量を少なくする事は、温室効果ガス削減には大変有効です。
省エネと環境対策への簡単な方策が、建物の断熱性能を高めることなのです。
また、高断熱化は、夏の室温安定に大変効果がある事も、知っておく必要が有ると思います。


(佐々木佑花アナウンサー)
寒い北海道で、無暖房住宅を造る事は、可能なのでしょうか?

(今川)
理論的には、充分可能です。
スウェーデンの無暖房住宅は、スウェーデンの南部に多く建設されています。
その地域は、札幌よりも緯度が高いのですが、海流の関係で、札幌と気温の差が余り有りません。
気温の面から考えると、札幌でも無暖房住宅の建設は、可能であると考えています。
無暖房住宅を建設する場合は、太陽エネルギーが大きな比重を占めますから、土地の方位や、気象条件など、立地条件を充分検討しなければ成りません。
更に、現状、日本国内では、スウェーデンの無暖房住宅で使われている、高性能な窓や、性能が確かな、熱交換換気装置が手に入りません。
それらを、解決する事で、実現可能だと考えています。


(佐々木佑花アナウンサー)
スウェーデンは、無暖房住宅の先進地と言う事ですが、
今川さんも現地を視察されている様ですが、スウェーデンの現状に付いて教えて下さい。

(今川)
スウェーデンの木造住宅は、1990年から現在、壁断熱270㎜、屋根断熱500㎜と、断熱厚さが決められています。
この断熱厚さは、日本の、次世代省エネルギー基準で一番厳しい、北海道地区の断熱厚さと、約2倍の差が有ります。
更に、この断熱厚さは、スウェーデン措いて、建築基準法で決められた、拘束力を持った数値ですが、日本の次世代省エネルギー基準とは、建て主の判断基準で有り、必ず守らなければならない基準値で無いのです。
この点が、省エネルギー基準の数値と合わせ、スウェーデンと日本の大きな違いです。
現在、スウェーデンに措いて、無暖房住宅は、累積建設戸数約700戸に成り、更に建設が進む傾向に有りますが、現状の断熱厚さなどを考えると、無暖房住宅も進化の過程で有り、今後、コスト比較やエネルギー効率などを考えた、断熱厚さの住宅造りが進んで行くと思います。


(佐々木佑花アナウンサー)
日本に措いて、無暖房住宅普及への、今後の課題はどんなところでしょうか?

(今川)
先にも述べましたが、無暖房住宅には、高性能な窓と、確実な性能を有する、熱交換換気装置が不可欠です。
昨年小樽市内で、設計・監理を行った住宅は、次世代省エネルギー基準の2倍の性能の住宅でした。
断熱と気密は、ほぼ無暖房住宅に近いレベルでしたが、窓と換気装置は、残念ながら手に入らず、無暖房住宅には及びませんでした。
しかし、無暖房住宅の実現は、充分可能であると実感しました。
日本国内でも、スウェーデンの無暖房住宅に使用している様な製品が手に入る事が、無暖房住宅普及の前提と成ると思います。
EU諸国連合では、2006年1月から『エネルギーパス』と言う、新築住宅の性能表示制度が実施されています。
この制度は、新築住宅の、年間エネルギー消費量を、表示する制度です。
これは、今後、既存建物にも導入されて行くそうです。
日本に措いても、『住宅のエネルギー表示制度』を、早期に導入すべきだと私は考えています。
それは、住宅の、省エネルギーの促進と性能の向上をさとし、結果的に温室効果ガス抑制に繋がるからです。
現在、洞爺湖サミットを前に、環境問題や温暖化対策への関心が高まっていますが、この問題はサミット後も、取組んでいかなければ成らない課題です。
折角盛り上がってきた、省エネ住宅への関心が、サミット終了後に、しぼんでしまわない事を望んでいます。


本来は、この流れで進むと思い込んでいた私でしたが、昨年、設計・監理を行った、小樽市のQ値0.80の住宅に付いての話しが、先に出たので、そこからが回路修正状態に陥り、後半はバタバタでした。


どの程度、無暖房住宅に付いて話せたのか、環境問題の焦点がずれなかったかなど、ラジオを通して聞いていないので、その実態は分かりません。
でも、メディアからの省エネ住宅や無暖房住宅の呼び掛けにより、北海道の住宅が北欧の住宅に負けない、寒冷地に相応しい住いになる切っ掛けに成ればと考えています。


中村美彦さん、佐々木佑花さん、報道部の藤木俊三さん、大変お世話に成りました。
HBC北海道放送の皆さん、有難う御座いました。
この場から、お礼申し上げます。

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