Q値0.80の家では、熱回収換気装置を採用しています。
現在の住いには、シックハウス対策として、24時間換気が義務化されています。
しかし、その換気方式は、第三種換気(自然給気⇒機械排気)で、室内で快適温度にした空気を、そのまま屋外に放出し、その分外部の冷たい空気を供給する仕組みです。
省エネ住宅は、熱回収換気装置無しには出来ません。
そこで、Q値0.80の家では、スウェーデン製の熱交換換気装置を選定して採用しました。
天井下地内の換気ダクトです。
ダクトは、汚染された室内空気が通るダクトと、熱交換された新鮮空気が通るダクトの、2本が設置されています。
今回の工事では、電気配線は全て配管(オレンジ色)で行いました。
その電気配管と換気ダクト配管のスペース確保が重要です。
換気ダクトと配線管のスペース確保は、今後の住宅工事のポイントと成るでしょう。
日本の木造住宅の換気は、ダクト配管が簡単なフレキシブルな素材が使われ、管径も100㎜以下の物が大半です。
その為、今回の様な本格的なダクト配管には、必要とする様な部材が無く、換気工事会社は大変苦労をしました。
独自で加工したり、工夫を施した納まりが随所に必要と成りました。
外部に貫通させたダクト端末です。
通気スペース部に下地材を設け、ダクトが固定出来る様にしました。
ダクト口は、埃が入らない様に、内外共にテープ養生を心掛けました。
ダクトスペースが取れない部分は、一部天井部にスペースを確保する必要も出ました。
熱交換換気装置とダクト配管の様子です。
今工事では、ユーティリティーに熱交換換気装置を置きました。
通常は、小屋裏等に置く様ですが、維持管理の上では身近なスペースに置くのが最良です。
長い期間の使用に耐える住宅には、この様な配慮も必要に成ります。
小屋裏スペースのダクト配管の様子です。
今工事では、落雪屋根勾配を利用して、ロフト小屋から屋根裏への連絡通路を設けました。
維持管理の上では、人が通れるスペース確保が重要です。
ご覧の様に、通行用足場も設けました。
勿論、小屋裏照明も有ります。
こうした処理は、スウェーデンの住宅ではごく普通の処置です。
長く使う建物への維持管理体制は、必要不可欠です。
小屋裏ロフト内の、ダクト配管の様子です。
ダクト内清掃用の、掃除口も設けています。
セットが完了した熱交換換気装置の全景です。
建物を見学した方々は、口々に驚きの声を上げていましたが、換気装置に関する諸設備に付いては、建て主様と私では建設主旨が合致しているので、当然の処理と考えていました。
100年サイクルで建物を考える時、当然行っていなければ成らない事だからです。
でも、今回使用した熱交換換気装置でも、熱回収率は60%です。
残りの40%は、熱回収されず屋外に捨てられているのです。
より、高効率な熱交換換気装置が待たれる現状です。
(Q0.80)その17に続く。