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14-4.本物の熱回収換気装置を見付けた。

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換気と熱回収、最後の難関、熱回収率と題して書きます。


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この写真は、ドイツの熱交換換気装置のパンフレットです。
このパンフには、熱交換率90%と書かれています。
しかし、有る一定の条件下での事、しかも外気がマイナスでは、内部が結氷してしまう状態など寒冷地使用に耐えない様です。
つまり、北海道内では使用えない製品です。


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同じ製品の内部写真です。
この写真は、ある寒冷地住宅普及協会の講習会で展示されていた時に、写したものです。
この講習会には、一般消費者が多数参加していました。


その講習内容で、この製品が熱交換率90%であると紹介されました。
私は、無暖房住宅を視察し、そこで使用されている熱交換換気装置を見ていましたから、明かに間違いだと思いました。
写真の、中央部六角形の部分が熱交換する処です。
こんなに、小さな部分で熱交換出来るでしょか?
熱交換率90%は、明かに嘘です。


何故ならば、この機器の熱交換部分の大きさと、無暖房住宅の熱交換器部を比較すると、無暖房住宅の物は比較に成らない位に大きいのです。
熱交換部分の大きさは、熱回収率の大きさに比例します。
その大きさ違いのも関わらず、この製品の熱交換率は、無暖房住宅の機器よりも、熱交換率が高く表示されていたのです。


内心可笑しくて、笑い出しそうでした。
そして、知らない事の恐ろしさも感じました。
また、それを信じて聞いている消費者達は、霊感商法を信じる被害者と同じ様に思えました。


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では、無暖房住宅の熱交換換気装置の、熱交換部の写真をご覧下さい。
 

上の2枚の写真が、熱交換部分のアルミ層です。
幾多の層で構成されています。
この部分で、室内空気と外部空気が熱交換します。
室内空気と外部空気は、アルミ層間で仕切られたエリアを通るので、混じり合う事は有りません。


右上の写真で分かる様に、スウェーデン人の工場長の腰付近の高さが有ります。
工場長は、私と同じ位の身長で170㎝位有ります。
特別、小人な身長では有りません。
それだけ、熱交換部分は、大きいのです。
この熱交換部分の大きさが、他社と大きく違う点です。


左下の写真は、熱交換換気装置内にある、ヒーターです。
外の気温が-10℃位になると、熱交換された空気でも、室内気温20℃位に対応は出来ない時、このヒーターが作動して、室内に入る前に加温します。
しかし、無暖房住宅での年間作動回数は、7回程度との事で、如何に熱交換率が高いかが分かる一面です。


右下の写真は、熱交換換気装置の外部を覆う断熱材です。
パロック社のロックウールが使用されています。
30㎜程の高密度ロックウールです。
本体を断熱材で包み、気密の良いドアで仕切り、モーター音の気に成らない消音設計です。


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左写真が、本物の熱交換換気装置の製品全景です。
本体の大きさは、高さ1900㎜、幅430㎜、奥行き620㎜です。
この大きさで、30~35坪の建物用です。


右の写真が、フィルター部とモーターファン部です。
フィルターも多層構造で、汚染部質を通しずらくしています。
その品質も、経年変化しずらい材質で出来ています。
モーターファンもEU規格品で、その部品も長く存在すると説明を受けました。


構造も仕組みも単純で、長く使用出来ると感じさせる製品でした。
本体のフタ部の気密ゴムも、日本で見るよなキャシャ品質ではなく、気密本来の役目を果たす製品と見ました。


また、熱交換部分は、上部より水洗い出来き、その水は本体下部のドレーン口から、排水管で繋げる様に成っています。
メンテナンスを考えた、スウェーデン製品の姿がそれに現れています。
大まかな説明でも、その違いが分かると思います。

これらの理由で、本物の熱回収換気装置を見付けた事を確信しました。


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スウェーデンに措いても、全ての熱交換換気装置が、その謳い文句通りの性能では無い様です。
良い例が、無暖房住宅の一つ、このランドスクローナー団地で有りました。
当初使用した熱交換換気装置が、予定の性能を発揮せず、住人から寒いと言う苦情が殺到したのです。


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ホワイトボードで、ランドスクローナー無暖房住宅団地の、設計者が説明してくれました。
当初採用した熱交換換気装置では、熱交換された新鮮空気は+13℃にしか成りませんでした。
室内温度20~21℃を要求するには、8℃の差が有り熱交換機としては、不合格と成りました。


そこで、現在採用しているメーカーの機種に変えた処、熱交換された新鮮空気温度は、19℃に改善されました。
それを、先程のヒーターで暖める+3℃程度は、空気のメンテナンスと考える程度の範囲と言うのです。


確かに、僅か+3℃程度は、許容範囲だと思います。
そして、他の無暖房住宅での実績でも、そのヒーターが作動したのは、1シーズンで7回程度であり、その他は熱交換機能のみで、室温を安定させています。


日本は、数々の優れた工業製品を造り出しています。
この熱交換換気装置も、日本企業が真似をすれば、同じ様な製品が造れると思います。
しかし、熱交換装置を必要と考えていない、日本のメーカーは造る気持ちに成らないのでしょう。
また、その本物を見抜ける目も無い様です。
現在、日本には世界各国から熱交換換気装置が輸入されています。
でも、一つとして本物は有りません。


スウェーデンの無暖房住宅でも一度失敗した様に、偽物は沢山存在します。
でも、私達は本物を見つけました。
私が、無暖房住宅を唱える為には、この機械との出会いが無ければ不可能でした。


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2001年リンドースから、スウェーデンでは無暖房住宅が造られ、2007年までに400世帯の無暖房住宅が完成し、2008年にはその数は700戸の世帯数に成ると言われています。
そして、その全ての無暖房住宅住居に、この熱交換換気装置が取り付けられいます。
この事実が、私がこの熱交換換気装置を、本物と唱える確かな証拠です。


次回は、14-5.『夏場対策、日差しを防ぐ』と題し記します。

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パッシブハウス・無暖房住宅・外断熱の今川建築設計監理事務所: 2007年12月05日|ページの 先頭へ|