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14-1.窓(性能とコストバランス)

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今回は、課題その1、窓(性能とコストバランス)に付いてです。


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この写真は、ドイツの資料ですが、窓の取り付け位置により、窓枠からの熱損失が大きく違う事が分かります。
断熱材と窓の取り付け位置が異なる(上)と、断熱同一ライン(下)では、34.5%の熱損失差が有るのです。
私はこの資料により、窓の取り付け位置で、窓の熱損失が大きく変わる事実を知りました。


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しかし、日本の窓メーカーが書いている窓の納め図では、窓枠が一番外側に配置された図に成っています。
これでは、窓枠から熱損失を起す、取り付け方ではないでしょうか。


日本のどのメーカーのカタログでも、この様な取り付け図に成っています。
ですから、現在の殆んどの建物では、窓は外面一杯の位置で、取り付けられているのです。


この様な窓の取り付け位置では、内部からのエネルギーロスが34.5%も多く、発生しているのです。
正しく、無知な(建築物理学が存在しない)国の、不経済な建築設計・施工と言えます。


私は、この事実を知る事で、自分の設計物件に措いては、窓の取り付け位置を変更しました。


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この絵は、熱貫流率0.9のガラスを、下の窓枠タイプに取り付け場合、左がわから熱貫流率が、1.3、1.4、1.5と増えることが書かれています。
つまり、窓枠の量が増えると、熱貫流率が増える事に成り、窓枠がガラスよりも熱性能上劣る事が分かります。


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この表は、複層ガラスの性能表です。
現在では、U値(熱貫流率)0.5のガラスまで存在します。
しかし、窓枠がその数値を落とす事は、意外と知らなかった事だと思います。
この事から、窓の性能はガラスだけではなく、窓枠の性能向上が重要に成っています。


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この写真は、窓枠にポリウレタンを封入した、断熱窓枠です。
高性能な窓とするには、ガラスだけではなく、窓枠を断熱する事が必要なのです。


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この写真も、窓枠に断熱材を挟み込む事で、熱橋が減り性能が向上する事を示しています。


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写真は、窓枠を積層枠として、高性能ガラスと組み合わせた、窓の例です。
この様に、スウェーデンやドイツを始めEU諸国では、省エネ住宅や無暖房住宅には、高性能な窓を使用しています。


省エネ住宅や無暖房住宅の弱点の一つは、窓である事が良く分かります。
また、その対策に苦慮している事も分かります。


しかし、先のディテールの様に、日本の窓メーカーは次元の低い、脆弱な窓しか製造していません。
従って、造られる建築物は、省エネルギー建築には程遠い、エネルギーロスの多い建物しか造られません。
エネルギーを100%近く輸入に頼る日本が、真似る必要の有るのは、EU諸国の考え方では無いでしょうか。


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この図は、窓枠を外側から断熱補強したディテールです。
この様に、ドイツなどでは窓枠の熱損失対策に重点を措いてきました。
各部の熱損失が小さくなると、今まで問題視されていなかった部位の問題も、クローズアップされます。


この様なレベルは、日本では考えられない領域です。
そして、その差はますます広がる傾向です。
日本の建築業界関係者は、この事実を知り、自分達の省エネルギーに対するレベルを認識すべきでしょう。


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写真は、高性能な窓ガラスに付いた霜が、窓枠側から融けている写真です。
枠の熱伝導率が、高い為に起きる現象です。


スウェーデンやドイツでは、壁からの熱伝導を最小に抑える事は、理論的には解決に近い状態です。
次の問題点は、窓とドアなのです。
その窓も、熱貫流率が日本国内の製品よりも、2~3倍高い性能の製品が出来ています。
今後、窓は限りなく、壁の性能に近づいていくでしょう。


日本に措いて、省エネ住宅や無暖房住宅建設を考える時、この様な窓製品が手に入らない現状が有ります。
また、その様な製品を輸入するには、高額な金額を要し建設資金を圧迫します。


日本の窓メーカーは、この様な高性能窓を生産する動きは無く、高い性能の省エネ住宅建設の為の、高性能窓の入手は輸入のみの方策と成り、コストや輸入的制約により、省エネ住宅は建設不能に追い込まれ事も有ります。
現状対策は、手に入る適度な性能の窓と、別な方策の組み合わせによって、高性能な窓とする仕組みを考える必要が有ります。


また、高性能ガラスの問題点である、日射取得熱の減少も考えなくては成りません。
無暖房住宅の大きな熱源である、窓からの日射取得熱が、高性能窓ガラスに成れば成るほど減るのです。
冬の昼間は、日射取得熱を多く取り入れ、夜間は室内からの熱流失が押える窓が理想なのです。


次回14-2.熱橋(ヒートブリッジ)対策と構造耐力に続く。

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パッシブハウス・無暖房住宅・外断熱の今川建築設計監理事務所: 2007年12月02日|ページの 先頭へ|