現在小樽市で建設中の、Q値0.80の家に措いて、気密測定を実施しました。
結果は、相当隙間面積C=0.1㎝2/㎡と言う、鉄筋コンクリート造の建物を越える数値が出ました。
次世代基準値2.0㎝2/㎡の、実に20倍の性能です。
測定者は、タギ建築環境コンサルタントのタギ氏で、彼は、『過去に多くの建物を測定したがこれ程の数値は経験が無い』と語り、Q値0.80の家の施工精度を絶賛していました。
測定準備中のタギ氏
窓廻りの気密施工状況
気密測定状況
気密測定結果
タギ建築環境コンサルタントによる気密測定性能試験結果
測定圧力を50Paまで上げて、漏気ヶ所をチェックしたところ以下の結果も出ました。
① 窓廻りの気密材とシール施工は完璧であった。
② スウェーデン製木製窓、テラスドア、玄関ドアから漏気は殆んど無い。
③ 浴室に付けた国産PVCサッシは、レバーハンドル廻りと外開き気密ゴム付近から漏気が確認された。
④ 設備管貫通部は、施工要領通り行った結果、漏気無かった。
⑤ 特に、ダクト管貫通部のフランジ加工は今後の施工指針となる。
⑥ 気密シートの先張りは有効である。
⑦ 気密シートの重ね張り以外に気密テープの施工が有効である。
⑧ 窓廻りの気密施工に付いて改良と工夫が必要。
⑨ 先張りシートの施工前までの、破損を防ぐ事が重要。
⑩ 内側気密保護層は今後の施工手本になると考える。
⑪ 国産のPVCサッシは、ハンドル廻りや気密材の性能が、スウェーデン製木製サッシよりも劣る。
測定中、漏気ヶ所をチェックしたところ、玄関と風除室に取り付けているスウェーデン製の木製断熱ドアの鍵穴からの漏気が確認されました。
その原因はメーカーの新機種入れ替え時期に当り、当現場納入品には気密ゴムの装着が無い事が分かりました。
つまり、玄関ドアの鍵穴からの漏気が有っても上記測定数値なのです。
後日、木製断熱ドアの鍵穴からの漏気は無くなり、測定数値は更に上がったと思います。
今回の測定時期は、写真の様に気密シートが露出している状態で行いました。
こうする事で、施工精度と漏気結果が対比出来ます。
仕上げ完了時の測定では、仕上げ材による気密性能向上が有り、本来の気密シート性能が分かりません。
また、漏気箇所が有っても、手直しが出来ません。
気密の目的を考えると、気密シートが露出している現場時期の測定が本来だと考えます。
パフォーマンスでの気密測定は、目的を逸脱した消費者騙しの余興にすぎません。
この時期は、工事の最盛期に当り貴重な時間と手間が掛りますが、今までの施工に対し確実な施工の裏づけとなる測定です。
各業種立会いの中、各社が行ってきた自身の施工に対し、納得と自信を深める結果でした。
こうした積み重ねが、北海道の建物を北欧並みにする為の、ステップになると考えます。