2007年11月24日(土)札幌エルプラザ2階環境研修室に措いて、無暖房住宅セミナーを開催しました。
連休中日にも関わらず、約60名ほどの来場者が有りました。
最近の石油価格の高騰や温室効果ガス削減問題など、エネルギー、環境への関心から、無暖房住宅への注目が高まっている事を、改めて感じました。
セミナー内容は、
報告1. 「無暖房住宅とは~その理論と実際」 今川 祐二
スウエーデンの無暖房住宅3例を中心に、無暖房住宅はどの様にして造られているか。
各無暖房住宅の特徴や性能数値、断熱厚さや高性能な窓、ドアの紹介。
また、全ての無暖房住宅で採用されている、高性能熱交換換気装置を紹介しました。
報告2. 「スウェーデンと日本における無暖房住宅の今」 堀内 正純
2007年6月のスウェーデン無暖房住宅視察を中心に、その後の無暖房住宅の性能確認報告や、今後の無暖房住宅建設計画など、最新の情報と今後の計画を報告しました。
また、「非定常熱湿気同時移動解析プログラム“WUFI”」に付いて説明を行い、EU諸国を始め、欧米でも活用されている、WUFIソフトが如何に、断熱気密設計に必要なモノか解説を行いました。
質疑応答では、
気密測定実施時期は、気密工事完了直後か竣工間際のどちらが適切か?
国内外の換気装置は殆んどが偽者の根拠は?など要点を得た質問などが出されました。
日本に建築の措ける省エネレベルは、スウェーデン、ドイツを始めEU諸国から比べると、大変低い状況に有ります。
最近、日本国内では、無暖房住宅のネーミングに対し、異論を唱える人達がいます。
私は、それらに対しては、言葉尻を取る様な異論だと思っています。
暖房設備が無く、暖房エネルギーを太陽熱や室内から発せられる熱源で活用する建物は、正しく無暖房住宅と呼べると思うからです。
諸外国では、温室効果ガスの抑制の一環として、また、エネルギーの安定供給に寄与する対策として、省エネ建築を進めています。
こうした世界レベルのエネルギー問題での石油価格の上昇等に対して、日本では明確な方向性や具体的な対策も示されず、国民は我流の自衛しか手立てが無い状態です。
建築業界は、今こそ建築本来の形を示し、業界推進で省エネ建物の効果をアピールすべきです。
建築は社会基盤です。
ダーティーなイメージばかりの昨今ですが、いまこそ建築業界が国民にその存在意義を示せる時だと、私は考えています。
省エネ、無暖房住宅は、日本をそして世界を救うかも知れません。