今回は、スウェーデンの団地再生、古い集合住宅を無暖房住宅に改修した例を紹介します。
どこの国でも、古い集合住宅をどの様に扱うか、頭を悩める問題です。
スウェーデンには、1960年代住宅建設を促進させた、100万戸計画と言うプロジェクトが行われました。
しかし、建設を早めた結果、その建物の性能が現在の基準に合わない状態に成りました。
そので、リンドース無暖房住宅の設計者、ハンス・エーク氏が関わり、アーリングソース団地の再生プロジェクトが開始されました。
アーリングソース団地は、ヨーテボリ市から40~50分の位置に有ります。
団地の様子です。
古い造りのアパート群が建ち並びます。
ご覧の様に、外壁タイルも可也痛んでいます。
断熱仕様も低く、現在のスウェーデン基準にはそくわない建物と判断されました。
この様な建物を、上の数値に変えるのが、今回のプロジェクトです。
図面は、再生前(上図)と再生後(下図)です。
平面的に大きな改修部は、バルコニーを無くし室内空間に取り入れた点と、共用玄関部を改修して2重空間にして、外部から遮断した事です。
この改修は、日本の共同住宅が省エネ建物として、欠陥を持つ建物である事が、分かる改修工事です。
更に、外断熱に措いて、屋根500㎜、壁250㎜、基礎100㎜の断熱を行い、窓の取替え、熱交換換気装置の設置など行いました。
その結果、改修後のエネルギー量は、58%も減少しました。
一方、日本の現状はどうでしょうか。
この建物は、北広島市の団地内にある集合住宅です。
現在は、無人のまま壊されるの待つ身です。
日本では、何故、再生と言う道を選ばないのでしょうか。
充分に、再生され、無暖房住宅と成り得る建物だと考えます。
スウェーデンでは、建物は壊れるまで使用すると言います。
この違いは、私達国民に取って、大変不幸な現状です。
この様な、税金の無駄使いは、全国至る処で起きています。
(施工不良で、鉄筋がはみ出している状態のベランダ)
日本では、こうしたスクラップ&ビルドは、現在も続いています。
私は、3度スウェーデンを訪問していますが、ビルの解体や道路掘削は、殆んど目にしません。
僅か、3度の事で、それがスウェーデンの真の姿とは思いませんが、日本のそれは余りにも多すぎます。
地球温暖化対策や省エネ対策にも、大きな差が起きるのは、必然と言えます。
私達は、この現状を正視する訳にはいきません。
早く、方向修正をしなければ、国は破綻するでしょう。
その秒読みは、既に多くを刻んしまっています。
次回は、12、『北海道の住宅に措ける課題』と題して記します。