無暖房住宅の設計ポイントに付いて、設計者のハンス・エーク氏はこの様に語っています。
①建物からの熱の移動は、熱伝導、換気、排水により起こる。
(熱伝導の元を如何に断つか、換気からは熱回収、排水は今の所対処法無し)
②断熱材の多層化による、ヒートブリッジ対策。
③高性能な、窓・ドアの採用。
④風除室を設ける2重玄関ドア。
⑤高性能な熱交換換気装置による熱回収。
⑥各無暖房住宅に措いて、性能向上、コストアレンジが有る。
(RC床、RC壁の効果、窓性能の使い分け、断熱性能の使い分け等)
以上の様に、無暖房住宅は特殊な工法や高額の機材を駆使した建物では無く、断熱材の多層化と外郭の弱点部に対する強化で、無暖房化出来る事を証明したのです。
この事は、日本に措いても無暖房住宅建設は勿論可能で有る事、また一般住宅の措いても断熱の強化、窓・ドアを高性能な物に変える事は、省エネ対策として効果が大きい事を示します。
断熱材の有効活用と、理論に則った施工を心掛ける事が、経済的且つ有効な手立てなのです。
次は、ランツクローナ市の自己暖房住宅です。
自己暖房住宅とは、室内の発生熱源が暖房として活用出来る住宅から来ています。
つまり、リンドースの無暖房住宅と理屈は同じで、システムも殆んど同じです。
私は、2003年の視察後、僅か3年の間にスウェーデンでは、無暖房住宅が各地で建設され、今後も建設計画が沢山有る事が驚きでした。
無暖房住宅が、スウェーデンの全国各地に広がる事実は、日本に措いて考えられないハイレベルな事です。
底知れぬ、スウェーデンの力を見た思いがしました。
この差を埋める様な建築業界の動きは、日本国内では有りません。
建設地は、スウェーデンの南部、ヘルシンボリ市に近いランツクローナ市です。
自己暖房住宅団地の配置図です、
平屋建ての、平・立面図です。
平屋と2階建ての2タイプが有ります。
両方共、連棟型です。
こちらは、2階建てタイプの平・立面図です。
上から、床0.10W/㎡・K、屋根0.10W/㎡・K、窓0.9~1.0W/㎡・K、一つ措いて、壁0.08W/㎡・Kの性能です。
スウェーデンの一般的な住宅と自己暖房の性能差です。
一番上から、
年間のエネルギーは、(一般)60~200KWh/㎡ar (自己暖)≦10KWh/㎡ar
(一般)12000~30000KWh/ar (自己暖)6000KWh/ar
壁の熱貫流率は、 (一般)0.6~0.2W/㎡・K (自己暖))≦0.1W/㎡・K
壁断熱材の厚さは、 (一般)8~20㎝ (自己暖))35~55㎝
窓の熱貫流率は、 (一般)2.0~1.4W/㎡・K (自己暖))≦1.0W/㎡・K
換気の熱回収率は、 (一般)35~55% (自己暖))85%
次回は、8-2題『ランツクローナ市の自己暖房住宅題(その2)』を記します。