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無暖房住宅視察2006年連鎖する無暖房住宅(3)

連鎖する無暖房住宅(3)

今回は、スウェーデンのバルナモ市にある設計事務所bsv社の無暖房住宅です。

bsv社は、前回のヘルシンボリ市から高速道路を150km北東に進んだ、バルナモ市に本社を置く総合設計事務所です。
建築関連は、住宅から公共施設、再開発プロジェクト、商業施設、駅舎などを手掛け、土木設計も行う会社です。
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bsv社の社屋です。
地下室もあり、B1~3Fの建物です。
エレベーター設備も有りました。
この本社の他に、4つの支社があるそうです。
社員数は31名いるそうです。
今回の視察に付いては、多くのbsv設計事務所の関係者が加わり、大変協力的でした。
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bsv設計事務所の、階段室の様子です。
装飾と収納を兼ねた、本棚が印象的です。
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オフィスの様子です。
占有面積が大変広く取られています。
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bsv社の幹部の方です。
無暖房住宅建設の説明をして頂きました。
今回の無暖房住宅の特徴は、先の2件は木造でしたが、今回は鉄筋コンクリート(RC)+鉄骨+木造の混構造です。
RC部分を採用した理由は、蓄熱効果による室内温度の安定と説明されました。
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bsv社設計の無暖房住宅の概念図です。
この写真は、1階が一世帯、2、3階が一世帯の3階建てタイプで、別に2階建てで、1階、2階が別な世帯タイプの2種類が有ります。
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3階建ての立面図です。
外壁の白い部分は、スレート系の外装材です。
バルコニーが付く南西面の外装は、木が張られています。
当然、バルコニーは熱橋対策の為、外装工事完了後の施工です。
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この平面写真は、2階建てです。
4×2F=8件のタウンハウスタイプで、1、2階共両妻は述べ床面積70㎡、中間は62㎡です。
3階建ても4×2F=8件で、1階は2階建てと同じ間取りで同じ㎡数で、2~3階部分は、両妻が延べ床面積107㎡、中間は105㎡です。
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躯体工事中の写真です。
床と界壁は、鉄筋コンクリート造です。
支柱に一部鉄骨を使い、残りの外壁と屋根は木造です。
スウェーデンでは、RC造+鉄骨+木造などの混構造を良く見かけます。
床は、遮音、各種配管埋設、蓄熱の為、界壁は遮音効果と蓄熱の長所を採用理由としています。
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断熱の模式図です。
床の断熱厚は35cmU=0.09w/㎡k、壁44cmU=0.10w/㎡k、屋根55cmU=0.08w/㎡kの仕様です。
また、窓はU=0.85w/㎡kでリンドース団地とほぼ同じ性能です。
玄関に風除室を設け、このプロジェクト用に特別仕様した、玄関ドアが2重に付きます。
その性能値は、U=0.6w/㎡kです。
断熱材を幾層にも重ね、熱橋を防ぐ方策は他の無暖房住宅と同じです。

スウェーデンの無暖房住宅は、その地域や予算により、断熱厚さや窓、ドアなどの厚さや仕様を変え色々なタイプが造られています。
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外観全景です。
屋根には、ソーラーコネクターが付いています。
このソーラーコネクターで、給湯の50%を賄えます。
コネクターから、4件に一台設置されている、容量1000Lの給湯アキミュレーションタックに貯められ、各家庭に供給されます。
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貯湯用のアキミュレーションタックです。
外殻は鉄製、内部は銅製で出来ています。
外側は、断熱材で包まれます。
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説明を聞く、今川。

説明の中で、工期に触れました。
2005年4月に着工し、2006年の6月に一部入居し残りは、7月入居と聞きました。
工事規模の割りに、工期が長いのでスウェーデンに措ける工期設定は、この位が普通か?の質問をしました。
(A):鉄筋コンクリートは、完全に乾燥させなくては成りません。
コンクリートが乾燥しない状態で、気密の良い建物を造ると、湿気が何処にも逃げられず結果的に、カビや結露の被害が起きます。
ですから、工期を長く取りコンクリートの乾燥期間に当てるのです。

それは、スウェーデンでは一般的な処置か?の質問には。
(A):スウェーデンの建築基準法には、建物の汚染に付いての基準はある。
未乾燥のコンクリートに施工を続けると、結果的に汚染に繋がる。
建築業界には、コンクリートの含水率の状態により、次の工事に取り掛かる基準がある。
過去には、コンクリート内に乾燥材を入れる事も行われていたが、床材と科学反応を起こし、室内汚染に成った。
そのため、その様な方法ではなく、現在は期間を取り自然乾燥させる方法に戻っている。

冬の長いスウェーデンに措いて工期設定はどうしているのか?
(A):鉄筋コンクリートの工事は、春から着手するのが一番良い。
冬に成る前に、コンクリート工事を完了させ、乾燥期間を持ち内外装工事に掛る。
この現場も、10月に鉄筋コンクリートの工事を終わらせた。
工場などの床は良いが、事務所や住宅はそうしないと問題が出ます。
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無暖房住宅工事現場内では、電気加温機が使用されていた。
現場内の躯体コンクリートは、私の経験上では充分乾燥されている様に思えた。
しかし、スウェーデンではより乾燥状態で仕上げを行う事が分かった。
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現場に落ちていた加温機の空き箱。
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別な棟の大型加温機。
室内は、体感で30℃は有ったと思う。

各無暖房住宅の設計者や関係者に共通する事は、良質な物造りを心掛ける言葉です。
手直しや、やり直し、造り直しは最大の無駄である事の言葉を、よく耳にします。
そしてその時私は、『この国はどこか違っている』といつも思うのです。

次回は連鎖する無暖房住宅(4)
バルナモ市の設計事務所bsv社の無暖房住宅現場編です。

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パッシブハウス・無暖房住宅・外断熱の今川建築設計監理事務所: 2007年01月02日|ページの 先頭へ|