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無暖房住宅視察2006年連鎖する無暖房住宅(2)

連鎖する無暖房住宅(2)
今回は、自己暖房住宅の設計者によるレクチュアの様子を紹介します。


『自己暖房住宅』と言う、新しい言葉を聞いたのは、今回のノーラン団地で無暖房住宅の設計者バーナー・ストローク氏からです。

バーナー・ストローク氏は、この住宅を独自開発したと、説明しました。
私達にとっては、無暖房住宅はハンス・エーク氏が、設計したとの印象が強いのですが、スウェーデンにおいては、断熱の厚さと材種、気密、熱源の計算や換気方式、窓、ドアの選定や性能など、部分的な違いやアレンジにより、その建物を独自で開発とか、自分が設計したと主張出来るのかもしれません。


無暖房住宅は、暖房設備が不要な住宅である事が主目的であり、その方策や性能は形を変えて、結果的に無暖房が可能な住宅に成ればそう呼べます。
そう考えると、無暖房住宅を自身のみの言葉として、主張する事は現実的に、難しいのでは無いかと思いました。


バーナー・ストローク氏は、アーキテクト、プロジェクトマネージメント、コストダウン、建築物理学、環境が専門と多くの肩書きや学位を持っている方だと説明された。

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バーナー氏の説明が始まった。


この自己暖房住宅は、風除室が特徴です。
玄関からの、エネルギーロスを防ぐ事が出来ます。
しかし、効果がいまいち、上がらなかった。
入居者が、使い方を熟知していなかったので、どらかのドアを開けたままにしている事が、多いためです。


4連戸が5棟、3連戸が3棟、2連戸が3棟の全部で35世帯の団地です。

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平屋建ては、述べ床面積、61.6㎡と85.0㎡の2タイプです。

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2階建ては、述べ床面積、108.0㎡と95.2㎡の2タイプです。
自己暖房住宅は、特別な事はしていません。
自己暖房住宅(無暖房住宅)は、普通の家に使える事が重要です。

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最初に現地に建てた実験住宅です。
この実験住宅からあらゆるデータを取ったが、技術はまったく同じです。

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普通の家は、壁、天井、換気から熱をロスしている。
高いお金で、エネルギーを買って、そのまま捨てている様なものです。

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しかし、断熱を厚くして換気のエネルギーをリサイクルする事で、余剰エネルギーを使う事ができます。
自分で暖める家すなわち、自己暖房住宅(無暖房住宅)に成ります。

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スウェーデンの賃貸住宅は、50年サイクルで居住者が変わると考え、その時にリフォームを行う想定をして計画します。
原価償却は、50年で見ています。
家は、100年以上持ちます。
スウェーデンの借家思考の人は、借家に対する要求が大変厳しいのです。
家は、建築物理計算して、入居者に湿気対応を補償しています。


普通の家は、左の画像の様に天井の下地が冷えて温度が低い。
熱橋を防ぐ手立てを行わないと、熱の流失が止まらないのです。

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窓も、ガラスエッジの部分に何を使うかにより、大きく性能が違います。
メタルではなく、プラスチックを使うと大きく性能が上がります。

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自己暖房住宅の窓ガラスは、三層で1つがアルゴンガスで、1つがクリプトンガスを使っています。
但し、高性能な窓と少し性能を落とした窓を使い分けています。
それだけで、窓工費を35%コストダウン出来ました。
例えば、0.5℃程度の性能差であれば、小さな窓は高性能な窓でなくても良いのです。
スウェーデンでは、各プロジェクト毎に、窓メーカーに性能注文するのが一般的です。
既製品の窓から、使用する窓を選んだりはしません。


画面は、電力消費で普通の家は12,000~30,000KWh/arですが、自己暖房住宅は6,000KWh/arの半分の消費ですんでいます。

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壁、天井の断熱は、普通の家は、0.6~0.2W/㎡K(8cm~20cm厚)ですが、自己暖房住宅は、≦0.10W/㎡K(35cm~55cm厚)です。
窓の性能は、普通の家で、2.0~1.4W/㎡Kですが、自己暖房住宅は、、≦1.0W/㎡Kです。
熱交換換気扇は、性能の悪い製品では、35~55%の熱回収ですが、自己暖房住宅の熱交換換気扇では、85%以上の熱回収が出来ています。
これらの数値の積み重ねが、一般的な住宅か自己暖房住宅に成るかの違いです。


確かに、大きな設備機器を要する様な住宅ではなく、シンプルな中に高断熱、高気密をベースにした住宅でした。
しかし、高性能な熱交換換気扇や高性能な窓は、現在日本では自由に購入できる状況では有りません。
これらを輸入、または、早期の開発がなければ、日本に同等の住宅は出来ません。
一部の需要者の為、日本のメーカーの対応は、期待出来ませんので、スウェーデンが羨ましく思えます。
また、公営の賃貸住宅で、無暖房住宅の構想が幾つも起き、それが現実化している事も、日本と大きく異なります。


バーナー・ストローク氏は、こう続けました。

ハルケンバリーには自己暖房住宅が既に完成し、ボローズでは20戸の自己暖房住宅を建設中です。
このランツクローナー市のノーラン団地は、『自己暖房住宅』がある街として、市名前がが有名に成りました。


日本で名を馳せるには、奇抜なデザインや壮大な建物をイメージしますが、これからはその様な物造りの競争ではなく、賢い物造りが当てはまるのではないでしょうか。
スウェーデンの、国造りや国家思想には、潜在的にそれが有ると感じます。
長く使う為の、物造りの基本が出来ている国が、スウェーデンだと私は思っています。


日本の公共施設の建設に、良いアイデアを聞いた思いがしました。
如何ですか、全国の自治体の皆さん。真似てみては?
取分け、我が町北広島市に、早く無暖房住宅建設を、実現したい思いです。


次回は、連鎖する無暖房住宅(3)です。
バルナモ市の、設計事務所bsv社の無暖房住宅です。

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パッシブハウス・無暖房住宅・外断熱の今川建築設計監理事務所: 2007年01月01日|ページの 先頭へ|