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無暖房住宅視察2006年連鎖する無暖房住宅(1)

連鎖する無暖房住宅(1)

現在、スウェーデンでは各地に無暖房住宅が建ち始めています。
2001年ヨーテボリ市のリンドース団地に、無暖房住宅第一号が完成しました。
別ページで紹介している、ハンス・エーク氏が設計した建物です。

それから5年経過し、各方面でその成果を踏まえた、新たなプロジェクトが興されていました。
2006年3月スウェーデン視察で、その現状を見る事が出来ました。

まず最初に紹介するのは、ヨーテボリ市から南へ300㎞程下った港町ヘルシンボリ市に近いランツクローナー市に建つ市営住宅です。
市営の賃貸住宅が、無暖房住宅として建てられていました。
この団地の設計者バーナー・ストローク氏は、これらの建物を自己暖房住宅(セルフヒーテイングハウス)と呼び、その自己暖房タウンハウス住宅の一軒に私達を案内してくれました。
新しい言葉『自己暖房住宅』を、私は始めて聞きました。

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ランツクローナー市のノーラン団地に建つ、自己暖房住宅(無暖房住宅)です。
平屋と2階建ての2タイプがあります。
この団地には、2件、3件、4件式11棟の連棟タイプの、自己暖房住宅(無暖房住宅)が建っています。
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訪問した平屋建て連棟タイプの自己暖房住宅(無暖房住宅)のです。
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訪問したお宅は、3連戸中央のお宅でした。
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バルコニー側(南面)の写真です。
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窓周りです。
外壁は、断熱材に塗り仕上げの塗装の湿式工法でした。
(風除室横の寝室の窓)
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玄関側の庇です。
日除けを兼ねて、深い庇寸法です。
奥に見えるのは、風除室側面です。
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バルコニー側の庇です。
こちらも、深い庇です。
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室内を見学させて頂きました。
リンドースの無暖房住宅と同じく、風除室が有ります。
通常は1枚のドアが、2枚のドアを介して室内に入る事に成ります。
風除室のガラスは、トリプルガラスでした。
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室内側から見た玄関ドアです。
スウェーデンの一般的住宅は、このドアが1枚のみです。
自己暖房住宅では、熱の流失を防ぐ徹底した手立てが必要です。
高性能なドアを2枚にする風除室は、無暖房住宅には不可欠の様です。
ドア横の温度計は、入った時は室温21℃を示していました。
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訪問宅のご主人です。
奥様と2暮らしです。
奥様は写真に撮られるのが嫌と言われたため、映像は有りません。
右の2人は、熱交換換気扇メーカーの方です。
換気装置の感想を聞いています。
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自己暖房住宅の名付け親と言える、設計者のバーナー・ストロークさんです。
現地で、設計上のポイント、特に熱交換換気扇に付いて説明頂きました。
バーナー氏は、『今は室温21℃ですが、これだけ大勢の人がいると、間もなく1~2℃室温は上がるでしょう』と話しました。
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食堂側から見た居間の様子。
平屋勾配屋根の傾斜で天井を造り、天井高さを確保して広がりを見せている。
このお宅は、平屋の小さいタイプで、述べ床61.6㎡です。
居間の他、食堂、台所、寝室が1つ、洗面+トイレ+UTの1室、物置(熱交換換気扇があるスペース)です。
無暖房住宅では、室内気積が大きなポントと成ります。
暖房気積が大きいと、当然その必要熱量が増えます。
室内気積が不必要に取らない住空間設計が必要なのです。
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食堂スペースです。
居間と台所の間にある4帖位の広さです。
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台所です。
4帖間位のスペースでした。
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換気装置です。
物置兼用の細長いスペースに有りました。
小さなお宅には、大きく見える熱交換換気扇です。
フルオートの為、熱交換換気扇には鍵が掛けられ、居住者が勝手に制御を変えない様に管理されていました。
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熱交換換気扇からの配管です。
換気ルートを管に表記しています。
換気は、1~2シーズンを見て調整する事が有効な効率に繋がると、設計者のバーナー氏が話していました。
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この窓はトリプルガラスで、U=1.0W/㎡Kの性能です。

入居者であるご主人がいろいろ答えてくれました。

以下ご主人の無暖房住宅入居の感想です。
玄関ドアが二重に成っているのが重要だ。
10分もたっと、室温が22℃になるだろう。(現在21℃です)
今年は大変寒い年でした。
しかし、この家にいるとそれを感じ無かった。
近くの持ち家に住んでいたが、年金生活者の65歳になり、小さな家を探していた。
住宅の性能については、リンドース団地の無暖房住宅を見て、同じ性能なら良いと思い、申し込んだ。
家が、近くだったので建設中よく見に来た。
この団地建設には、1年半もかかった。
燃料を買う必要が無く、夏も涼しかった。
熱交換換気装置を使っているが、花が長持ちして丁度良い気温と湿度だ。
借家で家賃を払っているが、家に問題が出ると電話1つで修理してくれるので、持ち家より良い。
この団地は、給湯や電気の料金が個別料金で使用した分だけの支払いなので節約出来る。
(スウェーデンは、集中料金制で一律料金が多い)
『寒い時は、近所の人を呼び、熱源にしているよ』と最後は冗談まで飛び出した。

スウェーデンでは、無暖房住宅(自己暖房住宅)が、あちこちで建てられています。
そして驚いた事は、その設計やプロジェクトが、いろいろな人達の手により行われている事です。
それは、無暖房住宅(自己暖房住宅)は、スウェーデンにおいてもう特別な建物では無いとも言えます。
私には、スウェーデンで何処にでも、誰にでも、無暖房住宅(自己暖房住宅)は建設可能の建物に成っている事が大きな驚きでした。
そして、スウェーデンを訪問すると日本との差を何時も感じるのです。

次回は、連鎖を呼ぶ無暖房住宅(その2)
        自己暖房住宅の設計者です。

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