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12.ハンス・エーク氏【COP3の地で】

【COP3の地で】
京都市セミナー(京都市キャンパスプラザ京都)2005年2月27日(日)

午前10:00ホテル出発
会場のキャンパスプラザ京都に到着し4階に上がると、日曜日にも拘らず外断熱推進会議関西支部の皆さんが、会場設営や受付準備を手際良く行っていました。

開場準備中の関係者が手を休め、ハンス・エーク氏に拍手が送られた。
その拍手にハンス・エーク氏は笑顔で答えた。

講演前のハンス・エーク氏
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午後1:30分より廣口外断熱推進会議関西支部長の司会で、講演が開始された。
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講演の様子
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今回の講演順序は、

講演1 友子 ハンソン
『住を大切にすること~スウェーデン人の考え方』
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講演2 堀内 正純(外断熱推進会議事務局長)
『地球環境と外断熱』
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講演3 ハンス・エーク(建築家)
『地球環境と無暖房住宅~エネルギーを使わない暮らし』
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と続いた。
(以上の講演は、長野他講演と重複のため、省略)

続いて、パネルディスカッションが行われた。
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ノンフィクション作家の山岡淳一郎氏が総合司会を務め、

出席者は、

ハンス・エーク氏(通訳:友子・ハンソンさん)

京都市都市計画局住宅室部長
畑中政治氏

全国マンション管理組合連合会事務局長
谷垣千秋氏

京都工芸繊維大学所助教授 工学博士
芝池英樹氏

外断熱推進会議事務局長の
堀内正純氏

以上の7名で行われた。

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(山岡氏より)
国民は、地球温暖化が進んでいる事は薄々感じとっていると思うが、具体的な取り組み方法が示されていないので、どうしたら改善の方向になるのか分からないと思う。
高断熱化は、省エネ → 耐久性 → 健康的と言う図式になるが皆さんはどの様に考えられるか。

(谷垣事務局長は)
2004年8月スウェーデンを訪問し無暖房住宅や外断熱マンションを見学しカルチャーショックを受けた。
日本はスクラップ&ビルドが前提だが、スウェーデンは再生が前提であり、その違いは自分の意識転換になった。

(ハンス・エーク氏は)
再生の手順について
スウェーデンは、1973年の第一次オイルショックの時、国は支援金を出し建物の外断熱化と個別暖房を地域暖房に改修したが、換気計画の甘さからカビが発生しシックハウス問題になった。
建築物理学を前提に行わなかった結果だった。
それらを踏まえて、アリングソースでの団地再生では、サーモグラフィーで建物の温熱問題箇所を確認し、外断熱化と窓の性能アップを図った。
入居したまま外部から、一戸ごと改修工事を進めた。
窓も外部からの取替えで、入居者への影響は最低限とした。
今後は、この様な手法で再生工事が行われるだろう。

(芝池助教授は)
写真を使い、外断熱の実例を紹介した。
外断熱は大別すると
①乾式通気層工法
②湿式密着工法
③複合板密着工法
3タイプがあり、状況による使い分けが必要と発言した。

(京都市の畑中住宅室部長は)
京都市の温暖化低減取り組みを紹介し
①各家庭や店舗から回収したてんぷら油で行う、バイオジ―ゼル燃料化事業で、年間4000tのCO2削減効果があり、これは政令指定都市では京都市だけの取り組みであること。
②2004年12月に地球温暖化対策条例を制定し、共同住宅を含む2000㎡以上の新築・改築物件には、温室効果ガス削減計画書の提出を義務化させたこと。
を話した。

総合司会の山岡淳一郎氏が
会場で聴衆されていた京都府土木建築部荒木課長に発言を求め、京都府の現状を聞いた。
(荒木課長は)
京都府の建築物では現在屋根面に25mmの外断熱を実施しているが壁面は無断熱です。
と、報告すると、

友子さんから通訳を受けたハンス・エーク氏が発言した。
(ハンス・エーク氏は)
折角、工事をするのだからもっと厚い断熱をした方が良いと思うのですが。
と発言すると、その言葉に、会場から拍手が上がった。

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断熱材の活用で、快適性確保や建物の耐用年数増幅効果などさまざまな利点が実証されているスウェーデンでの常識は、ここ日本ではまだない。
ハンス・エーク氏の『何故、なぜ』と思う気持ちが感じられる。
無駄を解って放っておく姿勢が理解できないハンス・エーク氏。
ハンス・エーク氏にとっては、どの会場でも、一度は味わう空虚さのようだ。

(谷垣事務局長は)
現在各マンションの修繕積立金は、断熱改修を前提にした物では無いため、外断熱改修するには入居者各人の更なる負担増がある事を忘れてはならない。
しかし、建物の外断熱化は、居住性をアップさせ建物の寿命を長くする。
断熱改修は、外部からの遮音効果も高く、断熱材の効果的な使いかを実践すべきだ。

(ハンス・エーク氏は)
コスト捻出は、暖房費の負担ゼロと電気使用量減によるコストダウンが考えられる。

(山岡氏は)
イニシャルコストの研究は盛んだが、もっとランニングコストについても研究すべきだ。

(芝池助教授は)
外断熱は夏場の日射コントロールが重要で、その点を解決できれば外断熱は夏場でも効果は高い。

(ハンス・エーク氏は)
地球的に考えると、エネルギー使用を減らす事が大切だ。
早急に動くべきだ。
京都の皆さんの成功をお祈りします。

と最後に述べた。

京都講演も盛況の内に無事終了した。

会場を別にして打ち上げを行った。
祭日だが生演奏のできるスナックを貸し切り、盛大に行われた。
ハンス・エーク氏は、得意のバイオリン演奏で、場を盛り上げてくれた。
講演後の疲れを感じさせない、迫力ある演奏に出席者から盛んな拍手を浴びた。

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バイオリン演奏を続けるハンス・エーク氏が、演奏を楽しんでいると思っていた私達は、ハンス・エーク氏が飲食をあまり取っていないことを忘れていた。
打ち上げ出席者は、京都から大阪まで帰られる人が多数だったのと、祭日のため店も早めに閉める必要があった。
お開きと関係者が、立ち上がると飲食をあまり取っていない、ハンス・エーク氏は不満顔だ。
彼は、演奏して皆さんを楽しませていると考え、こちらはハンス・エーク氏が演奏を楽しんでいると考えていたから、そのギャップは大きい。
店は閉店のため、出るしかない。
宥めて、ホテルまで帰る。
堀内事務局長と友子さんが、ハンス・エーク氏をホテルのスナックへ案内した。
堀内事務局長の気の使いようは、並大抵ではない。
こうした気遣いが、信頼を築き上げたのだろう。

風邪ひきの私は、部屋に戻った。
結局、深夜までのお付き合いに成った様だ。
物事をハッキリと言う、スウェーデン人。
日本人ならば、あの様な態度は取らないだろう。
スウェーデンと日本、断熱厚さも違うが別な面でもいろんな違いが有る。

13.ハンス・エーク氏初めての休日京都観光へ続く。

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