M邸は木造外張り断熱工法2階建て住宅です。
M邸は、オープンシステムの分離発注方式で、当社と設計・監理業務契約を行いました。
多雪、寒冷地に建設される条件を考慮して、繊維系断熱材による木造外張り断熱工法を推奨し、採用頂きました。
建物の耐用年数やライフサイクルコスト出来るだけ抑える事を視野に入れ、シンプルな中で内容のある設計を希望されました。
外張り断熱材は、ロックウール板断熱材を、壁100+25㎜(40㎏/m3+80㎏/m3)とし、屋根は200㎜(40㎏/m3)、基礎廻り外断熱工法で押出し成型板BⅢ100mm、土間下は押出し成型板BⅢ100mmとしました。
窓は、樹脂サッシにLow-Eガラスを採用しました。
玄関ドアは、スウェーデン製木製断熱ドアを採用して、風除室を設ける事で玄関部の防寒対策と省エネ効果を更に高めています。
また、基礎廻りを外断熱にして、土間から鋼製束により1階床を保持し、床下の剛性を高め更に床下からの冷気を無くしました。
1階床下は、設備配管の施工性を高め、床下の木構造材の耐久性を高める効果も有ります。また、メンテナンスにも対応しています。
北海道の厳しい寒さに対応出来る住いです。
完成外観の一部です。この建物が完成するまでの経過を施工工程順に掲載します。
工事の進捗を順次紹介していきます。
杭打ち機による、杭打ち風景です。事前の地質調査で、支持地盤が6m下にある為、7mのRC杭を使用しました。
杭打ち作業風景
所定の深さを掘削し、砕石を敷き、捨てコンクリート打ちして、基礎の位置を正確に出した後、基礎鉄筋を配筋します。
基礎工事、布部分の型枠取付け中です。
外周部には、押出し成型板断熱材100㎜を、セットして型枠工事完了後、コンクリートを打設します。
基礎や土間に断熱材100㎜を入れる断熱仕様は、北海道でもあまり例が有りません。
一般的な断熱は、断熱材厚さ30㎜程度です。
コンクリート打設作業。
生コンクリート工場から運ばれ、黄色いポンプ車で、型枠まで圧送されます。
コンクリート作業は、振動機を使い良く締め固めする事が重要です。
土間コンクリート150㎜の施工前です。
土間用の鉄筋は、D10㎜をW(2段)に入れて土間コンクリートが自重と積載加重で下らない様にしています。
一般的に、防湿コンクリートと言い、50㎜位の無筋コンクリートです。
有筋でも、1段(シングル)が、ワイヤーメッシュΦ6㎜150目程度を仕様としています。
土間コンクリート打設完了。
土間は、金コテで均しています。
床下は、配管用スペースのため、作業能率を上げ、メンテナンスし易い様、金コテで均しています。
木工事開始。
土台を敷き並べた状況です。
外周部の土台下には、気密ゴムの付いた防湿シートが敷かれています。
2階部分の建て方中です。
在来軸組み工法で、木工場でのプレカットで加工して現場に搬入します。
大工さんが、加工図通りに組み建てていきます。
建て方も順調に進み屋根下地(一層目)まで完了しました。
軒先の黄色い部材は、防湿シートです。
外張り断熱工法では、構造材の外側を防湿層で覆います。
屋根の外張り断熱木下地作業中の写真です。
屋根部外張り断熱1層目100㎜の下地用木材を配列しているところです。
断熱は2層(200㎜)入れます。
屋根の断熱下地作業。
断熱下地木材に、SHブラケットを取り付けた状況です。
これで、断熱材100㎜+100㎜=200㎜の下地完了です。
屋根断熱材ロックウール100㎜密度40㎏/m
31層目の作業中です。
縦に入れた木下地間に入れます。
同じく2層目の断熱作業です。
屋根断熱200㎜密度40㎏/m
3入れが完了します。
妻壁の断熱下地全景。
壁に、横方向に25㎜の木下地を入れ、その木にSHブラケットを取り付けます。
そして横木間に、ロックウール断熱材25㎜密度80㎏/m
3を入れ、更にSHブラケット間に100㎜密度40㎏/m
3のロックウール断熱材を入れ総計断熱厚125㎜とします。
壁断熱ロックウール100+25=125㎜入れが完了しました。
壁下地に止めていた、SHブラケットに外装下地と通気層スペースと兼ねる、木下地45×24㎜を取り付けます。
火打ち金物取付け。
外に断熱材があるため、外張り断熱では、どんな構造金物でも熱橋には、成りません。
現在の建築構造基準では、壁の中に沢山の金属構造金物を使用しなければなりません。
寒冷地に措ける、壁内の金属は熱橋になるため、外張り断熱は大変有効です。
浴室ユニットバス工事中です。
外張り断熱では、浴室内が寒いとう言う事は有りません。
土間下断熱などの処理が完了しているので、ユニットバスの床下が冷たいと言う事も有りません。
外張り用断熱材ロックウールは、材料密度が高い為(40㎏/m3と80㎏/m3)、防風材は不要です。
ポイント:防風材は外壁からの雨水等が入った場合、逆に通気層による排水効果や気流の対流などによる乾燥効果を妨げる事に成ります。
貧弱な断熱材を採用している一般工法では必要とされる防風材は使用を誤ると弊害と成ります。
内部木工事状況です。
天井クロス貼り、床材貼り作業状況。
玄関ホール床、大理石貼り作業状況。
イタリア大理石を貼ってみました。