スウェーデン国、ルンド市ルンド大学で、建築物理学の権威者アーネ・エルムロート博士のレクチュアを受けました。
その(4)
換気ルトーとの基本は、居間、寝室などの居室に新鮮空気入れ、キッチン、トイレなど空気が汚れるスペースから汚染空気を排出することです。
自然換気方式では、一時間に建物全体の空気が5.0回入れ替わります。建物の気密を一時間当り0~3.0回に保つには、機械換気が必要です。更に一時間当り0~1.0回にするには、熱交換換気装置を使う必要が有ります。
換気による建物全体の空気が入れ替わる事は、建物内を快適にしている熱も外部の熱と入れ替わる事に成ります。
つまり、換気のコントロールは、建物内の熱のコントロールと共通するのです。
スウェーデンに措ける1965~1975年代の戸建住宅の換気図です。石油燃料を使用し新鮮空気は隙間から取り入れ、排出はレンジ、煙突、風呂場の換気扇で行っていました。(日本の現状の換気と同じレベルです。)
1975年~1980年代主流の換気方式の絵です。屋根側からの換気。窓の上部から新鮮空気を入れ、ダクトから排出する方式です。 この写真では、キッチンと繋がっていますが、最近はキッチンとは、別ルートにしています。 また、最近はヒートポンプを使ってお湯を温めています。
1981年から最近のヒートポンプを使ったタイプです。 熱交換換気扇を装備した、現在スウェーデンで一番行われている方式です。
これは、最近多くなっているタイプの絵です。熱交換換気扇を使用します。 トップファン(屋根)で強制排気します。キッチンの排気は別ルートにします。
これは、集合住宅の未来型の換気図です。レンジは別ルートにします。
4~9月で40%の給湯を賄えます。冬でも一時的に使えます。
冬は別の設備と併用する形式を取ります。(ヒートポンプ、バイオ)換気は、熱交換してパネル裏から室内へ入れる方式です。
太陽熱により熱を取得して、電気で追い炊きして温水をパネルに供給する仕組みです。
次に、コンクリート造の断熱、特にその断熱工法についてレクチュアを受けました。
コンクリート構造について説明します。
外断熱の利点は、全体をカバーできる事です。
熱橋を最小限度に押える事ができる工法です。
人体がいつも触れている、床表面の温度を良い状態に保てる唯一の工法です。
外壁がむき出しでは、熱割れのおそれあります。 ですから、断熱材で覆う事が、躯体の長持ちにも成ります。
外断熱の手直しは比較的しやすいのです。
木造の気密化は難しいが、RC造は楽にできます。
これは、外断熱の概念図です。暖房を止めても、蓄熱された躯体から、熱が放出されるため、室内温度を安定さる事が出来ます。
RC造は、物質特性上、防湿効果が高い。
RC面がそのまま防湿層になります。
内外共に、湿気処理がしやすい。
雨水の浸入などが少ない。
水蒸気の移動について。
水蒸気圧で室内から屋外へ移動する。
躯体クラック(隙間)から、室内から屋外へ移動する。
(上)外断熱、(下)内断熱における水蒸気移動と壁内変化について。
内断熱は壁内で結露状態になる。
内断熱は、小さな断熱欠陥でも問題が起きやすい工法です。
外断熱は、結露を回避できる唯一の工法です。
この図は、相対湿度による人体への影響度合いを示した物です。
表の左側が湿度0%で右側へ行くほど湿度が高い状態です。
湿度が上がって行くと、やがて床の張り物が剥がれる。
さらに進むと匂いが出て来る。そして木材が腐れる。
内断熱は結露が起こらない対策を講じても、壁内の湿度上昇を起す。そして露点に近づき、状況は別な化学変化をもたらすおそれがある。それは、人体に対し悪い状況を作るものばかりです。
ルンド大学建築物理学科(5)へ続く