1. オーニングの効果
北欧で見かけるオーニングは、日本ではあまり見かけません。
本州での、簾(すだれ)は夏の日差しを和らげてくれる日よけの材料です。
日本でも日差しを外部側で避ける方策は、昔から有ったのです。
最近は、アルミ製、布製のブラインドを、窓の内側に取り付け、視線と日差しを避ける方策が、多く使われています。
ところが、日差し除けを目的とする取り付け物が建物の内側と外側では、大きく性能に差が出る事を、皆さんは、ご存知でしょうか。
内側取り付けは、約70%の熱エネルギーを室内に取り入れ、外側取り付けは、約70%をカットします。
取り付ける位置が、内と外では、大きく性能に差が出るのです。
北欧の住宅は、断熱材を厚く入れ、窓やドアの断熱、気密性能は高性能な製品が使われています。
つまり、建物内から熱エネルギーが、外部に逃げづらく成っています。
建物の性能が、大変いいのです。
その性能の良い建物に、夏場や春、秋など外気温の高い季節に室内に取り込む日差しのエネルギーは、室内気候にとってオーバーエネルギーになってしまいます。
そこで、外部で日差しのエネルギーを、カットするオーニングが、活躍します。
開閉が自由で、色による色彩効果も生むオーニングは、北欧では多く利用されています。
日本の住居は、折角、高断熱、高気密な住居を造っても、自然から得るエネルギーのコントロールが出来ない住居が、殆どです。
窓から得られる、太陽エネルギーは、窓ガラスの性能と、日差しを遮る遮蔽物によって、コントロールするしかないのです。
しかし、窓ガラスの性能には、限界があります。
しかも、高性能なガラスは、大変高価です。
また、長い年月には、ガラス性能の低下も考えられます。
オーニングは、それらを克服する良い製品です。
デザインも、日本の住居として、今までにない雰囲気も演出します。
写真は、R窓に取り付けられた、オーニングです。
色や、形が豊富にあります。
写真は、スウェーデンのリンドース団地内の一般住宅に付いている、オーニングです。
庇の無い1階の窓や、妻壁にある窓にオーニングが付けられています。
勿論、オーニングではなく庇でも効果は同じです。
庇の出を大きくして、夏場の余分な日差しを、カットさせます。
1階部分の、深い庇の例です。
日差し除けのバルコニーで、オーニングの必要性は、ありませんが、北欧ではオーニングを付ける住居が多く、この場合もデザインと好みで、居住者が付けたそうです。
建設地の緯度により、年間日差しの入射角度を考えバルコニーの出寸法を算出して決めます。
太陽光を夏場は遮り、冬場は積極的に室内に取り込みます。
上の写真は、外に付けられたブラインドです。
下の写真が、オーニングです。
スウェーデンのビルに付く、オーニングです。
一斉に開いたオーニングは、カラフルで大変鮮やかです。
町に彩りを添え、PR効果も出ます。
日本でも、オーニングが使われ、省エネ効果に役立てたいものです。
写真は、ドイツの議員事務所棟の窓に、付いていた、外付きブラインドです。
内部からの操作で、上下し羽の角度も、変えられる様です。
オーニングと同じ目的で、外に付けているブラインドです。
風でブレルので、細いワイヤーで両端が繋がっています。
同、アップ写真。
ブラインドの両端にワイヤーが見えます。
別な、窓の外付きブラインド。
この後で、あまりにも私達見学者が、窓越に見るので、中に居る女性職員が、ブランドを閉じてしまいました。
(右側の窓がブラインドを降ろして開いた状態です。左側の窓はブラインドを降ろしていません。)
写真は、ドイツで有名な「GSW本社」ビルです。
ガラス建築で、採用されているダブルスキン構造の建物です。
色取り取りの内部ブラインドで、太陽光と熱エネルギーを遮断しています。
(この場合は、2重に成っているガラスの内側にブラインドを付けての使用です。)
オーニングの使用では有りませんが、目的は同じ省エネです。
日本でももっと、理論上有効な省エネ対策を、実践したいものです。
【オーニングの勧め】終り。